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「ビジネスコンセプト」は万人に分かりやすい必要があるのか/起業に役立つ戦略知識:

AUTHOR :  網野 知博

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網野 知博
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レモン市場(欠陥市場)で戦略の価値を訴える必要があるのか?

スタートアップに関する本を読んでいると、ビジネスコンセプトの重要性は必ずと言っていい程書かれておりますが、そこにはビジネスコンセプトは分かりやすいことが必要であると書かれていることが多いと思います。

「ビジネスコンセプトを作る目的はお客様や株主、役員、従業員、金融機関やサプライヤ、会社内外の関係者にその事業に共感してもらうことが目的なので、できるだけ簡潔で、誰もが同じイメージを持てるようなメッセージでなければなりません。」

 

『ビジネスコンセプト』とは、どんなビジネスなのかを一言で簡潔に表したものです。もう少し具体的にいうと、そのビジネスが「誰に」「何を」「どのように」提供していこうとしているのかを簡潔に整理したものです。コンセプトが明確であれば、今後の方向性が揺るがないものとなります。また、このビジネスコンセプトをもとに具体的なビジネスプランをつめていきますので、その意味でもシンプルで分かりやすい必要があります。

起業当初から疑問に思っておりました。これって本当でしょうか? 難しいより簡単な方がよいですし、分かりにくいより分かりやすい方が良いことは正論としてはそうだと思いますが、世の中の良いビジネスコンセプトは全て分かりやすいのでしょうか。ビジネスコンセプトとそこからもたらされる事業戦略は全ての万人にすぐに理解されるほど分かりやすいものである必要があるのでしょうか?素晴らしい戦略はシンプルであると言う言葉も理解できますが、一方で練り込まれて何重にも仕掛けが入っている戦略は万人に理解されにくいが素晴らしいものもあると思っておりまます。これは経験則から来ているものです。もの凄くよい戦略がデザインできた時も、表面的は簡単に言えますが、相当練り込まれていたので、細部に至るまで説明しても、きちんと理解できる人は一部の方々に限られていたこともあります。そんな経験があることから、私は無理にビジネスコンセプトも事業戦略も一言で語れる簡単なものにする必要はないと思っており、ビジネスコンセプトも戦略も当然クリスタライズされている必要はありますが、あえてそれをシンプルに簡易に分かりやすくする必要はないと考えておりました。そんな時にふと目にした記事がDIAMONDハーバード・ビジネス・レビューの7月号に掲載された「CEOは自分のビジョンを信じきれるか 戦略の質と市場の評価は異なる」になります。

かいつまんで内容を紹介すると、

市場は企業戦略の本質を本当に理解しているのだろうか。類例がなく、複雑な戦略であるほど、その本質は見えにくく評価いづらい。そのため、非常に価値のある戦略の多くは独自性の高さゆえに、市場の評価が伴っていないケースが多く見られる。そこには「レモン問題」と同じ、市場の欠陥が存在している。独自性の高い戦略を掲げる経営者は、このような市場に対していかに挑むべきか。みずからのビジョンを市場に評価してもらうために必要なこととは何か。

ここでレモン市場に関して触れてみましょう。(出所:Wikipedia)

レモン市場 (レモンしじょう、lemon market) とは、経済学において、財やサービスの品質が買い手にとって未知であるために、不良品ばかりが出回ってしまう市場のことである。
レモンとは、アメリカの俗語で質の悪い中古車を意味しており、中古車のように実際に購入してみなければ、真の品質を知ることができない財が取引されている市場を、レモン市場と呼ぶ(レモンには、英語で「良くない」「うまくいかない」等の意味があることから、転じて「欠陥品」「品行が悪い(女性)」事を指すようになった)。

レモン市場の問題:
レモン市場では、売り手は取引する財の品質をよく知っているが、買い手は財を購入するまでその財の品質を知ることはできない(情報の非対称性が存在する)。そのため、売り手は買い手の無知につけ込んで、悪質な財(レモン)を良質な財と称して販売する危険性が発生するため、買い手は良質な財を購入したがらなくなり、結果的に市場に出回る財はレモンばかりになってしまうという問題が発生する。
具体的な例を挙げて説明しよう。いま市場には、高品質の財と低品質の財が、それぞれ半々の割合で存在しているとする。売られている財の品質を熟知している売り手は、高品質の財は300,000ドル以上、低品質の財は100,000ドル以上ならば販売してもよいと考えているとする。
しかし買い手にとっては、売られている財の正しい品質を判断することは困難であるため、買い手は半分の確率で財が低品質であると考える必要がある。そのため買い手にとっての財の価値は、高品質な場合の300,000ドルと低品質な場合の100,000ドルの平均である200,000ドルとなる。したがって、買い手は200,000ドル以上は支払いたくないということになる。
このことを予想する売り手は、200,000ドルより高い財を市場に出すことを諦め、それ以下の財だけが取引されるようになる。これによって、今度は買い手が支払ってもよいとする平均価格も150,000ドルまで低下し、売り手は150,000ドル以上の財を市場に出すことを諦める。
結果、売り手は高品質の財を売ることができず、低品質の財ばかりが市場に出回る結果となり、社会全体の厚生が低下してしまう。このような現象は、逆選抜と呼ばれる。

結局は他人の評価ではなく、自分で良いと思ったことを信じてやれよと言うことか

自分の考えがいつも正しいわけではないので外部のアドバイスも必要ですが、一方で外部のアドバイスが常に適切だったり、正しいわけではないことも事実です。この記事の結論を読んでみて、株主や投資家やVC、ファンド、銀行など外部の方々のアドバイスが常に適切で正しいわけではないし、彼らの評価が絶対なわけでもないので、自分で考え抜いてよいと思った道を進めよ、と言うことかなと解釈しています。

CEOの仕事は会社の長期的な指針となる戦略やビジョン、つまり「企業セオリー」を策定し、その戦略を追求するのに必要な資金を調達することである。ただし、投資家は何が最適な戦略かについて自分達なりのセオリーを持っている。このためCEOは時としてすでに定めた企業セオリーを守り続けるか、市場が求める指針に従うか、二者択一を迫られる。この決断を下そうとすると、往々にして「自分の務めは市場の歓心を買うことだろうか、それとも創造性と洞察力を発揮して、投資家には見えていない価値創造への道を構想、追求することだろうか」と言う自問自答に行き着く。将来的に最も大きな価値を生み出す戦略は、この上なく異色で評価が難しいため、現時点では過小にしか評価されない。
言うまでもなく、ビジョンが正しいかどうかは予め知りようがない。CEOにできるのは、入手可能なリソースを活かして価値を創造し、優れたセオリーを拠り所に前進することだけである。

本記事は私が起業して経営を行う際に役にたっていると感じている経営戦略の小ネタを備忘録的に記事にしているシリーズものですが、あくまで備忘録的に書いてあるため、テーマが全体を通して構造化されていない点はご容赦ください。

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