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【”考え方”を考える】メールを「書ける人」と「書けない人」:コツは”構造化”・”想像力”・”条件分岐”

AUTHOR :  田中 耕比古

メールを書けない奴は、仕事ができない奴

世の中には、二通りの人がいます。メールを書ける人と、メールを書けない人です。

今日は、「メールを書く」ということについて考えてみたいと思います。

ちょっとした用事なら、電話の方が早い?

電話は、とても便利なツールです。でも、僕はメールの方が好きです。相手の時間を取らないから。そして、ログが残るから。

電話は、相手の時間を取ります。今、この瞬間に10分、15分、20分と。もちろん、インタラクティブにコミュニケーションできて誤解やズレがなく物事を進められるという利点はあるけれど、だったら対面で話した方がいいんじゃないかと思ったりもします。

そもそも、何を話したいのかという「構造化」ができていない人と電話すると、まさに時間の無駄です。対面なら、構造化からお手伝いしますが、電話で構造化してあげたとしても、それがどの程度伝わってるのかさえよくわからない、ということがままあります。

メールを書く=構造化、想像力、条件分岐

メールを書くことは、論理的思考の格好の練習です。一方通行で情報を伝えつつ、必要なアクションを相手に取ってもらう必要があるわけですから、情報をきちんと整理することが求められます。

その際、重要なのは「構造化」「想像力」「条件分岐」です。

構造化

まず、当たり前のことですが「構造化」が重要です。相手に何を求めているのか、自分が、この状況で何に困っているのか。相手に判断してもらいたいことは何か。前提として共有しておかねばならないことは何か。

また、論点が複数あるならば、それぞれの論点のレベル感や、意思決定のポイントなども、キチンと「読んでわかる」レベルまで構造化しておく必要があります。

想像力

続いては、「想像力」です。相手は、ひとりでそのメールを読むわけです。その人の立場を”想像”してメールを書く必要があります。

前提情報は十分足りているか、相手の知らない用語は無いか、判断するために必要な情報は十分か。メールを受け取った相手の立場に立って、しっかりと”想像”することができるかどうかが、良いメールかどうかを分けます。

例えば、自分の手持ちの情報だけでは相手の判断に不十分な場合、他の誰に聞くべきかを考えれば、その人を Cc に入れておく という行動にでられます。(勘のいい人なら、Ccに入っている時点で、補足してくれたりもします。)

あるいは、自分の発言というだけでは相手が不安に思うだろう、という場合には、情報の出所(参考URLだったり、伝聞の場合は発言者名だったり)を明記しておくのも良い案です。

条件分岐

さて、ここまでは「一般的なメールの書き方」の話です。しかし、ビジネス上、最も重要なのは、3つ目「条件分岐」です。

先ほどから書いている通り、相手はひとりで読みます。そして、情報は常に一方的に与えられます。途中で「違うな」と思っても、相手は聞き返すことができませんし、方向修正もできません。

その場合、どうなるのかというと「AならばXだが、BならばY」という「条件分岐」を明記することです。非常に卑近な例ですが、レストランの予約を部下に依頼するシチュエーションを考えてみましょう。

  • 明後日の夜、自社2人、顧客2人の4人で会食を行う。
  • 予算は一人5,000円程度。和食が良い。個室が望ましい。できれば座敷は避けてほしい。
  • 恵比寿のXXXXに電話して、奥の個室があれば、押さえる。なければ手前の半個室。刺身の盛り合わせをオーダーしてほしい。
  • そこがダメなら、広尾の○○○○。2つある個室の、大きい方があいていなければNG。
  • どちらも満席の場合は、上記条件で適当に探してほしい。
  • 明朝には先方に連絡したいので、今日中に予約を完了して、結果をメールで教えてほしい。

という感じでしょうか。3行目以降が条件分岐になっています。(敢えて箇条書きにしていますが、実際には文章で書くことが多いでしょう)

他に、もっと直接的に仕事に関する例を挙げるならば、「今日はAというタスクとBというタスクをやる予定だったが、先ほどXXさんからCというタスクを振られた」という状況などが典型的です。AとBのどちらをCに入れ替えるか。そして、A(もしくはB)とCのどちらを先に着手・完了すべきか。ということをキチンと文章で伝えられるかどうかが鍵です。

この「条件分岐」が正しくできないと、メールに記載の情報が、相手の認識と異なっていた場合に、そこでスタックしてしまいます。

日々、是修行。レビューしてもらえるうちが華。

このように、メールを書くということは、自分の思考を整理する非常に良い訓練になります。分かりやすいメールを書けない人は、自分の論理的思考力に対して、一度疑問を持った方が良いと思います。

もちろん、メール書いても返事なんて来ないから電話しろ、というご意見もあるでしょうし、それを批判するつもりはありません。しかし、安易に電話するのは、安易にミーティングをセットするのと同じくらいダメだと思います。電話をする前に、伝えたいこと・判断してほしいことなどを整理しておくべきです。

成長のためには、完璧に「読めばわかる・読んだら判断できる」レベルのメールを送った上で、電話する、という手順を惜しまないことが大切です。訓練なしに、技術の向上はありません。正直な話、レビューしてもらえる間が華ですよ。そのうち諦められちゃいます。若手の間に、日々、徹底的に精進しましょう。

(尚、僕自身を振り返ると、反対に「メールに寄りすぎ」という反省の気持ちが強いです。NTTdocomo の iPhone6 に機種変更したことで、強制的に「カケホーダイ」プランになっちゃったことも踏まえて、もうちょっと積極的に電話することにしようと思う今日この頃です。何事もバランスが大事ですよね。)

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