”考え方”を考える|基本もできないのに応用したがるのは悪癖です:知+守破離の4ステップ

AUTHOR :  田中 耕比古

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田中 耕比古
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高度なことをしようぜ、という悪魔の囁き

本日は、”初心者”が陥りがちな、「基本を無視して、高度なことをしたくなる癖」について考えてみたいと思います。

道を究める vs ちょっと試してみる

何かを究めようとするとき、日本では「道」という言葉を使うことが多いです。剣道、柔道、弓道、華道、茶道などですね。剣道や柔道の上位概念として、武道という言葉もありますし、それらの精神性に関しては武士道という言葉もあります。

「道」は、長く険しいです。簡単に目的地に到着することはありません。延々と歩き続けることが求められます。

しかし、世の中には「道」を究めるのではなく、「ちょっとやってみる」という思想が横行しています。これは、環境が変わってきたためであり、必ずしも悪いことではありません。例えば、スキーやスノーボード。昔は、自分で道具を一式購入して、不便な山道(しかも雪道)を自分で運転していくということで、相当の「覚悟」が必要でした。そのため、一度買ったら、それなりの期間をやり続ける前提でした。しかし、現在は、GALA湯沢のように、新幹線で目の前まで行けて、現地で道具を一式レンタルし、滑るだけ滑って終了、ということができます。こうなると「ちょっと試しにやってみる」ということが可能になります。

かくいう僕も、この記事を読んで、感化され、ポータブルDJマシンなるものを衝動的に購入してしまいました。昔からクラブ通いなんてしたこともないんですけど、「音楽をミックスする」という行為に対しては興味があったんですよね。そんな僕にとって「色んな機材を沢山買わなくてもこれ1台(とスピーカー)でOK」というのは非常に魅力的で”気軽に”トライしてみたわけです。

ちょっとやったら、できるつもりになっちゃう

Amazonで衝動買いすると、翌日には届いてしまうわけですね。そうすると、ちょちょちょいっといじってみることになります。週末に2日間ほどいじってみると、いろいろ面白いな、と感じました。

参考にしたサイトは、このあたり。

こういうのを読みながら、あれやこれやを試していると、「あ、なんか、ちょっとできたかも」と思うわけですね。

しかし、当然ながら、それは「知識ゼロ」から「初心者」になったに過ぎないわけです。この時点で「おれ、できるじゃん」と思うのは、”勘違い”って奴です。

ただ、まぁ、趣味の世界でどれだけ勘違いしても、他人には迷惑を掛けません。勝手に勘違いしていればいいんです。問題は、これを「仕事」においても踏襲してしまった場合です。器用な人ほど、その傾向が強いです。気を付けましょう。

「基本」をおろそかにして「応用」は無い

その勘違いが最も厄介なのは、自己流で始めて何かができたからと言って「それって、”できてる”わけじゃないんだよ」ということへの理解のなさです。

例えば、料理。自己流でも、それなりに美味しいものは作れるようになります。しかし、それだと「作れる料理と作れない料理」の差が大きくなります。野菜の切り方や、調味料を入れる順番などを”知らない”まま、好きな料理を好きな味に仕立てているに過ぎません。それは「料理ができる」というよりは、「自分の口に合った食べ物を、自分で用意できる」という方が正確です。(それが「悪い」ということじゃないですよ。一般的に、料理は”仕事”じゃありませんからね。)

本当に基本ができていれば、応用が効きます。一方、基本ができていないと、応用しようにも”軸になるもの”・”起点になるもの”が定まっていませんので、なかなか困ったことになります。(いわゆる「軸がブレる」ってやつです)

この「まず基本があって、次に応用がある」というのは、仕事において極めて重要です。プレゼンテーションのやり方、営業スタイル、ミーティングのファシリテーション、言葉遣い、など、あらゆる状況で「基本」があって、応用があります。端的な例は「言葉遣い」ですね。例えば、上司やクライアントなどの目上の方に対して、敢えて”ため口”を混ぜて距離を縮める、というテクニックがあります。しかし、これは超応用技術です。こんなことを、敬語も使いこなせないのにやっちゃうと、大怪我をします。

余談ですが、弊社が提供するデータビジュアライズサービス「graffe」のレポーティングも「基本から始めて、応用に進む」という思想で組み立てられています。一事が万事、ってことですね。

”守破離”で行こう

さて、そういう「まずは基本を押さえ、崩すのはそれから!」という考え方は昔からあります。代表的なのが「守破離(しゅ・は・り)」でしょう。

まずは師匠に言われたこと、型を「守る」ところから修行が始まる。その後、その型を自分と照らし合わせて研究することにより、自分に合った、より良いと思われる型をつくることにより既存の型を「破る」。最終的には師匠の型、そして自分自身が造り出した型の上に立脚した個人は、自分自身と技についてよく理解しているため、型から自由になり、型から「離れ」て自在になることができる。

出所:wikipedia(守破離)

当記事の冒頭で述べた「道」という概念は、この「守破離」という考え方と非常に相性が良いです。

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仕事においても同じです。型を守るところから始めましょう。

守る前に「知る」ことから始めよう

しかし、ここで大切なのは「守る」ためには、まず、型を「知る」ことから始める必要があるということです。

自己流でやっちゃう人の多くは、この「知る」というステージを軽視するんですね。上司や先輩に教えてもらってもメモを取らないとか、分からないことを質問しに行かないで自分で適当にやっちゃう、とか、そういう行動をしてる人は「知る」を怠っています。反省しましょう。個人で仕事してるなら、別にいいと思うんですけど、会社組織でチームプレイをするなら型を知り、型を守るところから始めたほうが、絶対に効率が良いです。(個人的には”起業する”も含めた、個人で仕事する場合にも、一応型はあると思うんです。ただ、成功するかどうかの不確実性が高すぎて、その型に意味があるかどうかが良くわからない、というだけかなと。とはいえ、大勝ちしたいなら型破りはアリですが、小さく食いつなぎたいなら基本に忠実な方がいいですよ。ほんとに。)

会社や仕事の内容によって、1ヶ月がいいのか、1年がいいのか、3年が良いのかはわかりませんが、少なくとも一定期間は「染まる」覚悟で、「知る」「守る」を徹底した方が良いです。

自分の例で恐縮ですが、僕は新卒でSEになってから2年間は、徹底的に社会人らしく&SEらしく振る舞うこと(=「守」)に注力してました。3年目にアメリカ駐在をしたあたり、「破」を意識し始め、「離」で戦略コンサルタントへの転職を決めました。で、アクセンチュア戦略グループに入ってから、1年くらいは「知る」に注力してました。右も左も分からなかったので、守るに至らなかったんですよね。で、1年くらい経ってからは少しずつ「守」ができるようになってきて、3-4年目くらいで「破」を意識し始めました。でも、「離」に至ったのは、IBMに転職し、さらには、ギックスの起業を決めたあたりだったように思います。

振り返ってみると、社会人としての型を「知る」のに3ヶ月くらい、それを2年くらい「守」する。SEとしての型を「知る」のに半年~1年くらい、それを2年くらい「守」する。戦略コンサルの型を「知る」のに1年くらい、それを4年くらい「守」する。という感じで、結構な時間を「型を知る」「型を守る」に費やしていたことになります。

この「型」を体に叩き込んだ時期が、今の僕を形作っているんだなと実感しています。この経験は、5年後、10年後に役立ちました。型を知り、守るという行為は、かの名言”コネクティング・ザ・ドッツ”のひとつのドットを打つ行為なんです。型を無視した自己流のドットは、コネクトしようとしても足場になりません。基本に忠実なドットは、他のドットと組み合わせたときに、非常に強い足場になります。他のドットと組み合わせる、ということが「破」であり「離」なのです。

ということで、皆さんも「守破離」のなかで、魅力的に見えてしまう「破る」や「離れる」にトライしたいと逸る気持ちをグッと押さえて、一見つまらなく見える「守る」や、その前段階の「知る」にしっかりと意識を向けてみてはいかがですか?まずは、強固なドットを打ちましょう!

あまり関係ない関連記事:ギックスの本棚/北斗の拳 イチゴ味|笑いも”前提”と”基本”から始めるべし

お知らせ:ギックス田中の本が出ました。

ギックス田中の2冊目の著書【 デキる人が「当たり前」に身につけている!『仕事の基礎力』 】が、すばる舎より出版されました。本ブログに連載中の「”考え方”を考える」の内容を体系的にまとめなおしました。高効率で高密度な仕事を実現するために何をすべきかを解説しています。

デキる人が「当たり前」に身につけている! 仕事の基礎力

一冊目「数字力×EXCELで最強のビジネスマンになる本(翔泳社)」も引き続きよろしくお願いします。ビジネス書らしからぬ、黄色い表紙が目印です。

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