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基礎から学ぼう!長並列型仮説思考(第5回):長並列型仮説思考の使い方 パターン② 仮説長並列型

AUTHOR :  網野 知博

  長並列型仮説思考は2つのパターンがある ベテラン編

長並列型仮説思考には「情報長並列型」と「仮説長並列型」の2パターンがあり、前回は「情報長並列型」のお話をしていきました。今回は「仮説長並列型」の説明をしていきます。

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仮説長並列型の仮説思考

仮説長並列型の仮説思考ですが、こちらは仮説立案スキルも高く、また仮説をたてる該当領域の知識も十分にある時に使える形の仮説思考になります。前回紹介した仮説立案が情報を並列に複数用意して、そこから仮説を立案していくやり方であったのに対して、このやり方は有力と思われる仮説のオプションを複数用意し、その中から取捨選択していき、一つ、もしくは複数の有力な仮説にたどり着くというやり方になります。

前回も簡単に触れましたが、「トーマスくんはなぜ困っているのか?」であれば、私の息子はすぐに仮説のオプションを出し、その中から最善の仮の答えである仮説を導き出すことができます。なぜなら、彼はきかんしゃトーマスに関して情報通であり、いわばベテランなのです。同様に「今日の天気はどうなりそうか?」と言う質問はどうでしょうか? この記事を読んでいる皆さんはおそらくは天気に対する仮説を立案することはベテランだと思いますので、複数の情報からいきなり精度の高い仮説を立案できると思います。

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 仮説立案のプロと思いつきは全然違う

仮説立案の手法を学びプロ級の腕前になり、その領域の知識が長けている状況になると下記の「ベテラン」から「プロ」レベルになることができます。仮説立案のプロセスを直列方向にも並列方向にも長く(多く)しなくても、いきなり筋の良い仮説にたどり着くことができるレベルです。こうした状況になると、周囲の方々からは直感に見えるかも知れません。体系化してこのようなことを学んでいないと、本人も直感や感性と言う風に誤解するのですが、実はこれは仮説立案のプロになっているのです。優秀な経営者の直感が優れているのは、実は「カン」ではなく、その業界の知識が豊富にあり、今までに何度も仮説思考を事業の場で繰返し鍛錬してきたために、仮説立案のプロになっているのです。

では、少し偉人の言葉を借りて補足しましょう。羽生善治氏は次のように仰っておりました。

「「直感」「読み」「大局観」。一般的に経験を積むに連れ、「直感」「大局観」の比重が高くなる。これはある程度の年齢を重ねることで成熟していく傾向がある。「読み」は計算する力といっても過言ではない。したがって、10代や20代前半は基本的に「読み」を中心に考え、年齢とともに感覚的に捉える方法にシフトする。」

若い頃は愚直に情報長並列型のアプローチを取りつつ、経験を積むと共に、仮説長並列型、そして仮説短並列型の仮説思考に成長していくものと考えます。

 

 

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仮説立案ができない人は努力が足りないだけ

仮説立案の書籍を読むと、もうそれだけで一人前になったような錯覚に陥り、いきなりプロレベルの仮説立案のアプローチをとろうとする人がいます。つまり、いきなり、底の浅い・筋の悪い仮説を振り回す人です。ですが、先に述べたように、筋の良い仮説をいきなり立てるには、対象領域の広くて深い知識と、仮説立案スキルの両方が求められます。ですが、「対象領域の広くて深い知識」は後天的に身につけられるものです。また「仮説立案スキル」も時間をかければ誰でもでき、その熟練度に応じてスピードも質もあがるものであり、つまり、こちらも後天的に身につけられるスキルになります。どちらも努力をすることで身につけることができますので、後は努力だけということになります。

最初は泥臭く、いずれスマートに。キーワードは「量が質を凌駕する。」

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ではどのように努力を行っていけばよいのでしょうか。次回の最終回で「仮説立案のプロフェッショナル」になるための訓練方法をご紹介して行きます。

目次

第1回:そもそも仮説ってなんだろうか?
第2回:長並列型仮説思考とはなにか 〜「そら・あめ」のケーススタディから考える!
第3回:長並列型仮説思考とはなにか 〜初デートのケーススタディから考える!
第4回:長並列型仮説思考の使い方 パターン① 情報長並列型
第5回:長並列型仮説思考の使い方 パターン② 仮説長並列型
第6回:仮説立案のプロフェッショナルに向けて

※本連載はschooにて行われた授業を元に記事化しております。
http://schoo.jp/class/660

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