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第1回:クラウドを使えない大企業は、ベンチャー企業と戦えるのか|経営者のためのクラウド講座

AUTHOR :  宍戸 栄一郎

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宍戸 栄一郎
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技術者が「経営者の皆さんのために」クラウドについて説明します

「これからはクラウドの時代でしょ!」という言葉は、皆さん、耳にしたことがあると思います。しかし、この言葉の真意を、正確に理解している経営者の方は、どれくらいいらっしゃるのでしょうか。

あるいは、「1年以上必要だったシステムを、わずか数か月で構築できる。しかも運用コストは半分以下!」という言葉はどうでしょうか。経営者の皆さんにとって魅力的に聞こえる内容である一方、それが、どういうシステムなのかを具体的に想像できるかというと、それもまた難しいと思います。

本連載では、「クラウドの時代」「早く構築できる・軽く運用できるシステム」という言葉を、経営者の皆さんが理解できるように説明していきます。特に、技術的なバックグラウンドを持たない方でも理解できるように、細かい技術情報を極力省いてご紹介していきたいと考えています。

経営者が求める情報は技術者とは違う

近年、システム開発の選択肢としてクラウド技術が出てくることは珍しいことではありません。このクラウド技術を理解するということは、技術者にとっては、それほど難しいことではありません。書籍やインターネットを調べれば自分が求める技術情報は簡単に入手できます。

しかし、経営者の皆さんはどうでしょうか? 経営者にとって重要なことは詳細な技術情報ではありません。経営者の皆さんがお知りになりたい情報は、下記のような「ビジネスに直結する要素」です。

  • クラウドで何ができるか(何が既存の仕組みと違うのか)?
  • コストは(高いのか・安いのか)?
  • 必要な技術者は(今までと同じか・違うのか)?
  • リスクは(セキュリティ・安定性)?

これらの「経営者が求める情報」は、技術者の求めるものとは大きく異なっています。そのため、技術者向けの書籍やインターネットの情報は、経営者の疑問に答えられるものではありません。

これから連載する内容は、技術者である私が経営者やクライアントと接していて気付いた「経営サイドが知りたいと感じていること」を纏めた内容になります。

そもそもクラウドって何なのよ?

最近の流行でしょうか? 製品でもサービスでも何でもかんでも名前に「クラウド」を付けたり、機能に「クラウド対応」と記載したりで、そもそもの「クラウド」の定義自体が曖昧になって、それこそ雲を掴むような状態になってはいないでしょうか?

「クラウド」は「クラウドコンピューティング」の略称であり、クラウドは目の前にパソコンなどの端末で処理するのではなく、ネットワークにつながれた遠隔地のサーバー群で処理させる技術のことです。例えばiPhoneに入っている「iCloud(アイクラウド)」サービスは、インターネットを介して世界のどこかにあるApple社のサーバー群にiPhoneのデータを保存することにより、パソコンなどの別の端末とデータ登記したり、iPhoneを買い替えたときに前のiPhoneの情報をサーバー群から取り込むなどの用途で使用することができます。

iCloudサービスなどは、完成した1つの機能であるため、ここにシステムを導入することはできません。これから説明していくクラウドは、「クラウドサービス」と呼ばれるものになります。

3大クラウドサービス

クラウドサービスには2種類あり、自社ネットワーク内でサーバー群を構築してインターネットを介さない「プライベートクラウド」と、インターネットを介して世界のどこかにあるサーバー群に使う「パブリッククラウド」の2種類がありますが、一般的にはクラウドサービスといった場合、「パブリッククラウド」のことを指します。

各社、様々なクラウドサービスを展開していますが、その中で世界的に多くのシェアを取っているのが、Amazon社の「Amazon Web Services(通称:AWS)」、Microsoft社の「Azure」、Google社の「Google Cloud Platform」があり、それそれのクラウドサービスの中で更に100個以上のサービスを展開しており、この中から複数個のサービスを連動させて1つのサービスを構築していきます。

これらのサービスは、機能ごとに特化しているため、技術者でも「これ何に使えるサービスなの?」と思うことが多々あります。技術者が混乱するのですから、経営者の皆さんはもっと混乱すると思います。この連載では、これらのサービスの中から主要な機能をピックアップして、オンプレミス(自社サーバー)と比較しながら説明していきたいと思います。

クラウドサービスを知ればシステム開発の概念が変わる

従来のシステム開発を考えた時、入念な計画を組んで、高価な機器などの費用の見積もり、そして技術者の確保といった作業が必要になり、大きなシステム開発を開発するためには、それなりの会社の規模がないと不可能でした。しかし、クラウドサービスを利用した場合、わずか数時間で月々数万円の費用からサーバーを建てることが可能です。さらに、これらのクラウドサービスを用いることで、メンテナンスを自社で意識することなしに、安定運用が可能となっています。(クラウド事業者が、それらの機能を肩代わりしてくれるのです。)

この恩恵を享受することで、会社の規模に関わらず、できたばかりのベンチャー企業でも大規模なデータを扱うためのシステム・仕組みを構築することができます。弊社が大規模なデータ分析を行うことができているのも、クラウドサービスの機能を積極的に取り入れたためです。

クラウドサービスを知ることが、大規模データを扱うための鍵です。クラウドサービスを活用しない大企業が大規模投資を必要とする処理を、クラウドを活用する小規模なベンチャー企業が安価且つ高速に行ってしまう時代が既に訪れているのです。

次回は、クラウドサービスの使用料金の考え方について記載しようと思います。

連載:経営者のためのクラウド講座
  1. クラウドを使えない大企業は、ベンチャー企業と戦えるのか (本編)
  2. クラウドサービスの課金体系・支払方法は複雑
  3. クラウドサービスのシステムリリースの早さと安さの秘密
  4. クラウドサービスのシステム開発に求められる技術者とは
  5. クラウドストレージによって安く・安全にデータを保存する
  6. クラウドサーバーはアイディア次第で使用用途は無限大
  7. クラウドデータベースは高ければ良いって物ではない! 特徴を見極める必要がある
  8. AWS × Azure × Google Cloud Platform を様々な角度から評価 ~AWSは絶対王者なのか?~
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