絵画を「測り売り」 東急ハンズ、大きさと価格を連動 (日本経済新聞 2014/8/20)|ART-Meter(アートメーター)事業について/ニュースななめ斬りbyギックス

AUTHOR :  田中 耕比古

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田中 耕比古
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定性的なものを、定量化する

本日は、日本経済新聞より、絵画の「測り売り」を行っているART-Meter by 東急ハンズ について取り上げます。

記事概要

※有料記事ですが、以下に引用する記事冒頭部は無料公開されています。

東急ハンズは絵画の大きさと価格を連動させた販売方式を取り入れる。「絵の測り売り」と称し、アマチュア画家などの作品を9月から渋谷店(東京・渋谷)や新宿店(同)、池袋店(同・豊島)で順次売り出す。価格設定を分かりやすくして、幅広い消費者層の購入につなげる。

同社は「アートメーター」と呼んでおり、絵画の基本料金は1平方センチメートル当たり最低5円(A4サイズで約3100円)で設定する。

【出所:http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ2004V_Q4A820C1TI0000/ 】

事業の概要

記事の後半でも語られていますが、この事業は、もともとは面白法人カヤックが手掛けていた事業です。インターネット上で個人間での絵画の売買を仲介する、というコンセプトでした。(僕の友人が、以前、ここで絵を販売していて、実際に数枚購入した経験があります。)

基本的な考え方として「画家のレベル」と「絵の大きさ」で、「絵の値段」が決まる。というのが、この事業の特徴です。また、画家のレベルは、実績としてART-Meter上で販売した「累積面積」によって上昇します。

つまり「売れている画家の絵で、大きなものほど高くなる」という仕組みですね。

※厳密な価格ルールは、ART-Meter by 東急ハンズ にてご確認ください。

東急ハンズに営業譲渡

2014年4月に東急ハンズに事業を譲渡します。

プレスリリースに「譲渡後は東急ハンズの流通ノウハウや店舗ネットワークの活用により、より一層のサービス充実を目指します」とありましたので、注目していたのですが、約半年の準備期間を経て、シナジー発揮に漕ぎ着けた、というところでしょうか。

プレスリリース|http://www.kayac.com/news/2014/04/artmeter_hands

「良くわからない価値」を「定量的にする」

この事業の面白い所は「価格は”市場”が決める」という原則を打ち立てたところだと思います。

絵を描く、という行為は、創作活動ですので「値段が付けにくい」と僕は感じています。そして、その中でも特に「相場観が分からない」ものではないでしょうか。(そういう意味では、小説もそうでしょうし音楽もそうでしょう。もっと言えば、コンサルティングもそうだと思っていますが、これらには一応の「相場」があります。)

妥当な相場が良くわからない上に、買い手にしてみれば、結局のところ「好きか嫌いか」でしか判断できない商品なわけで、他人がどう思おうと「払える金額」は自分で決めることになります。

一方の売り手(描き手)にしてみれば、他の画家の絵と「明確な優劣」がつけにくいものでしょうから、「もっと高く売れてもいいのに」と思うことも多々あるでしょう。

この「良くわからない価値」を「市場が定量的(機械的)に決めちゃう」という所が、非常に面白いと当時から感じていました。

「ルール」をつくってしまう

「芸術家」にとって、作品は命を削って描いている分身なのかもしれません。それに対して「妥当な値段」をつけることは非常に困難です。(コンサルタントである僕自身、僕のコンサルティングフィーの妥当性は評価できません。しかし、”この価値は、他の誰にでも出せるわけじゃない”という自負もあるため、”そんなに安く見られても困る”という想いもあります。芸術家の皆さんも、それと同じなのではないかと勝手に想像しています)

ART-Meterでは「価値」の算定ルールを明確にしました。客観的かつ定量的に、そして機械的に価格を決めてしまおう、というわけです。

大きさ

芸術に関して門外漢な僕ですが、「大きい絵は高い」「小さい絵は安い」という事に対しては、非常に納得感があります。

同じ作家が、同じ技法で、同じような絵を描いたとすると、大きさが大きい方が、工数がかかっているだろうな、と感じてしまう「労働対価」として評価してしまっているからでしょうね。きっと。

作家サイドからすると「ちがうんだよなー。わかってないよなー。」と思われるのかもしれませんが、絵を学んだこともなければ、真剣に仕事として描いたこともない一般人の感覚なんて、”せいぜいそんなもん”なのではないかと思うのですね。

8/30 追記:「”号”でいくら、という考え方が美術界にはそもそもある」というご指摘を頂戴しました。言われてみるとその通りです。門外漢ですみません。その上で補足しますとアートメーターの単位はcm2(平方センチメートル)です。「号」という業界内の単位ではなく、世の中一般に通用するサイズ感で「測り売りする」というところが、業界内外・プロと素人・描き手(売り手)と買い手の共通言語となり、流通の裾野を広げるのに一役買うのかなと思います。(認識が間違ってたら、ご指摘くださいませ)

画家レベル=販売実績

また、画家レベルという概念も「定量的」でわかりやすいと思います。

実績が少ない=新人 or 人気が無い ということですので、安くて当然。実績が多い=人気が高い ということで高くて当然。という感覚ですね。

どれだけ優れた商品も「買い手がついて初めて価値が出る」わけです。需要曲線と供給曲線って奴ですね。このモデルは、需要曲線を疑似的に描いてくれる仕組みなので、非常に面白いなと感じていました。

※現在は、画家レベルが一定以上になると、自由に単価を決められるようになっているみたいなのですが(つまり、安くしても高くしてもOK)、以前はもっと自由度が低かった(つまり、自動的に価格が上がっていく仕組みだった)ように記憶しています。間違っていたらすみません。

 

この上記の二つの概念で、絵の価格を「見える化」したことは、非常に面白いと思います。このスキームの基本コンセプトは維持したまま、東急ハンズが「リアル店舗」をどのように活用して、どういう方向に展開していくのか、興味は尽きませんね。続報を待ちたいと思います。

ご参考:

カヤックさんの「9年間ありがとう ART-Meter座談会」という記事も、非常に面白いのでご興味のある方はご一読ください。

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