プロフェッショナル・ビジネスマンになろう(4)|あるべきQuick & Dirty(クイック・アンド・ダーティー)を目指せ

AUTHOR :  田中 耕比古

Quickに出せ。Dirtyではないものを。

プロ、即ち、プロフェッショナル、という言葉を「知らない」という人はいないでしょう。しかし、プロとは何か、ということに関する明確な定義を持って、その言葉を使っている人は少ないと思います。

本連載では、プロフェッショナルとは何か、について考え、そして、プロフェッショナル・ビジネスマンとして生きるためには、どうすればよいのかについて論考を進めます。

前回は、プロがこだわるべき「品質と納期」の”目指すべき基準”について論じてきました。今回は、それを踏まえた「正しいQuick & Dirty」について考えてみたいと思います。

Quickは絶対に満たすべき。Dirtyはできれば避けたい要素。

連載第2回でも触れた通り、Quick & Dirty の大前提は「時間をかけたらいいものが出せて当たり前」です。ですので、時間をかけてもいいものが出せない人は、もっともっと、「品質」という意味で修行することが必要です。その上で、Quick & Dirty とは、決して「Quickに出せば、Dirtyでもいい」のではなく、「与えられた時間の中で、限界まで100%に近づけたもの」であるべきです。

つまり、”Quick”はMUSTですが、”Dirty”は可能ならば満たさないほうが良い条件なわけです。

図:第2回で提示した「Quick & Dirty」

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これに、前回の「顧客基準」と「自分基準」の考え方を加味すると、このようになります。

図:目指すべきQuick & Dirtyとは?

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つまり、求められた納期に向けて「理想のライン」で品質をあげていくわけです。そして、早いタイミングで「顧客基準」を上回ったアウトプットを提示するのです。これが「本来あるべきQuick & Dirtyです。

この形で成果物を出せると、顧客(あるいは上司)に、二つの驚きを与えられます。

図:目指すべきQuick & Dirtyとは? (2)

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ひとつめの驚きは、Quickラインを超えたときです。顧客基準=求められている品質に届いていますので、この時点で「わかっている」「理解されている」ということが伝わります。これを出せると、顧客(あるいは上司)からの信頼感が深まります。

そして、ふたつめの驚きは、本来の納期に達したときです。相手の期待していた納期において、前回見せたものを上回る完成度(それが、つまり、プロとしてのコダワリを満たす完成度)になっていることにより、依頼者は、次回も、あなたに仕事を頼もうと考えてくれるでしょう。

ここで重要なのは、「もともと相手と合意した納期に、自分基準を満たした形で納品する」ということです。これまでの連載でも述べていますが、納期も品質も、どちらも顧客の基準を満たすことが必要ですので、自分が納得できないからと納期を引き延ばすようではプロとは呼べません。

(尚、言わずもがななのですが、Quick & Dirtyの最大の目的は「方向性が大きくずれていないこと」を確認することなので、その目的を満たせないような成果物を出すことも「独りよがりの品質無視」に相当します。誤解なきようにお願いします。)

 

今回は、あるべきQuick & Dirty(クイック・アンド・ダーティー)について考えてきました。次回は、この「あるべきQuick&Dirty」を実現するために必要な「スピード感」について考察を深めたいと思います。

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