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カウント別打率ランキング 【パリーグ】|プロ野球データでクロス集計 with Tableau 第4回

AUTHOR :  花谷 慎太郎

2014年のプロ野球全打席データをクロス集計していきます

2014年のプロ野球の打席データを全量(約6.6万件)手元に置き、さまざまな切り口でクロス集計して、プロ野球全体の打席の傾向を見ていく「プロ野球データでクロス集計 with Tableau」の連載シリーズ。

第3回の前回は、「余裕時(=余裕があるカウント)」と「追い込まれ時(=追い込まれたカウント)」で、どの打者がよく打つのかという状況別打率ランキングのセリーグ編を紹介しました。本日はパリーグ編です。

【パリーグ】余裕があると打つ打者 vs 追い込まれても打つ打者

最初に「余裕時」と「追い込まれ時」の定義の復習です。ストライクカウントで打率が顕著に違って、0~1ストライク時の打率は高く、2ストライク時の打率は極端に低い傾向があるので、「余裕時」を0ストライクと1ストライクのカウント、「追い込まれ時」を2ストライクのカウントと定義ています。

次に、ベースとなる2014年シーズンを通したパリーグ打率ランキングを紹介します。パリーグは規定打席の到達者が31名。そのランキングが以下の図の通りです。

シーズン打率_パリーグ

前回同様、ここから後の参照用に、シーズン打率順位の数字(一番左の列)と棒グラフに色を付けています。棒グラフの色は青が濃いほど打率が高く、打率が低いほどオレンジが濃くなるという形で色がついています。パリーグは、オリックスの糸井さんと楽天の銀次さんのデッドヒートの末、糸井さんの初首位打者獲得となりました。

【パリーグ】余裕があるとうつ打者

では、「余裕時(0ストライク&1ストライク時)」に限定した打率ランキング、パリーグ編をみてみましょう。

余裕時打率_パリーグ

パリーグの余裕時打率のランキングでは、西武のメヒアとソフトバンクの柳田が2トップです。この2人の余裕時打率はセリーグトップのエルドレッドの打率4割4分1厘をも上回っています。私個人としては、西武のメヒアの打撃を見る機会はなかったのですが、日本シリーズでわが愛する阪神相手に大活躍したフルスイング男の柳田は、浅いカウントからガンガン振ってくるタイプで余裕時に打率が高いのはわかりますね。第3位は糸井で、2位の柳田、3位の糸井と抜群の運動能力を持つ系統の二人が余裕時打率が共に高いというのは面白い傾向です。考えずにガンガン振ってくるということでしょうか。セリーグと比べると、青色の棒グラフの打者、すなわちシーズン打率が高い打者が余裕時打率ランキングも上位にいる傾向もみられます。

パリーグでも「余裕時の」のリフト値を見てみましょう。。リフト値も復習しておきますと、(余裕時の打率リフト値)=(余裕時の打率)/(シーズン全体の打率)で定義される、通常時に比して余裕があるカウントのほうが打率が上がる度合いです。「余裕時打率」のリフト値ランキングは以下のようになります。

余裕時リフト値_パリーグ

リフトで見ると、メヒア、ジョーンズ、中村、柳田、中島の順に並びます。やはり大砲系が並んでいますが、日本ハムの中島いついてはちょっと特徴が違いそうですね。詳しくないのですが、そつなく打つバッターと見せかけながら、大砲系のようにギャンブル的な打ち方をする打者ではないかとデータからは言えそうですね。

【パリーグ】追いこまれても打つ打者

次にパリーグの「追い込まれ時(2ストライク時)」での打率ランキングは以下のようになります。

追い込まれ時打率_パリーグ

楽天の銀次が断トツトップで、3割に迫る2割9分8厘です。次いで、内川、糸井、角中、中村と続きます。好打者系が並ぶ中、「余裕時打率」ランキングでも3位であった糸井がこちらでも3位。余裕時⇔追い込まれ時のバランスの良さが際立ちますね。追い込まれ時についても、シーズン打率からのリフト値を確認してみましょう。

追い込まれ時リフト_パリーグ

リフトで見ても、楽天の銀次が0.91でトップとなりました。次いで角中、ヘルマン、内川、今宮、岡島です。銀次は「追い込まれ時の打率」のリフトもトップで追い込まれた時のしぶとさで、パリーグシーズン打率2位にこぎつけたタイプの打者と言えると思います。余裕時⇔追い込まれ時で見た場合のタイプではセリーグヤクルトの山田選手と近いのでしょうか。投手にとっては嫌な打者でしょうね。

前回、今回とセリーグ、パリーグそれぞれの余裕時と追い込まれ時の打率ランキングを紹介してきました。紹介ではセリーグ、パリーグの大まかな傾向しか紹介していませんが、紹介したデータから、ごひいきのチームの各打者がどのようなタイプの打者なのかを確認して楽しんでください。

ちなみに前回、前々回の図はすべてTableauで作成しています。Tableauの優れているところは、試行錯誤や並び替えの簡単さで、元データを作り2次属性さえ振ってしまえば、軸やフィルターを変えるだけで簡単にこれらの図を量産できます。今後機会を見て上記図を作成したときのTableauの使い方なども紹介していければと思っております。

 

【連載記事】プロ野球データでクロス集計 with Tableau

第1回 2014年 全6.6万打席の紹介
第2回 カウント別の打率
第3回 カウント別打率ランキング 【セリーグ】
第4回 カウント別打率ランキング 【パリーグ】(本記事)
第5回 大差な時に打つ打者(概要)
第6回 火事場泥棒・焼石に水な打者 【セリーグ】
第7回 火事場泥棒・焼石に水な打者 【パリーグ】
第8回 計算フィールドの利用

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