Ingress(イングレス)の「狙い」は?|Googleの戦略を勝手に予想/ニュースななめ斬りbyギックス

AUTHOR :  田中 耕比古

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田中 耕比古
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膨大な情報を使って、どんな戦略を描くのか?

手袋をしないでイングレスをすると、霜焼けになりそうな季節が訪れていますが、皆様、ハックしてますか?

本日は、知ってる人はどっぷりハマっていて、知らない人はナニモノなのかも良くわからない、Googleの提供するMMMMORPG「Ingress(イングレス)」を取り上げてみたいと思います。

Ingressとは

前述のとおり、知ってる人は既にハマっていて説明の必要がないものの、知らない人は全く知らないので、簡単に説明しておきますね。

MMMMORPG=現実の地図を使った大勢が参加するRPG

イングレスは、MMMMORPG という分類になります。

そもそも、世の中にはMMORPGというものがありまして、これは、Massively Multiplayer Online Role-Playing Game の略です。意味としては、wikipediaによると「大規模多人数同時参加型オンラインRPG」とのことです。

そのMMORPGに、さらにMが二つくっついているこのゲームは「Map-based Mobile MMORPG」という意味です。つまり、「リアルな地図を使って、携帯端末で大勢が参加する同時参加型RPG」ということになります。

歩き回って経験値を稼ぐゲーム

ゲームの「世界観」の説明はさておいて、このゲームに参加して、具体的に何をやるのかというと、「現実世界を現実の地図に沿って歩き回って、定められたアクションを取る」ことになります。特に最初のうちは、経験値を得てレベルアップするゲームだと思っていて大丈夫です。具体的なアクションとしては・・・

  • HACK(ハック):町中にいっぱいある「ポータル」というものをクリックする
  • LINK(リンク):味方のポータルと味方のポータルをつなぐ
  • FIRE(ファイア):敵のポータルを攻撃する

みたいな感じです。色々と諸条件はありますが、歩き回ってこれらの行動をやってると、経験値を稼ぐことができてレベルが上がっていきます。

二組に分かれた陣取りゲーム

尚、ゲームの中は「緑」と「青」に分かれています。ゲーム開始時に、どちらかを選ぶことになります。ちなみに、緑は世の中を改革しようとする勢力で、青は抵抗勢力です。

そして、先ほど説明したアクションの一つである「LINK」で領域を三角形に囲っていくことで、囲ったエリアを「自分の色」に染めることができます。緑と青のどちらが、世界を多く染められるか、というのが本当の目的なのですが、まぁ、プレイヤーの大半は、そんなことを気にしているわけではないと思います。

とりあえず、こんな感じで理解しておけば前提知識としては十分ではないかと思います。もっと詳しい情報は、ググってみるといくらでも出てきますが、とりあえず、定番のwikipediaさんにリンクを貼っときますね。(ちなみに、僕は緑陣営です。)

Ingress は、情報活用の可能性を秘めている

僕は、エージェント(緑か青のメンバーのこと)としては、開始1ヶ月の新米です。ヤリコミの一つの目安であるLv.8に、もう少しで手が届くLv.7の中盤にいます。そして、参加してからこのひと月の間、日々、楽しくハックハックして過ごしています。

このゲームを始めてから、かなり生活様式が変わりました。具体的にいうと、

  • 移動の際に、一駅くらいなら普通に歩く:先にあげたHACKやLINKなどの行為をするには、歩いての移動が最適です
  • 夜や週末に出かける散歩エリアが拡大:ヤリコミ基準であるLv.8到達後には、新しいポータルへのHACKやFIREが必要になります
  • これまで気付かなかった寺院・神社、公園、お店などを発見:ポータルは、寺院・神社などの歴史的建造物や、町中に点在するアート作品にセットされています

などでしょうか。要は、たくさん歩いて、いっぱい寄り道して、いろんな発見をしてるわけですね。

しかし、そんな生活をしながら、非常に興味深く感じているのは「この行動ログの情報は、凄い価値がある情報なのではないか」ということです。

Ingressで蓄積される情報群

僕がイングレスをプレイする中で、Google先生に日々蓄積されている僕の行動ログには、以下のようなものがあります。

  • 位置情報:HACKするのにGPSを使っていますので、これで、出没エリアや、そこへの出没時間帯が分かります。
  • 移動距離:当然ながら、移動して行動する、の繰り返しですので、移動距離が分かります。
  • 移動手段:直接的には移動「速度」なのですが、徒歩か、自転車か、車・バイクか、電車か、くらいの区別はつけられるでしょう。

さらに、地図情報に対して付加情報を与えることにもなります。

  • 具体的な「ランドマーク」情報:ポータルは、プレイヤーが申告して登録されます。その際に、写真と名称、そして説明文がセットされます。また、写真は、いろんな人がアップすることができますので、一つのポータルに対して時間帯や季節の違う写真が複数枚セットされることになります。

Ingressに紐づけられる情報

また、その行動ログは「ヒト」に紐づけられます。というのも、ゲームの初期段階で「Googleアカウント認証」を推奨されるのです。(正確には、認証しないと、所持アイテム数が制限されてしまいますので、ほぼ強制といってよいでしょう)

これにより、

  • 検索履歴、表示履歴
  • Chrome利用者なら、アドインのDL履歴
  • Gmailの利用情報
  • Google+の投稿内容(まぁ、少なくとも、日本ではそんなに大勢が活用してるわけではないでしょうが)

Gmailの利用情報については、実際に、どの程度まで使っているのかは知る由もありませんが、倫理面を横において技術的に考えるならば全ての記述内容を解読できます。そうなると、Amazon等での購買履歴や興味関心の範囲なども把握できてしまいます。(やってるかどうかは知りませんが、”できる”のは間違いないと思います)

Googleが活用できる領域

これらの情報が、多量のプレイヤーに関して蓄積されているわけです。それらの情報を組み合わせると、本当に様々な活用が考えられます。

最初に思いつくのが「プレイヤーの健康状態」です。そもそも、どれくらい移動しているか。移動している場合の移動距離・移動方法によって、健康維持のための運動習慣がどのていどあるのか、というようなことが分かります。

次に「生活圏」が分かります。どのあたりに住んでいて、どのあたりに勤めているのか。出社時間・帰宅時間はどのあたりか、というようなこともわかるでしょう。これによって「あるエリアのベッドタウンとして機能しているのはどのエリアか」ということが解明されます。

さらには「旅行」も分かりますね。世界中どこにいっても(電波さえあれば)行き先が分かりますので、いつ、どこに旅行に行ったのかがわかります。平日は東京エリアだけにいるのに、ある週末に福岡でHACKした記録があれば、おそらく旅行だろうなと思うでしょう。さらに、年に4~5回、福岡でHACKしているなら、実家などの拠点があるのだろうなと考えられます。あるいは、平日も含めて頻繁に全国各地を飛び回っているならば、そういう仕事に従事しているのではないか?というような仮説も立てられるかもしれません。

もっと踏み込むならば、その人の「物事への取り組み方」も透けて見えるでしょう。とにかく、移動してHACKするだけか、こまめにLINKを貼るのか、MODを追加するのか、頻繁に攻撃するのか、頻繁にメッセージを送ってコミュニケーションをとっているか、などの「行動パターン」が見えてきます。例えば、ポータルにMOD(防具類)を追加するなら献身的なタイプだろうとか、メッセージのやり取りをして誰かとペアリングして行動するのは協調性が高いだろう、などが見えてきます。また、時間があるときだけやるのか、時間がないときでもとりあえずHACKだけするのか、ということから、効率的に物事をこなすのか、地道な努力を好むタイプなのかなどもわかりそうです。(ちなみに、誰とペアリングすることが多いのか、だとか、メッセージと対応してペアリングしているか、なども把握できると思います)

どう使うか?

これらの情報で、「ヒト」をより深く知ることができれば、モノやサービスをレコメンドすることも容易いと言えます。

例えば、健康状態・運動習慣から、割安な保険を提案することもできるでしょう。

あるいは、旅行の傾向から、格安航空券なんかの提案もいいですね。

火曜・水曜の移動が多い=お休みだろうと分かれば、月曜火曜の夜に出没するエリアの宴会クーポンなんかもウケそうです。

なんでしたら、車(と思われる)もので移動している際の移動速度の速さから、「危険な運転をする奴だ」というフラグを立てて、損害保険のリスクグレードを引き上げる、みたいなこともできるでしょう。(と、書くと、消費者にとってマイナスに聞こえるかもしれませんが、そういう人を除外することで、安全運転をする人には、より割安なサービスの提供が可能となるわけです。)

さらに、Google MAPの保持情報を拡充することができます。アップされた写真で、ストリートビューを補完・強化(夜とか、冬とかの写真も集まる)していくのみならず、その場所を訪れる人が「どのあたりに住んでいて、どういう行動をとる人なのか」「どういう趣味・嗜好の持ち主なのか」ということが分かりますので、地図情報側に厚みを持たせることができます。

このように、サービス活用の機会は無限にありますので、大勢がリアルタイムでアクセスする状況に耐えうる尋常ならざるマシンリソースを準備してまで、イングレスを無料で提供する価値は十分にあるように思います。

情報を「つないで」「解釈する」から価値がある

今回の話の肝は、Ingress(ゲーム) - Gmail(e-mail)- Google+(SNS) (- Google MAP(地図)) という連携があるところです。

結局のところ、単に情報を貯めるだけでは意味がなく、情報をつなぐことにこそ価値があるわけですね。こういう情報の蓄積・活用については賛否両論ありますが、僕の個人的見解としては、それを使って適切なレコメンドなどをしてくれるのは喜ばしいことだなと思っています。それらの情報を外部・第三者に提供することの是非は論じられるべきと思いますが、適切な情報活用そのものは別に悪いことではないし、監視されている!などと不必要に恐れる必要もないと僕は思います。

この活用にあたって、これらの「つないだ情報」にに、どういう「意味」を与えるかこそが鍵です。そして、その部分は「人間」が考える領域だと僕は思っています。(それもいずれAIができるようになるんじゃないか論者の人もいらっしゃいますが、僕はそうは思いません。)このような膨大な情報が蓄積されてくる未来においてこそ、ギックスが提唱する「データアーティスト」というケイパビリティは、今後ますます重要になると思う次第です。

以上、Googleが、イングレス(Ingress)を使って狙う「次の一手」を勝手に考えてみましたが、実際には、どういう展開になるのでしょうか。僕の予想を大きく上回る何かを投入してくるのではないかと思うと、今から、ワクワクしちゃいますね!

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