戦コンスキルは起業に役立つか?~プロマネ編~(9):プロジェクト最終報告

AUTHOR :  網野 知博

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網野 知博
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論理と情緒と入念な準備

さて、いよいよ本日が最終回になります。前回はプロジェクトの終盤にて、最終報告書を作成に向けた最後の昇華活動に関して5つのポイントを説明しました。本日は最終に向けて必要となる最終報告書に関してのプロジェクトマネージャーの注意点に関して触れていきたいと思います。

project finalreport

 

最終報告書作成に向けた7つのポイント

本日のポイントは大きく7つです。

  • スタート地点を誤らない
  • インパクトの大きいスライドから
  • オーディエンスにより書き直す
  • クライアントの立場で書く
  • 伝達方法はSlide作成だけではない
  • 経営者への一言を用意しておく
  • 「かわいく」厳しいことを言う、書く

スタート地点を誤らない

以前にも触れましたがプロジェクトをデリバリーしているメンバーは、仕事としてそれだけをやっているため、常にプロジェクトのことを考えています。ですが、クライアントの役員などは数週間に一度か、場合によっては1ヶ月に一度話を聞くだけであり、頭の中身は他のことで占められています。そのため、相手の理解しているレベルから丁寧に入っていく事が必要となります。話のスタート地点を誤ると伝えたいメッセージは届きません。

インパクトの大きいスライドから

これは多少テクニック論も入ります。コンサルティングを実施した結果として、全てのことに関して自信満々で根拠もあるということにはならないと思います。前述しましたが、ある程度インパクトの大きい事象はそれなりの論拠も揃えており、自信もあるでしょうから、そのようなインパクトが大きく、自信もあるメッセージやスライドを中心に組み立ててしまうと物事は構成しやすくなります。根拠が薄い、自分としても自信のないものは、触れる必要がなければ触れない。「不必要な情報は悪である」と言うことを肝に命じておく必要があります。

オーディエンスにより書き直す

最終報告を聞く相手により伝えるべきメッセージと聞きたいことは違います。そのため、相手のレベルや聞きたい内容に合わせて報告書を書き直す手間をかける必要もあります。担当や課長レベルは自分の実務に直結するので、Howの部分であるどうやるべきか、つまり実行施策やタスク、スケジュール、実行メンバーなどが気になります。一方、事業部長や経営層などの意思決定を行う方々は、WhyとWhatにあたるなぜやる必要があるのか、そして何をやるべきなのか、が気になります。そういった方々全員に100%ご理解頂くのは難しいため、だったら最初から報告書を書き分けてしまえという考えもあります。

クライアントの立場で書く

これはクライアントが望む結果を望む形で報告しろというわけではありません。提灯コンサルは存在意義はありませんので、誤解なきようご理解ください。平たい言葉で書いてしまえば、自分事として発言できるか、ということです。ダイナミックな戦略を提言することはコンサルタントにとってとても高揚感を感じることは事実です。ですが、コンサルタントは、そしてプロジェクトマネージャーは気持ちよくプレゼンテーションすることが仕事ではありません。自分がそれを実行しなくてはならないとしても、それが最善の打ち手であるのかということを自問自答する必要があります。

伝達方法はSlide作成だけではない

詳細なコンセプトや業務フローよりも、簡単なデモンストレーション一発で伝わることがあります。商品サンプルなどもそうでしょう。M&Aの重要性を言葉で説くよりも、Long List、Short Listをそのまま提示してしまい、このような企業の買収することで足りない機能保管をするイメージを持ってもらうほうが速いかも知れません。

事件を会議室で起こす方法を考える

あるプロジェクトでクライアントの担当者と一緒に海外の田舎を駆けずり回るプロジェクトをしたことがありました。最終報告書にその時の写真などを貼り付けることで多少の臨場感を伝えることもできますが、その時は一緒に回った担当者の方が体験し、感じた内容を3分ほど話してもらいました。我々はあくまで外部の人間として、その市場でのオポチュニティを客観的に冷たく乾いた事実としてお伝えすることに留め、一方で市場のリアルな動きを担当者の方に口頭で伝えてもらったために「会議室で事件を起こす」ことに成功しました。

「事件は会議室で起きてるんじゃない。 現場で起きてるんだ。」と言う名セリフがありますが、コンサルタントとして、プロジェクトマネージャーとして、現場で起こっている事件を、臨場感そのままに会議室で起こして状況を正しく経営者に理解頂き意思決定頂く必要があります。

経営者への一言を用意しておく

準備していないことをいきなり聞かれて、瞬時に気の利いたことを言うのは非常に難しいと思います。これは特に最終報告を終えた後に聞かれることがあるので注意が必要です。

  • プロジェクトをやってみて、うちの会社の印象は何?
  • 今回のプロジェクトの内容だけにとどまらず、うちの会社の何が一番の問題かな?
  • 提言してもらった案を実行するうえで、今後一番気を付けるべきことは何かな?

どれも全て過去問集の内容です。笑 経営者は悪気はなく、こちらを試す意味でもなく、本質的にこういうことを知りたいと思っているために、こういったキラー質問をしてきますが、こういったことに答えられないと一瞬で評価や信頼を失うことになるので注意が必要です。

「かわいく」厳しいことを言う、書く

「トークストレート( talk straight)」と言う言葉があります。コンサルティング会社では常々トークストレートであることが求められますが、一方で、何も考えなしに直截的に発現することは人間としての深みのなさを露呈することにもつながります。クライアントからも忌憚のないご意見を、と言われて直截的にダメ出しをぶちまけても何も解決になりません。特にコンサルタントは父親くらいの年齢の大企業の役員にものを申す必要もあります。そうした時には、上手に厳しいことを言えるようにすると発言を理解してもらいやすいです。

最後のおまけ 洋の東西を問わずコンサルティングはステレオタイプではない

その他最終報告に関して小ネタを紹介しておこうと思います。これは日本だけでなく、コンサルティングファームの海外オフィスの外国人に聞いた話を紹介します。

根回しは必要か?

根回しは日本の文化のように感じられていますが、そうでも無いようです。最終報告会に驚きがあってはいけないと言う名言がありますが、これは外国人のコンサルタントも何度も口にだしていました。根回しという言い方はしていませんでしたが、報告を聴く側には事前に内容を詳細に説明し、理解してもらった上で最終報告会を迎えろ、最終報告の会議室で聴衆に驚きを与えるなということです。これは、毎回必ずそうしろというわけではなく、状況に応じて必要であれば行えということですが、事前の根回しは日本文化だけの悪しき習慣なわけではなく、使い方によっては双方にメリットがあるということです。笑

結論は先は?

「結論は先に伝えろ」が絶対条件のやり方のように指導する方もいますが、これも正直どちらでも良いというのが結論です。こちらも、状況によると言う感じです。外国人、特に欧米などでは結論が先が当たり前の用に言われたりしますが、必ずしもそうではないとのことです。コンサルティングファーム時代の同僚に聴きまくりましたが、皆の解答は状況によるとのことでした。「報告をする相手」と「伝える内容」によって、結論が先の方が良い場合もあるし、理由が先の方が良い場合もある。それらを使い分けるという事です。言われてみればしごく当たり前なのですが、どういう状況の時にどちらにしたら良いか判断がつかない方々がいるため、何かを決めつけてこうすれば絶対成功するという内容の薄い本が売れる時代なののでしょうか。

今回も私は色々なTipsを書いていますが、こういうやり方があるという程度の事なので、これを全て行え、またこれを行うことが成功の秘訣だ、と言っているわけではないことをご理解頂きつつ、自分なりに使いどころを考えて使って頂ければと思います。

戦コンスキルは起業に役立つかのプロジェクトマネジメント編として9回に渡って好き勝手に記述してまいりました。結局のところ戦コンスキルは起業に役立つのでしょうか? 少なくても私は戦略コンサルタントとして30以上の案件をプロジェクトマネジメントしてきた経験が起業にも、企業の経営にも役立っていると感じております。ですが、第1回で触れたように、スキルを身につけるには時間を要するため、得るものと投下する時間、労力はトレードオフの関係になります。こうしたことも視野に入れながらキャリアプランを考えて見てはいかがでしょうか。今回の情報が微力ながらも皆さんの判断材料の一翼を担うことができれば非常に幸いです。

第1回:プロジェクトマネジメントから得た学び
第2回:戦略立案プロジェクトの始まり 前編
第3回:戦略立案プロジェクトの始まり 後編
第4回:プロジェクトマネジメントを支える仮説力
第5回:提案からプロジェクト獲得に向けて
第6回:プロジェクトの立上り
第7回:プロジェクト中盤
第8回:プロジェクト終盤(報告前)
第9回:プロジェクト最終報告

本連載の記事一覧はコチラから

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