clock2014.11.14 09:11
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第12回 総集編/ベンチャー社長の「オフィス移転プロジェクト」

AUTHOR :  網野 知博

ベンチャー企業としてもう一回初めてのオフィス移転をするとしたら

弊社は2014年8月中旬に新オフィスに移転致しました。新しいオフィスに引っ越ししようかな、と思い始めたのが2014年2月上旬。それから半年ほどで無事に引っ越しました。分からないことだらけでスタートしましたが何とか無事に引っ越すことができました。次にオフィスを移転する時の備忘録もかねてオフィス移転までの経緯を連載で書いていこうと思います。普段記載しているOwned Mediaの記事と比べると非常に緩い連載になりましたが、ついに今回で最終回を迎えます。

前回の「第11回 インドネシアから到着した家具が搬入される 後編」では、ついにオフィスに家具が搬入されて内装工事が進んで行く話を書いてきました。今回は引っ越しを終えて3ヶ月弱、内装工事も完全に終わり1ヶ月の状態ですが、もしもう一度初めての引っ越しを行うとしたら、どのような進め方が理想的であったかということを振り返って見たいと思います。

Step1:自分達より少し大きなベンチャー企業のオフィスを見学しまくる

さて、改めて振り返ってみると、最初にすべきは回りのベンチャー企業のオフィスを色々と見学させてもらって、自分なりのイメージを固めていくことが必要だったなと思いました。自分たちと比べた際に多少大きい企業。多少というのは、自分たちの成長スピードと比べて半年から数年くらいの期間で先を進んでいるベンチャー企業ですが、手当たり次第見学させてもらう必要があったなと反省しています。まあ、ベンチャーでなくて、数十年やっている企業でもいいのですが、知り合いを含めて今後想定される規模の同規模からそれ以上のイケてそうなオフィスを見まくる、紹介をしてもらうという行為から入るのが無難であると考えています。

今は私もオフィス移転に関してそこそこ語ることもできますし、いわゆる「DosとDon’ts」であるこうしたほうが良い、すべきでない、というアドバイスも出来るようになります。(信頼できる)先人達の知恵をフルに活用したほうが効率的であったなと思います。実際に中を見せてもらい、使いやすい点、使いにくい点や改善点、こういうところに気をつけたほうが良いとか、こういう点は入ってから意外と良かったよ、などという定性情報は非常に役立つと思います。企業のステージや規模、社員の働き方によりそれは当然ことなるため、その企業や社長の人となりを理解できている企業で定性情報を聞いていければ、自分なりに解釈ができると思います。

Step2:信頼できる筋から信頼できる営業を紹介してもらう

今回のオフィス移転の最初の勝因は信頼できる営業と知り合うことができたからです。ネット時代が全盛とはいえ、Webサイトで検索しながら候補の物件を探していくことは正直お薦めできません。なぜなら、最初のオフィス移転は、自分自身にどのような要求項目があるのかを把握できていないからです。把握できないからこそ、ネットで調べてイメージを固める必要があるとお考えの人もいるでしょうが、世の中の法人向け不動産検索サイトははっきり言って非常に使いにくいので、そこで時間を使うよりも、もやっとイメージを伝えて、それに該当する候補をバラっと並べてもらい、その中で自分が必要とするものが何なのかを明確にしていくほうが合理的と考えます。確かに仲介料は家賃の1ヶ月分かかりますが、知識も豊富なプロフェッショナルに対する対価とすれば安いものです。ベンチャー企業の移転先は家賃もたかが知れているため、1ヶ月と言っても絶対額で見ても大した金額にはなりません。笑

今回はCBREという会社の大塚さんという営業マンをアクセンチュア時代の後輩から紹介を受けたのですが、(当分引っ越しの予定もありませんが)次も頼むなら彼がいいなと思うくらいしっかりと対応してくれました。ちなみに、サイトの会社紹介は英語ですが、担当はちゃんと日本語が話せる日本人です。笑

Step3:オフィスのタイプを選ぶ

大人数の大手企業ならオフィスを賃貸する場合に選択肢は限られますが、少人数のベンチャーだと大きく4つのタイプから選ぶことができます。「サービスオフィス」か、「通常の賃貸」か。また、「内装や家具があるか」、「内装や家具がないか」

賃貸で内装や家具がある場合は、居抜きと言われる前の人が使っていたものをそのまま活用するパターンなので、ちょっとこれは例外的になりますが、それでもベンチャー企業は成長過程において、契約途中であっても比較的早くオフィスを移転することもあるので、知り合い経由で居抜きで使わせてもらうることもできると思います。

ちなみに、弊社も内装を相当いじってしまったので、原状回復が怖い状況でして、移転する際にはそのまま引き継いでご利用頂ける企業がいるといいな、と密かに強く思っています。笑

ちなみに、上記の4パターンでどれを選ぶべきか。初めてのオフィス移転なら、内覧はバランスよくしてみることだと思います。内装やデスクに金をかけなくて良いということは、金と時間を買う、次に移転する時の自由度が上がる代わりに、当面の自分たちの居住する城に対する設計やデザインの自由度が低くなります。これはトレードオフですし、サービスオフィスならどの程度の広さや設備のグレードでどの程度になるのか、というのを知るためにも複数の内覧をおすすめします。ということで、もう一度初めての移転をする場合もタイプ別にポートフォリオを組んで内覧の見学を行うと思います。

Step4:内覧する

前回の反省点は半日で8件も物件を見たことでした。足がパンパンになりました。笑 もしもう一度するなら以下の進め方でしょうか。

  • Day1:比較的多くの物件を見ていき、その中から候補を絞る。
  • Day2:絞った候補物件を入念に見て回る。ビルやテナント内、共用施設だけでなく、周辺駅への道のり、オフィス近辺の飲食や買い物事情、など。

内覧の際には不動産仲介業者の営業さんの他、不動産会社の営業さんも同行するため、あまり回数を行うのは気が引けますが、それでも2回は勝負しても全く問題ないと思います。また、上記で物件を絞った後に、もし時間があれば、オフィスビル周辺を朝やランチ時、夜なども見て回ると良いかもしれません。私はそこまでしませんでしたし、結果としてマイナス面はなかったのですが、何か不満点があった場合に、それを許容できるか否か。当然投資額にも上限があるため、完璧なる理想はありませんが、絶対に許容できない何かがある場合はそれを把握する必要があります。

「三田」移転後に、丸の内などに行くと、歩いているビジネスパーソン(男性、女性共に)の服装やかっこよさがあまりに違い、愕然としていることは事実です。笑 多くは語りませんが、今までは赤坂アークヒルズにいたので、三田国際ビルに来た際に、でれっと、ぶかっとしたスーツ姿のサラリーマンが大量にいた事に衝撃をうけるとともに、気分的には相当ブルーになったことは簡単に触れておきます。笑

Step5:デザイン会社を選定する

今回はデザイン会社の選定において4社コンペをしました。友人からの紹介と、不動産仲介業者からの紹介で3社、合わせて4社になります。こちらも不動産仲介業者の紹介とかぶりますが、信頼できる人から、信頼できる会社を数社紹介いただきコンペをするに限ります。Webで選んで1社だけとかは絶対に避けたほうが良いと思います。企業によって、得意、不得意もあります。今回もメーカーオフィス什器一辺倒で一番カッコ悪い提案になった企業が一番高い見積になりました。ですが、そのデザイン会社さんが得意とするタイプもあるわけで、自分が作りたいモノとデザイン会社さんの相性というものがあると思います。オフィスの内装などは、横比較できる自動車のスペックのようなものとは違うため、複数社からの選定にしたほうがよいでしょう。また、デザイナーの質に応じて左右するので、どこの会社というよりは、誰が受け持つか、デザイナーは誰かということが重要になります。

今回は株式会社ヴィスさんにご依頼しました。次回移転時にも無条件で使うかとなると、おそらくは次回もコンペをすると思います。今回のオフィス移転に関しては非常に満足はしています。プロジェクトマネジメントでちょっとしたモタツキがありましたが、それでもデザイナーもプロジェクトマネージャーも非常によくやってくれました。ただ、今回は求める内装に対して担当してくれたデザイナーの思想がばっちりフィットしたのですが、次回移転するオフィスに求める思想もバッチリフィットするかわからないので、決め打ちはよろしくないだろうなと考えています。

Step6:内装工事と家具

今回はオフィス家具と造作の本棚をインドネシアのジャカルタで作りました。では、これをもう一度やるかと言われるとおそらくは否、という形になると思います。初めてのオフィス移転で、「自分なりに伝説になるような何か」を求めていたので、横幅で3.7m、500kgもある一枚木のセンターテーブルなどを含めて今回の判断は良かったと思っています。とは言え、”日本では無い地”にて商品を作ってもらうと色々と面倒なことも発生します。

例えば、椅子が早速壊れたのですが、日本の既成品なら新品に替えて下さい、もしくは修理してくださいですむのですが、インドネシアではそうは行きません。新品を一つ新たに作って送ってもらうのか、修理するにしても、インドネシアから来てもらうのか、もしくはこちらから送って、また送りなおしてもらうのか。オフィスの家具も全てを造作で作っているので、椅子が一つ欠けた場合に、そこだけ別の椅子を入れることは総合的にバランスが崩れたりします。

そういう点で、振り返って当時の自分にアドバイスするなら、「日本で調達可能な既成品にしておきな!」と言うことでしょうか。当時の自分がおとなしく話を聞くとは思えませんが。笑

 

というわけで、自分なりに振り返ってオフィス移転にまつわる検討事項、意思決定事項をstep論に沿って記載してきました。再び初めての移転をすることはないため、次回はいくつか省けるステップもありますが、自分の思考のプロセスを備忘録としてまとめる意味でも長々と文章を記載してきました。どこまで参考になる情報かわかりませんが、オフィス移転を考えてお読み頂いた方のお役に立てれば幸いです。

 

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