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ギックスの本棚/世界を変えるビジネスは、たった1人の「熱」から生まれる。(リバネス代表取締役 丸幸弘 著)

AUTHOR :  田中 耕比古

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田中 耕比古
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「熱」がある、と、何が”起こせる”のか

世界を変えるビジネスは、たった1人の「熱」から生まれる。

この本はリバネスという正体不明の「あやしい」企業について、リバネス代表取締役の丸氏が赤裸々につづった本です。(ちなみに僕は、著者である丸幸弘氏とプライベートで友人関係にあるものの、彼の会社が何をやっているのかについて、何度話を聞いても結局のところちーっとも全体像を掴みきれなかったのですが、この本で「なんとなく」分かりました。やはり、活字化するって重要ですね。)

リバネスとは何か

僕は、この本を通して、リバネスの存在を世に知らしめてやろうと思って筆をとったわけではありません。

と、「はじめに」にもあるのですが、とはいえ、リバネスそのものについて知らないと、本書が成立しませんよね。

僕の理解では、リバネスは「”サイエンス領域に関わるイノベーション”によって世界を変えることをミッションとしたうえで、それを”ビジネス”として成立させるために収益性を追うことを怠らない会社」です。本書で紹介される「QPMIサイクル(PDCAではなく、”Passion”を軸に”Innovation”を起こすサイクル)」は”サイエンス領域でのイノベーション”を実現するための仕組みであり、「50%ルール(すべてのプロジェクトを黒字化するための管理ルール)」や「PMTマトリクス(社員評価の仕掛け)」は”ビジネス視点”即ち収益性を追うために必要な取り組みです。

会社としての理想を「イノベーションを起こすこと」に置くのはよく聞く話ですが、「それを収益化させる」ことを前提に置いているのが、リバネスを特異な存在たらしめている特徴だと僕は思います。

”イノベーション”を生むための「熱」とは

上記の「イノベーションを起こす」「それを収益化させる」の2つを本書の主題と捉えた際に、そのどちらに関しても優れた”気付き”を得られるとは思います。しかし、僕は、本書のタイトルにもある「熱」という言葉に注目し「イノベーションを起こす」の方に着目していきたいと思います。というのも、収益化の方法は業種業態によって最適なものが変わるように思いますが、イノベーションを起こすために”熱”が鍵となる、という考え方は、非常に普遍的なもののように思えるからです。

一人ひとりの社員が強い「熱」(Passion)を持って動いてぶつかり、互いに化学反応を起こしあう状態を集団化することで、世界を変えるチェンジメーカーになれる。

と「はじめに」で”太字”で書かれていますが、これは、非常に重要なことだと思います。コンサルティングの世界では「自分事」という言い方をすることがあります。クライアントと取り組むときに客観的事実だけで理路整然と議論を組み立てるのはもちろん重要です。しかしながら、それだけではビジネスは動きません。人を変え、会社を変え、社会を変えるのは「自分の想い」です。

どうせクライアントのことだから、プロジェクト期間が終わったらもう関係ないから、ではなく、自分はどう思うか、どうあるべきか、を常に考える姿勢すなわち「自分事」で向き合う事。これは、言い換えれば「自分自身の「熱」」を持って、クライアントの「熱」とぶつけ合う事なのではないかと思います。

その後、本文においても、何度となく「熱」「パッション」に関する記述が出てきます。

リバネスでは、社員全員に、仕事の進め方を示した手引書を配っています。

その冒頭に、「リバネス人15か条」という行動指針を定めたページがあります。その最後には、こんな条項を掲げています。

第15条 常に世界を変えることを考え続け、学び続けましょう

この学問や研究に求められる「自分で問いを立てて、学び続ける」という姿勢こそが、イノベーションを生むために不可欠なことです。

「知りたい」「何かを生み出したい」という好奇心と情熱をどうやって育てていくかを考えるのが、パッションコントロールです。(中略)大げさに言えば、地球を作っているのは、パッションなのです。それをうまくコントロールしながらイノベーションにつなげていくことが、21世紀の企業には特に強く求められている。 

このように、本書内では一貫して「リバネスが如何に”熱意” ”パッション”を重視しているか」が語られます。では、その「熱」をどうやって”イノベーション”につなげるのでしょうか

QPMIサイクル=「熱」を「革新」に変えるサイクル

僕は、このPDCAという言葉が大嫌いです。(中略)やるべきことがはっきりしている仕事の質を上げていくのには効果があるでしょう。でも、PDCAサイクルを回しているだけで、イノベーションが生まれるでしょうか。

やや極論であるとは思いますが、同意できる部分も多分にあります。というのも、個人的には、PlanというプロセスがInnovative/Creativeであるべきだと思っているので、PDCA=イケてないは言い過ぎだと思う一方で、「イケてるPlanをどうやってつくるの?」という事に関しては、PDCAサイクルは解決策を持たないからです。

そんなPDCAという言葉が大嫌いな丸氏が作った言葉は「QPMIサイクル」です。

質(Quality)の高い問題(Question)に対して、個人(Personal)が崇高なまでの情熱(Passion)を傾け、信頼できる仲間たち(Member)と共有できる目的(Mission)に変え、解決する。そして、あきらめずに試行錯誤を続けていけば、革新(Innovation)や発明(Invention)を起こすことができる。

ポイントは、”意図的に「起こす」のであって、勝手に「起こる」のではない”ということでしょう。情熱があればOK、ではなく、情熱を核にして、イノベーションを起こしに行く、というスタンスなのが素晴らしいですね。

また、QPMIのそれぞれを端的に表現するのは

Q:様々な事象から課題を見出す
P:課題解決に対して情熱を抱く
M:課題をミッションと捉え、チームを作り取り組む
I:チームの推進力により新たな価値の創出を目指す

という言葉になります。

本書の中でも語られますが、このQuestion(正しい問)を導く行為はテクニックとして鍛えられます。また、チーム作りや価値創出も(難易度は高いものの)スキルとして鍛えることが可能だと思います。しかし、P=Passionは「鍛えて何とかなる」ものではないです。

本書では、マネジメント(経営層)が、パッションコントロール、パッションマネジメントを行うことの重要性が説かれます。この部分が、本書の「最大の読み所」だと僕は思います。

  • 組織が持つレギュレーションを外しておく→パッションの芽を摘まない
  • 熱いパッションに、見合った大きさのクエスチョンを示す→パッションが動き始める
  • モチベーションが下がっても許容する→パッションが消えなければOK(そもそも消えない)
  • 経営者はパッションを感じ取れ→パッションがあれば「成功」への可能性がある
  • 名刺には肩書きではなく「やりたいこと」を書く→パッションを皆に知ってもらう(+自分でも忘れない)

パラパラと抜粋しましたが、これらの”パッションベースド プロジェクトマネジメント”とでも呼ぶべき思想が、組織全体に浸透していることが競争力の源泉となるでしょう。

(余談)パッションがない!という人は・・・

しかし、「パッションがまったく無い人」はどうしたらよいのでしょうか。本書にも、さすがにその答えはありません。そこで、僕の思う「パッションの持ち方」を少し書かせていただきます。世の中には「できること」「やれること」「やりたいこと」があると、僕は思ってます。

「できること」は、得意なことです。スキルを既に持っている。
「やれること」は、環境的に許されてることです。会社なのか立場なのか、なんにしてもいろいろな制約があります。

たいていの人は、この2つの範囲内で「なにかをしている」と思います。そして「やりたいこと」がない(=パッションが無い)という人も多いのではないかと思います。そんな人たちに僕がおすすめしているのは「向き・不向きで考える」ことです。いまやっていることに向いているのか、いないのか。

人は、得意なことをやった方が幸せだというのが僕の持論です。ですので「今やっていることが、得意な事なのかどうか」でチェックしてみると「アレ、ひょっとしたら幸せじゃないかも」ということに気付くきっかけになります。この「幸せじゃない自分」からの脱却を試みるという姿勢が「やりたいこと」探しの最初の一歩ではないでしょうか。つまり、正しい現状認識が成功の鍵だと思うのですよ。

そこでみつけた「やりたいという想い」=「パッションの種」を持てたら、次は、本書 ”世界を変えるビジネスは、たった1人の「熱」から生まれる。”を読み、想いをビジネスという”カタチ”にすべく邁進して頂ければと思います。

 

世界を変えるビジネスは、たった1人の「熱」から生まれる。

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