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サントリー、無線自販機でデータ分析 開始1年で欠品率が3割減(日経デジタルマーケティング)/ニュースななめ斬り by ギックス

AUTHOR :  田中 耕比古

ヒトがやるべきこと、機械ができること

記事概要

日経デジタルマーケティング2月号「サントリー、無線自販機でデータ分析 開始1年で欠品率が3割減」によると、サントリー食品インターナショナルが導入した”無線で販売データを送信できる新型販売機”のデータを分析することにより、自動販売機などの欠品率を3割削減すると共に、商品補充等を行う営業担当者の作業効率(ルート回訪効率)も15%程度の改善を見込んでいるという。

戦略上の「目の付け所」

記事中にも書かれている自販機が「定価販売」であるが故に利益率が高い、ということは飲料業界では至極当たり前の話です。ここに「機会ロスの可能性」を見出して改革に臨むのは、優先順位の付け方として、非常に正しいと言えるでしょう。また、当然ながら、一般の小売店であれば「棚への陳列・補充」は小売店の従業員が行う所を、自販機への補充は自社のコストで行わなければなりませんので、この業務効率向上も「利益率」に直結する改善ポイントとなります。

「データ」は何を語るか

本記事においては、具体的なルート計算ロジックなどには触れられていませんが、このシステム・仕組みの考え方自体は、それほど目新しいものではないと思います。しかし、この「情報のリアルタイム性」に着目することで、様々な活用方法が考えられます。

  • 欠品時間≠販売機会ロス と言う証明
    例えば、欠品時間帯が「その商品が、その自販機では売れない時間帯」であれば、欠品していても機会ロスになりません。
  • 気温・気候と売れ行きの関係性
    午前・午後などというスパンでの気温変化ではなく、「売れたとき」の気温をトラッキングできます。
  • 決済方法と、利用時間・購買商品の関係性
    現在の自動販売機は、さまざまな決済方法が選べます。現金はもちろんですが、suica、edyなどの電子マネー、iD(クレカ)など多様です。これは「個人の属性」(ギックスでは2次属性と呼んでいます)であり、そこから一歩踏み込めば「どの商品を、どういう時間帯に買うのか」を分析し「購買傾向」「ライフスタイル」などを透けて見ることができます。
  • 補充してはいけないタイミングの明確化
    欠品していると機会ロスする、というのは自明ですが、一方で「良く売れる時間に補充してると、売れない」ということもまた真実です。どちらの機会ロス影響が大きいのかを天秤にかけて、補充タイミングを決定していくこともできるでしょう。

尚、この際、考えるべきポイントとして「世に散らばる自動販売機をまとめて”一つの売り場”」として捉える視点と、「立地や品揃えなどの個々の自販機を”個別の売り場”」として捉える視点の、二つの見方が重要になると言えるでしょう。この使い分けがデータ活用の肝となると思います。

 「ヒト」の仕事

この自動販売機が日本を埋め尽くした時、ヒトの仕事はどうなるのでしょうか。

まず必要なのは、「決められたルートを徹底的に、効率的にまわるスタッフ」です。こういう書き方をすると「それもいずれロボットでよくなる」とおっしゃる方もいらっしゃいますが、個人的には、ジュースの補充というものは「人がその場にいる」ということに意味があるケース(防犯や、補充中に出会う人に対する企業・ブランドイメージにつながる接客)も多々あると思っています。積み込んだ商品が足りない、トラックから自販機まで何を何本持っていけば良いかわからない、などの事態が減ることによって空いた工数・考える時間を、ディズニーランドのカストーディアルキャスト(清掃担当)のようなサービス精神に充てることも可能になるでしょう。

続いて、「ロジックを考えられる分析スタッフ」です。これは、弊社で定義するところのデータアーティストというケイパビリティに相当します。上述した、各種データの分析方法を考え、仮説を立案し、検証する。そういう能力がますます重要になってくると思います。

機械(システム)ができることは機械に任せ、人間にしかできない「情緒的」「創造的」な部分で付加価値を出していく世界が、もう、すぐそこまで来ているのかもしれませんね。

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