clock2014.05.12 09:09
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商品コンセプトを考える/起業に役立つ戦略知識

AUTHOR :  網野 知博

商品コンセプトを考えて見る

弊社のビジネス的に、マーケティング相談の万屋(よろずや)として捉えられているのか、それはもう色々な相談を受ける事があります。先日は「新商品を考える上で商品コンセプトを考えたいので、その考え方を何か教えて」でした。お金にならないので相談内容なので、Blogのネタにさせてねということで簡単に相談を受けました。

そもそも商品コンセプトとは何でしょうか。kotobankより引用いたします。(※原文は製品コンセプト)

新商品開発プロセスにおいて、ニーズ発想またはシーズ発想により創出されたアイデアを、企業理念や戦略領域、経営資源、経済性、市場性、実現性などの観点から検討・スクリーニングしたのち、「だれにどのようなベネフィットを与えるものかを明確かつ詳細な言葉に落とし込んだもの」。

「想定するユーザーが、実際にそれを使用している場面をイメージできるまでに具体化されたアイデア」「基本的なアイデアが、消費者にとって意味を持つ形に落とし込まれたもの」であり、いわば「想定される顧客にとっての購買理由」と言える。

商品コンセプトを明確化していく過程と並行して明らかにされるのが、「標的市場」と「ポジショニング」である。また、比較検討されて絞り込まれたコンセプトは、商品化の具体的検討にあたって、すべての関連部署が共有すべき共通言語となる。この部分で誤解があったり、理解が不十分だったりすると、顧客の求める商品は具現化できない。商品コンセプトの設計は、主要関連部署の間で徹底的に議論し、お互いに納得していなければならない重要なステップである。

言い換えれば弊社でいうところのUVP(Understandable Value Proposition)を作り上げていく作業になります。相談内容は、「商品コンセプトを踏まえた企画書のフォーマットは理解しているが、そもそもどのようなきっかけや、とっかかりがあれば新商品の商品コンセプトのアイデアが発想できるかを教えてほしい」と言うことでした。

ちなみに、ご相談されたお相手はBtoBビジネスをやっており、完成品メーカー(OEM)から見るといわゆるTier2の下請け企業に位置します。元々は、弊社の「あなたはそのアイデアに気づけるか -ヒット商品を生むフレームワーク-」を見て、人づてにご相談を頂きました。

商品コンセプトを発想するために

とりあえず、喫茶店で30分の一本勝負だったので、そういえは、昔考えたことがあるなと思いその場で3つの考えを述べました。

  1. 最終顧客の困り事を解決する部品を考える
  2. キラリと光るコア部品を考える
  3. セグメントを横断する部品を考える

1.最終顧客の困り事を解決する部品を考える:

自動車部品メーカーを例に取ります。Tier2の自動車部品メーカーの顧客は、Tier1の自動車部品サプライヤーになります。ですが、その先に、自動車製造メーカーであるOEMが存在し、その車を仕入れて売るディーラーが存在し、その先に最終ユーザーである消費者が存在します。つまり、「その先の顧客」は複数存在するのですが、「その先の顧客」の方々のアンメットニーズに応える、何か困り事を解決すると言う視点で考えると、何か思いつく新商品(部品)のアイデアがあるかもしれません。

2.キラリと光る部品を考える:

コンサルタント風にかっこ良く言えば、「バリューチェーン上のプロフィットプールを見て、将来的にプロフィットゾーンになりうる部品領域を見極める」でしょうか。笑
ちなみに、プロフィットプールとはバリューチェーン上の各事業活動を定義し、それぞれの利益額と収益性を分析することです。

Tier2やTier3に位置する部品であっても、Tier1のシステム部品の差別性を生み出すコア部品は付加価値が高くなります。現状のコア部品では既に強い競合が存在するでしょうから、今更そこに参入するのはハードルが高いと想定されます。そのため、付加価値構造の変化が起こる技術革新のタイミングが参入のチャンスであったりします。技術革新が予想される部品セグメントにおいてシステム部品を要素部品に分解し、プロフィットプール分析等の手法を用いて現状の付加価値構造を分析し、そこで現状付加価値の高いコア部品を特定したら、技術革新後にその機能を代替し付加価値を創出する部品を予測するなどを行えば、少なくても今よりは攻めるべき領域が見えてくるかも知れません。

3.セグメントを横断する部品を考える

小部品であっても幅広いセグメントに共通して使用され、かつOEMが製造する上で不可欠な部品は高付加価値商品になりえます。部品セグメントを横断して使われ、特許取得が可能などある一定の差別化が図れれば高付加価値商品となり得るので、そういった領域の部品は存在し得ないかで考えるとアイデアがでるかもしれません。

餅は餅屋。上記の3つのアイデア発想アプローチを説明したら、すぐに理解し、その場で幾つか新たな部品領域のアイデアが複数でているようでした。仮説思考が重要な事は多くの人の中でも共通認識がありますが、どのように考えると仮説がでれくるのかを理解されていないケースが多いようです。考えるためのヒントがあれば、その道のプロはすぐにでもアイデアが浮かぶことがわかった瞬間でした。

本記事は私が起業して経営を行う際に役にたっていると感じている経営戦略の小ネタを備忘録的に記事にしているシリーズものですが、あくまで備忘録的に書いてあるため、テーマが全体を通して構造化されていない点はご容赦ください。

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