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企業のデータ活用度を把握するたった2つの質問〜ID-POSデータ分析による実践編

AUTHOR :  網野 知博

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網野 知博
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分析結果は打ち手を教えるものではなく、所詮は方向性を議論するための材料に過ぎない

企業のデータ利活用に関する度合い、言い換えるとビジネス・インテリジェンスレベルを把握するための質問数はたった2つで済む話を書きました。本当は1つ目の質問に対して仕掛けがあるので厳密には2つの質問ではないのですが、それでも今回は2つと言う話で進めて行こうと思います。(参考記事:企業のデータ活用度を把握するたった2つの質問

さて、まずは「 貴社が大切にしているお客様をどのように定義していますか?」と言う話になります。前回も書きましたが、よくある回答として、「年間利用がXX万円以上ご利用のお客様です。」「RFMスコアがXX以上のお客様です。」と言う答えがあります。ですが、これは使ってくれた顧客がいいお客でした、と言う話であり、どういう顧客に自社の商品やサービスを使って欲しいのかと言うことにはなりません。弊社では”大切にしたいお客様”を、自社の商品やサービスを使うのに適したお客様と言うことで「自社の使うべき顧客」と言う呼び方としています。大切なお客様をこの言葉に言い換えると、RFMスコアだけで語るのは違和感がでるのではないでしょうか。RFMスコアが高い顧客が使うべき顧客なら、「使うべき顧客」は「たくさん使ってくれるお客様だ」と言う禅問答のような回答になるからです。

大切にしたいお客様の考え方 スーパーマーケット編

今回はスーパーマーケットのケースを参考にしながら、考えて行きたいと思います。
参考として、活用するデータはID-POSデータになります。ID-POSとは、ID付きのPOSデータのことです。POSデータが「何が(What)、いつ(When)、いくつ(How many)、いくらで(How much)売れたのか」を意味する情報でしたが、ここに「誰に(売れたのか)=誰が(買ったのか)」という情報が追加されると「ID-POS」になるわけです。詳しくはこちら。

私:「 貴社が大切にしているお客様とはどのように定義していますか?」「そのお客様が占める売上・利益の割合はどの程度把握されていますか?」

企画部長:うちはデータ分析をしっかりしていているので数値で把握しています。トップ2割の顧客で売上の6割を占めています。

私:なるほど。デシル分析的な事をされていて、「デシル1」、「デシル2」の顧客で6割の売上を占めているということですね。では、質問の仕方を変えさせて下さい。自分たちの店をどのように使ってくれるお客様が大事なお客様でしょうか。つまり、お客様にとって、どのような位置づけのスーパーでいたいと考えられていますか?ある調査ではスーパーマーケット複数店舗利用者は80%以上で、平均すると2.5店舗を使い分けるという結果も出ているようです。

社長:それはもちろん地域で一番のスーパーマーケットでいたいと考えている。うちの店だけを使ってくれて、スーパーマーケットで買う全ての商品をなるべくうちの店で買ってもらいたい。

私:なるほど。それはそうですよね。では、今そのような使い方をしてくれている顧客がどの程度いて、その店の売上がどの程度占められているかをご存知ですか?

企画部長:・・・・・。

私:「多頻度で店に来て、スーパーで買う商品全てを自店舗で買ってもらうのが理想」と言うことですよね。では一度分析結果を見ながら議論してみましょう。来店頻度は週1回以上、月1回以上週1回未満、月1回未満に分けます。また、利用カテゴリ数を8以上と7以下で分けてみましょう。たくさん来て、色々な物を買ってくれて、一番使うスーパーマーケットということは、一般的にはカテゴリ数が多岐に渡るはずなので、まずはこのようなセグメントでざっくり見てみましょう。このような図になりますが、どのような印象を持たれますか?これが自分たちの店の現状を示す事業構造分析になります。「メイン利用の顧客がもっと多いと思っていた」、「いやいや、思ったより多いので安心した」などと色々と気づきがあると思います。

ID-POS1

御社をメインのスーパーとして使っていると想定できるお客は全体の17%ほど存在し、そのお客様からもたらされる売上は62%にも及びます。また、この1ヶ月間で御社から8カテゴリ以上のアイテムを買ってくれたお客様は35%も存在し、売上は80%を占めています。

では、今はこのような状況だと理解した時に、今後はどのようにしていきたいと考えていますか?経営はアスピレーションだと思いますので、これを踏まえて、今後この店をどのような方向に進めていきたいのか、と言う議論があるべきと思っています。事業構造分析は言ってみれば現状を表す地図です。地図は全体がどのようになっていて、今はどこにいるのかを示すに過ぎません。地図を見てもどこに進むべきかは自動で決まるものではありません。この地図を見て、次はどの方向に向かって進みたいのか。まずは先に経営者としてのアスピレーションから議論を始めましょう。

左上のメイン利用者である顧客2割、売上6割の比率をもっと高めていきたいのでしょうか?その場合は、

  • カテゴリ数が8より多い顧客をより頻度を高く来てもらえるようにする。つまり、右上の顧客をそのまま左に移していく。
  • 毎週来てくれているがカテゴリ数少ない顧客により多くのカテゴリ数を買ってもらう。つまり左下の顧客を上へ。

などが現実的な進み方と言うことになります。

一方で、メイン利用者が2割で6割というのは相当いい数字だと思います。その場合、カテゴリ特化的な利用をしてくれる顧客を増やすという方向性もあります。例えば、カテゴリ数は少ないが、弁当やデリを中心に週に何度も買ってくれれば良い、高めのワインなどの酒を中心につまみとして輸入チーズを買ってくれれば良い、などと言う考えもあると思います。下の段のセグメントの人達の売上構成比をより増やしたいと言う考えになります。いかがでしょうか??

社長:そうだな〜。うちの場合は、、、

分析結果は経営の方向性を自動で決めるものではない

上記のやりとりはフィクションですが、事業構造分析というものと、事業構造分析から進むべき方向性を議論するというやり方を少しはご理解頂けるのではないでしょうか。たまに誤解を受けることがありますが、分析すると自動で進むべき道が指ししめされるわけではありません。上記の通り、どのセグメントの顧客をどのように伸ばしてい行きたいのか、ということに対して絶対的な正しさがあるわけではありませんし、それが自動で決まる訳でもありません。ただし、現状の事業構造を正しく知ることで、「どの顧客をどのように伸ばしていくことでどの程度のビジネスインパクトがあるのか」、「するとその目標値はどの程度におくべきか」、「そこにたどり着くための道程はどの程度大変か」などが把握できるようになります。

たった2つの質問と、事業構造分析の地図1枚でも企業の進むべき道を熱く議論するには十分な事もあります。今回は企業のデータ利活用のレベルを把握するたった2つの質問と言う事を題材に具体的な分析例をご紹介してみました。

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