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コンサルタントの提案書に学ぶ 営業思考の 7 Step 〜その⑤

AUTHOR :  網野 知博

「優秀なビジネスパーソン」と言われる人を紐解くと、「営業思考のサイクル」ができている。そのサイクルとは「(状況や背景から)“何かに気付く”」「解決策を考え付く」「(策に従い)実行する」。その「気付き」「解を考え」「実行する」のサイクルを企画書や報告書作成のビジネスの場に活用する方法を、7つのStepに分解して紹介する。
(東洋経済THINK!2010年No.32)

 

7Stepの実践編 提案書によるケーススタディ Step1

 

Step1:気付きリサーチ ~カテゴリ掘り下げ/カテゴリずらし

「リサーチで面白いネタを拾えない」、「気付きに繋がる情報を見つけられない」という悩みをよく聞く。ここでは面白いネタにたどり着くためのリサーチの掘り下げ方、リサーチ対象のずらし方を紹介する。

飲料業界で新商品を投入するためのリサーチを例に取ろう。ターゲットカテゴリは自由に選択でき、むしろ魅力的な市場を探すことが今回の目的だとする。飲料業界は5兆円市場でほぼ横ばい、完全なる成熟市場である。ここでリサーチ対象を一つ“掘り下げ”、カテゴリ毎に見てみよう。ミネラルウォーターカテゴリは規模こそあまり大きくないものの、今後の伸びは期待できる。確かに数年前から水ブームだと言われている。ではどのようなチャネルで水が売れているのか“さらに掘り下げて”みよう。店頭と宅配とで比べると、宅配は規模こそ小さいが圧倒的な伸びで増加している。その理由を“さらに掘り下げる”と、事業者、施設向けのウォーターサーバー需要が伸びており、またオフィス用カタログ通販会社から購入する需要も増えているようだ。また、「重い水をスーパーマーケットで購入し、自宅へ持ち帰るのが大変」と考える消費者が通販を活用して自宅に宅配する個人需要も増えてきているようだ。

次に“ずらして”調べてみよう。水の、オフィスや自宅へ宅配需要があるなら、他カテゴリでも同様の需要があるかもしれない。その需要を満たす新商品は考えられないだろうか。すると、次に調べたくなることは「オフィスや個人の飲料に関する宅配ニーズに関して」ということになる。【図3左】

営業思考図3

また、チャネルではなく、ドライ商品(通常温度帯)とチルド商品(冷蔵温度帯)という温度帯区分による“掘り下げ”もできる。最近はチルドの乳性飲料が非常に伸びているようだが、コンビニエンスストアでもコーヒーショップとタイアップしたチルドのカップコーヒーをよく目にする。通常のコーヒー飲料より値段が高いが、本物志向を味わえ、カフェで飲むよりは安い、というニーズに訴求して伸びているのかもしれない。それなら、駅で見かけるジュースバーのフレッシュジュースを「果汁100%の果実飲料」とは異なる訴求の仕方でチルド商品として売り出せないか、他に本物志向として売れる商材を考え付かないかとなる。【図3右】

実は市場を調査する場合に、「市場を定義すること」が一番難しい。何をもってその市場と言えるのか。近年では市場の成熟に伴って、各市場の境界線が入り乱れている。「外食」市場のリサーチで、市場の境界線を“食事”と捉えれば「中食」「内食」の動向も知る必要がある。さらに、「内食」に影響を与える存在として、「料理教室」の動向も知る必要があるかもしれない。一方、外食を食事ではなく、“趣味や娯楽、自分へのご褒美”として捉えれば、ホテルやエステ/スパ、娯楽やブランド品などの動向からヒントになるネタを仕入れてくる必要がある。

「掘り下げる」⇒「何かを発見する」⇒「その発見に類似する何かを調べる(ずらして調べる)」⇒「何かを発見する」・・・、という流れを繰り返すことで新たな「気付き」に繋がる面白いネタが発見できる。この辺は強い好奇心を持ってチャレンジして欲しい。

次回に続く

第1回 コンサルタントの提案書に学ぶ 営業思考の 7 Step 〜その①
第2回 コンサルタントの提案書に学ぶ 営業思考の 7 Step 〜その②
第3回 コンサルタントの提案書に学ぶ 営業思考の 7 Step 〜その③
第4回 コンサルタントの提案書に学ぶ 営業思考の 7 Step 〜その④
第5回 コンサルタントの提案書に学ぶ 営業思考の 7 Step 〜その⑤  ⇒今回
第6回 コンサルタントの提案書に学ぶ 営業思考の 7 Step 〜その⑥
第7回 コンサルタントの提案書に学ぶ 営業思考の 7 Step 〜その⑦
第8回 コンサルタントの提案書に学ぶ 営業思考の 7 Step 〜その⑧
第9回 コンサルタントの提案書に学ぶ 営業思考の 7 Step 〜その⑨

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