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ギックスの本棚/書くことについて(スティーブン・キング著)

AUTHOR :  田中 耕比古

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田中 耕比古
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 ”天才の教え”は凡人には真似し難いが、それでも得るものはある

書くことについて (小学館文庫)

実は、僕はこの本をまだ読み終えていません。読み終えてもいないのに、書評だって?と思われるかもしれません。でも、いいんです。この本は、そうやって読むべきものだと僕は思うのです。

本の読み方はひと種類だけじゃない。

みなさんは、どこで本を読みますか?通勤電車の中。書斎。ベッドに横になって。お気に入りのカフェ。良く晴れた公園で。などなどいろいろあると思います。実際に、僕もそういう所で読むことも多いのですが、一つ、お奨めの場所があります。

それは「トイレ」です。

僕は、トイレに小さな本棚を置いて、そこにいつも何冊かの本を置いています。もう10年近くそうしています。本は、時々入れ替えているのですが、現在は以下の5冊です。

(以前は「成毛真のマーケティング辻説法」「ウケる技術」「哲学(松本紳助)」「シュレディンガーの哲学する猫」とかも置いてました。)

一見、統一感の無い本たちなのですが、これらは「ぱっと開いて2~3ページだけ読むべき本」なのです。

スティーブン・キングの真髄を垣間見れる一冊

スティーブンキングを知らない、という人はいないと思いますが、念のため、略歴をwikipediaから引用します。

スティーヴン・エドウィン・キングStephen Edwin King, 1947年9月21日 – )は、アメリカのモダンホラー小説家。作品は世界各国で翻訳され読まれている。

1974年に長編『キャリー』でデビュー。ジャンルはホラーであるにもかかわらず、舞台は主にアメリカのごく平凡な町で、具体的な固有名詞をはじめとした詳細な日常描写を執拗に行うのが特徴。その作風から、従来の「非現実的な世界を舞台とした、怪奇小説としてのホラー」とは異なる「モダン・ホラー」の開拓者にして第一人者とされる。

ホラーばかりではなく、『ショーシャンクの空に(原作:『刑務所のリタ・ヘイワース』)』や『グリーンマイル』など、映画化された話題作でも有名である。日常の中に潜む「ちょっとした不思議」を題材にした作品も目立つ。

著作の多くが映画化またはTVドラマ化されている。世界幻想文学大賞、O・ヘンリー賞、ブラム・ストーカー賞、ヒューゴー賞など、数々の文学賞を受賞している。

と、これを読んでみても良くわかりませんが、まぁ、凄い作家だと思ってください。(ちなみに映画よりも小説の方がヤバいですよ。)

そんな彼の「文章力」を紐解くのがこの本です。興味でてきません?

頭から読もうとすると挫折する

しかし、さて、と気合を入れて読もうかと思うと、冒頭50ページほどは幼少期の話です。もちろん、ちゃんと読めば、彼自身を理解するのに役立ちますし、彼の「文章を書く」という事に関する示唆が含まれているのでしょうが、正直、辛いです。

そんなときにどうするか。そうです。「ぱっ開いてそこを読む」のです。

例えば、こんな感じです。

私の考えでは、短編であれ長編であれ、小説は三つの要素から成り立っている。ストーリーをA地点からB地点へ運び、最終的にはZ地点まで持っていく叙述、読者にリアリティを感じさせる描写、そして登場人物に生命を吹き込む会話である。

プロットはどこにあるのかと不思議に思われるかもしれない。答え(少なくとも私の答え)は”どこにもない”である。(p.217)

  • ドリスが部屋に入ってきたとき、トムは言った。「やあ、別れた女房」

トムとドリスが離婚しているという事は重要な前提かもしれないが、これではいくらなんでもひどすぎる。木で鼻をくくったような、とはこのことである。参考のために別の例を。

  • 「やあ、ドリス」と、トムは言った。自然な声だった—少なくとも彼自身の耳には。だが、その右手の指は六か月前まで結婚指輪のあったところを行ったり来たりしていた。

ピューリッツァー賞ものとは言えないし、文章も最初のものよりずっと長くなっている。だが、先に述べた通り、小説はテンポがすべてではない。情報が伝わりさえすればいいというのなら、小説の代わりにマニュアル作成の仕事をした方がいい。(p.300)

作家になりたいのなら、絶対にしなければならないことがふたつある。たくさん読み、たくさん書くことだ。私の知るかぎり、そのかわりになるものはないし、近道もない。(p.192)

出来の悪い小説は、してはいけないことを教えてくれる。『小惑星の鉱夫たち』のような作品(いくつか例をあげるなら、『人形の谷間』『屋根裏部屋の花たち』『マディソン郡の橋』)は、レベルの高いことで知られる創作家の教室で、特別講師として招かれた人気作家が受け持つ一学期分の講義に匹敵するはずだ。(p.194)

ドアを閉めて書くことの意義は、作品以外のすべてのものを遮断して、仕事に集中できるという事である。ドアを閉めていれば、”ガーフィールドが死ぬ間際の一言は何を意味しているのか?”とか、”モーラの緑のドレスは何を象徴しているのか”といった雑音が入ることは無い。ガーフィールドの今際の言葉には何の意味もなかったかもしれないし、モーラが着ていたドレスは、その姿が頭に浮かんだとき、たまたま緑だったというだけかもしれない。逆に、そこに何らかの意味がこもっているときもあるだろう(そうとわかるときは、木ではなく、森を見る機会ができたときかもしれない)。いずれにせよ、初校の段階でそのことを考えるのは間違いである。(p.281)

ああ、超キュンキュン来ますね。いくらでも引用したくなります。本書については、これ以上の解説は不要でしょう。趣味にせよ仕事にせよ、長文にせよ短文にせよ、何かしらの文章を”書く”ひとは、一度、手に取ってみるのがオススメです。

インスピレーションを与えてくれる本の大切さ

話は戻りますが、トイレと言う空間はそんなに長居する場所じゃありません(いや、人によるのかもしれませんが)。その短い時間で、手に取った本の一節を読み、本棚に戻す。これは、普段使わない頭の領域を使わせてくれます。

小説は通読するものなので不向きかな、と思うかもしれませんが、実は”アリ”です。一度読んだお気に入りの小説は言うまでもなくピッタリですし、絶対に読み切れないという変な自信のある小説(ドストエフスキーとか、トルストイとかね)なんかも素敵ですね。思いがけない発見の宝庫だと思いますよ。

わざわざ新しい本を買わなくても、皆さんの本棚に「積読」されてる本達からピックアップしてみてください。きっと新たな発見があるはずです。そして、もし一冊だけ買うとしたら、ぜひ、この「書くことについて」を加えてみてください。非常にガツンと来ますよ!

 
書くことについて (小学館文庫)

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