戦コンスキルは起業に役立つか?(5):行動規範②論理にこだわる

AUTHOR :  網野 知博

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網野 知博
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第5回 戦略コンサルタントの行動規範②:論理にこだわる

 この記事は戦略コンサルタントとしての経験が起業の役に立つのかという問いに答えるために、「私がコンサルタント時代に得た教え」をあくまで主観をもとに共有することで、各自の判断材料にして頂くという企画になります。

 そのために、戦略コンサルタントがどのような「前提」で、「心構え」で、「行動規範」で仕事を行っているのかを知って頂くことを狙いとしています。

 今回は第5回目になります。前回は「戦略コンサルタントの7つの行動規範」のうち、「ファクトにこだわる」を紹介してきました。

 ここまで読んで頂ければ、そろそろ戦略コンサルタントは付き合うには面倒臭い連中であることもばれつつあるのではないでしょうか。(笑)

 今回からは戦略コンサルタントの7つの行動規範の中で2つ目の「論理にこだわる」を紹介していきます。

 まずは、おさらいとして7つの行動規範(こだわり)を確認します。

①ファクトにこだわる

②論理にこだわる

③仮説にこだわる

④スピードにこだわる

⑤学びにこだわる

⑥成果物にこだわる

⑦視座にこだわる

 戦略コンサルタントと言われて、条件反射的に理屈っぽい奴というイメージがあるのではないでしょうか。それは強ち間違ってはいません。(笑)

「論理」とは何か

 辞書では「考えや議論などを進めていく筋道。思考や論証の組み立て。思考の妥当性が保証される法則や形式。」と言う説明になっています。

 そうなのです。筋道や組み立てということです。そのように捉えると、論理的に話をする、論理的に説明するという事は、文章の前後のつながりを明確にし、論証を過不足なく行うということになります。

 コンサルタントの中にも個人の芸風として情熱的な人もいますが、「情熱」と「論理」は決して背反するものではなく、どのようなタイプのコンサルタントであっても論理的であることが求められます。情熱的な人、つまりプレゼンテーションが劇場型であったとしても、その内容に関しては論理的で筋が通った組み立てであることが絶対条件になります。

 コンサルタントはモノゴトを考える歳に、「全てをSlide(紙)に落とせ」と教育されることは既にお伝えした通りです。頭の中にあるコトは「考え」では無く、まだ「思いつき」に過ぎない。つまり、紙に落ちてこそ思考のアウトプットであるという事です。そして、同時に戦略コンサルタントは紙に落とす時には常に論理的であることが求められます。

 論理的思考は「センス」ではなく、「スキル」に依存する能力なため、これは後天的な訓練や努力により身に付けて行くことができます。言い換えれば、頑張ればどうにでもなる類いの行動規範になります。

 では、論理的であるためにはどのようにすべきなのでしょうか。「世の中にはロジカルシンキング、論理的思考は多くの書籍やセミナー、トレーニングが存在していますので、それらを参考にトレーニングをして下さい。」というのが結論になります。これは量が質を凌駕するタイプのスキルといいますか、鍛錬により身につける事ができるスキルなため、ひたすら論理的に考えることを繰り返すことをお薦めします。

 とはいえ、それだけだとさすがに愛想がないのでプレゼンテーションの際に「論理」を担保する為にこだわるポイントを簡単に紹介します。

プレゼンにおいて「論理」を担保する為にこだわるポイント

1.構造化と階層(レベル)にこだわる

 これはよくロジックツリーなどと言われる類いの物です。我々コンサルタントは「キモチワルイ」と言う表現をしていますが、ジャンルが異なるものやレベルが異なる物を並列に説明されると非常に「気持が悪い」思いをします。

 例えば、、、。「本日は3つの話をします。リンゴ、みかん、洋服。」と来れば、「え?」となるはずです。

 また、「本日は3つの話をします。リンゴ、紅玉、ふじ。」となっても同様です。

 ここまで露骨な例を書くとおかしさに気づきますが、世の中にある説明資料などでも、構造化がおかしいもの、階層(レベル)が違うものは多く存在します。3つや5つの説明がブレッドポイントで並列に説明されているのに、階層が違う事などはよくあります。

 必ずしも全てがMECE(Mutually Exclusive and Collectively Exhaustiveの略。「重複なく・漏れなく」)である必要は無いかもしれませんが、それでも「ぬけ、漏れ、飛び(論理飛躍)」がないかにこだわる必要があります。プレゼンテーション中に、聞いている人が、「あれの件が漏れているのではないか」などと気になったり、自明でない説明を飛ばして、本来はA⇒B⇒C⇒Dと説明すべき点を、「AなのでDです。」などと説明されるとクライアントの理解の妨げになります。

2.Why or What/Howにこだわる

 これはプレゼンテーションする相手により異なり、どちらが正しい論理展開かは一概には言えません。

 プレゼンテーションの際に、「なぜそうすべきなのか」という前提条件が理解できないと納得できない方も多くいらっしゃいます。その場合は、Whyの説明をしっかり行い、理解を得て頂いた後に、「何をどのようにすべきか」に移る必要があります。

 一方で、「なぜすべきなのか(Why)」は最低限知っておきたいが、そこを知っても金にはつながらず、結局は「何をどのようにするか(What/How)」が未来を創ると考える方もいらっしゃいます。その場合は、Whyの説明に時間をかけすぎると「イラッ」とされることになります。これはどちらにも正解はありません。クライアントの状況やプレゼンテーションされる相手の性格や立場などを勘案して、どちらにこだわるべきかを想定し、そしてそこにこだわっていくことが必要とされます。

3.相手の価値観にこだわる

 論理的というと、とても冷たく人間味がないように思われる方もいるのですが、論理と相手の気持を考えることは一軸の上で対立するものではありません。

 そのため、相手の価値観を踏まえて、相手が理解できるような論理展開で説明を行うのが一番正しい姿になります。「Why or What/How」にもつながりますが、結局はどのように説明するのが相手に一番理解されやすいのか、に徹底的にこだわる必要があります。

 「自分なりの論理展開が正しいか」ではなく、「相手にきちんと理解されるために最高の論理展開は何か」で考えることが必要とされます。

 また、注意が必要なのは、スタートポイントがズレている場合です。人間は様々な価値観を持っており、それぞれが保有する、「歴史、文化、哲学、信念、宗教」などが存在します。自分と相手が同じ認識だと思って、スタートポイントを誤ると、折角の論理的な説明も全く理解されないままに終わることもあります。自己満足のための論理展開ではなく、相手に理解してもらうための論理展開ですので、プレゼンテーションの際にはこれらを相当にこだわる必要があります。

4.言いたいメッセージにこだわる

 「結局は何が主張したいのでしょうか?」

 当たり前ですが、「言いたいこと」があって、それを理解してもらうための論理展開です。言いたいことがぶれていたのでは、論理的な構造を作って行くことは不可能です。もしくは、とっても論理的で頭にすっと入るけど、「何の価値の無い内容」ということになります。(そんなものが作れるのかは分かりませんが。。。)

 言うまでもないことですが、論理的に説明しようと展開を考える前に、「何を論理的に伝えたいのだっけ?」が大事になります。

 ちなみに、論理的な思考は訓練して努力すれば身に付くことは既にお伝えしました。ですが、論理的であろうとする意識を失い、努力を怠るとそのスキルは時間とともに相当に劣化します。

 その証拠に、現在私がここで書きなぐっているコトも、きっと読み返すと相当論理的でないと思われます。(という言い訳を先にしておきます。笑)

 今回はコンサルタントの行動規範として「論理にこだわる」を紹介しました。

 戦略コンサルタントはさらに面倒くさい連中になってきました。しかし、まだまだ後5回も続きます。(笑)

次回は「仮説にこだわる」を紹介していきます。

次回に続く

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