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”努力目標”なスケジュールは悪:安易に短い線表を引くから後で困るんだよっ!|プロジェクトマネジメントを考える

AUTHOR :  田中 耕比古

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田中 耕比古
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努力目標でスケジューリングする人は、魂を捨てている

常々思っているのですが、「気合線表(きあいせんぴょう)」を引く人が多いのは、なんでなんでしょうね。そういうことするから、失敗するんだよ、と思っている僕の胸のたけをぶつけさせてください。

※「線表(せんぴょう)」というのは、スケジュールと同義だと思ってください。(参考リンク:コトバンク|線表 )

気合だ!気合だ!!気合だ!!!

気合線表をご存じ無い方は、幸いです。神の祝福を受けた人です。おめでとうございます。

しかし、多くの方は、日々、気合線表に直面していることでしょう。すくなくとも、僕がこれまでに目にしてきた「システムのリリーススケジュール」「ユーザーニーズの調査スケジュール」「認定資格の取得スケジュール」などの”線表/スケジュール”の大半は、気合線表です。

つまり「そんなスケジュールで終わるわけない」と、関係者全員が知っているのにも関わらず、公式なスケジュールとして気合線表を掲げていることが非常に多いんですよね。

事情としては「顧客の要望に合わせるため」とか「頑張ったらできるとプロマネが思ったから」とか「どうせ下請けがバッファ積んでるだろってことで、一律2割削ってみました」とか「直列じゃなくて、並列で回せるでしょ」とか「先行後続関係?なにそれ、おいしいの?」とか、まぁ、そんな感じなんだと思います。

わかっててやってるから、タチが悪い

これを、仮にわかってないでやってるのだとしたら、まだ救いがあります。見積もり技術を高めればよいのです。システム開発であれば、人月の神話の「第2章」「第8章」あたりも参考になるでしょう。

しかし、残念ながら、多くの方は「わかっててやってる」ので、タチが悪いんですよ。ほんとに。

どうせ努力目標だから症候群

ここで問題になるのは、「どうせ、この線表は努力目標だから、守ってもしょうがない」という気持ちを抱いてしまうという、どうせ努力目標だから症候群です。

努力目標だから、守らなくていい、というのは正しい認識です。全力でやり切っても守れない納期。全力で取り組んでも終わらないタスク。気合線表は、そういうものを押し込んだ闇の福袋みたいなものです。うわぁ、開けたくないなー的な。

そんな気合線表をみると、人の心は荒みます。民は飢え、森は枯れ、湖は乾き、プロジェクトは頓挫します。いったい、なんのためのスケジュールなんだ!?って話になるわけです。

弊害は「納期遵守モラルの低下」

この弊害は、納期遵守モラルの低下という形で現れます。そもそもが、無理難題を言われているわけですから、守れるわけがないので仕方ないといえば仕方ないです。しかし、問題は「正しいスケジュール=気合線表じゃない線表」に対しても、モラルの低下を招くということです。

スケジュールに対して、真摯な態度で臨めない人が一人でもいるとプロジェクトの進みは遅くなります。THE GOALでTOC(Theory Of Constrains)をかじった人なら「ハイキングのときのぽっちゃりした男の子」と言われればピンとくるでしょう?あれです。

スケジュールを引き、スケジュールを遵守することが重要です。なぜなら、そのタスクの後ろには、その結果を受けた別の人の仕事があるのです。自分の仕事が終わったからといって、それで万事解決とはならないからこそ、スケジュールに意味があるのです。この大前提を「気合線表」は打ち崩します。

スケジュールが無い無秩序状態は”遅延”ではなく”混沌”

その結果、プロジェクトは遅延ではなく”混沌”に至ります。カオスって奴ですね。

守るべきスケジュールが無い状態で、プロジェクトを進めるのは難しいです。そして、最悪の事態が訪れます。関係者から「遅れているという認識がなくなってしまう」のです。

スケジュール自体が信用できないので、遅延が常態化します。しかし、この段階では「本当のスケジュールじゃないから」という言い訳が通ってしまいます。その次の段階として、みんなの心の中にあるガチなスケジュールよりもどうやら遅れているようだぞ、と感じ始めます。が、どの程度遅れているのか、あるいは、そもそも本当に遅れてるのかどうかがよくわからないので、危機感は薄れます。

危機感が無いと、アラートが上がらなくなります。遅延していることが、現場でも検知されず、当然ながら上にも報告されません。いくらPMO(プロジェクトマネジメントオフィス)が口やかましく言っても無駄です。空回りするだけです。

こうして、現場も、管理者も、PMOも、クライアントも、誰も幸せになれないデスマーチが完成します。

きちんと姿を映せる鏡が無い状態で、身なりを整えるのは難しいのです。

要は「まじめにやる」ってこと。

こういう事態に陥らないための唯一にしてとてもシンプルな解決策は「ちゃんと、まじめにスケジュールを引く」ということです。アプローチを決めて、タスクに落とし込み、それを時系列に並べて納期を決めるのです。

お尻から引く逆引き線表は禁物です。銀の弾はありません。やるべき順序で、やるべきことを並べて、その時間を見積もった結果、最終納期に間に合わないのならば、選択肢は2つです。「納期を伸ばす」か「やることを減らす」かです。

この大前提を忘れて、いいとこどりをしようとするのはやめましょう。無理なものは無理なんです。まじめに、真摯に取り組めば、プロジェクトはちゃんと進みますから。

みんなの力で、気合線表を撲滅していきましょう!おー!!

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一冊目「数字力×EXCELで最強のビジネスマンになる本(翔泳社)」も引き続きよろしくお願いします。ビジネス書らしからぬ、黄色い表紙が目印です。

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