無償アップグレード終了 Windows 10 のシェアは伸びたのか? |ニュースななめ斬りbyギックス

AUTHOR :   ギックス

Windows 7 のシェアトップは揺るがず。移行の課題は2020年まで先送り

今まで Windows 10 の動作検証や移行問題についてお伝えしましたが、2016年07月29日に無償アップグレードも終わり、一端の Windows 10 への乗り換えも落ち着いていると思います。そこで、実際のところどれだけのパソコンが Windows 10 へアップグレードしたかを見ていきたいと思います。

Windows 10 への駆け込みアップグレードは行われず

以前、米Microsoft社は下記のように Windows 10 の普及が非常に早いことを言ってました。これを読む限り、Windows 10 は非常にシェアを伸ばしているように見えます。(個人的には Windows 8 の普及速度の遅さの方が気になりますが。。。)

米Microsoftは1月4日(現地時間)、2015年7月29日にリリースした「Windows 10」の月間稼働端末(monthly active devices)が2億台を超えたと発表した。

同社によると、Windows 10の普及速度は、「Windows 7」よりおよそ140%、「Windows 8」よりおよそ400%速く、Windows史上最速という。これまで同社が発表したWindows 10稼働端末数は、リリース24時間後の1400万台、リリース4週間後の7500万台、2カ月後の1億1000万台。

引用:「Windows 10」端末が2億台を突破、とMicrosoftが発表 – ITmedia ニュース 2016年01月05日

実際のところは下記です。この表は Net Applications が集計した「NetMarketShare」のOSのバージョンごとの推移を表したものです。(表は Windows 10 と無償アップグレード対象の Windows 7、Windows 8.1 のみ表示しています) このように Windows 10 は、Windows 8.1 よりシェアは取ったが、Windows 7 の圧倒的なシェアは変わらず、20%程度のシェアに留まりました。また、無償アップグレード終了した2016年07月29日以降もほぼ同じ幅でシェアを伸ばしていることから、Windows 10 への無償アップグレードではなく、パソコンの買い替えによるシェア拡大が過半数を占めているような気がします。windows10share_1

Windows 10 へのアップグレード対象のOSに対して、アップグレードのカウントダウン表示するなど様々な手段でアップグレードを促しましたが、結局のところ Windows 10 へのアップグレードは多くなかったようです。やはり、強制的のアップグレードさせられるニュースから、Windows 10 へのアップグレードがマイナスイメージを持ってしまったのかもしれません。

使い慣れて安定したOSからは離れられない

下記は、先ほど同様の NetMarketShare の2016年08月16日時点のOSバージョンごとのシェアを円グラフにしたものです。これを見ると Windows 7 のシェアの圧倒的なことがより鮮明になります。windows10share_2

ここで注目したいのが、シェア3位の Windows XP の存在です。Windows XP は、 2001年10月25日にリリースされ、2009年04月14日にメインストリームサポート終了。そして、2014年04月08日に延長サポートが終了し、一切の新しいパッチプログラム適用、サポートが終了したOSです。しかし、OSとして1つの完成系であり、安定した操作性から家庭用、ビジネス用として幅広く使われました。また、Windows XP の次のOSである Windows Vista が色々問題があり、あまりシェアを伸ばせなかったことから、Windows 7 が登場するまでの長い間、シェアを独占してきました。

やはり、人間は使い慣れた道具に執着してしまい、新しい道具に移るのは難しいのかもしれません。新しい道具に対して、今の道具以上の機能や魅力があれば良いのですが、今回の Windows 10 には、Windows 7 より目立って優れている機能はなく、また、新しい機能もごく一部のユーザーにだけ嬉しい機能であり、万人受けする機能ではありません。そのため、現段階では無理して Windows 10 に移行しようとしないかもしれません。このままでは、Windows 7 も Windows XP のようにパソコンが壊れるまで使い続けられるかもしれません。

Windows 10 に変えるリスクを2020年に先延ばしにしただけ

新しいOSへ乗り換えには、大小の差はありますが必ずリスクは付いてきます。例えば今まで使っていたソフトやパソコン周辺機器が動かなくなったり、アプリの表示画面が変わったりと様々考えられます。特に企業に導入している専用システムの場合、新しいOSに対応するためには、多くの運用試験とシステム改修が必要になる場合があり、膨大な費用と期間が必要になる場合があり、簡単にOSを入れ替えることは非常に難しいです。

そのため、今回の無償アップデートのタイミングで企業が Windows 7 から Windows 10 にアップグレードしないのは当然の結果だと思います。しかし、Windows 7 にも寿命があり、それが延長サポート終了日の2020年01月14日です。この延長サポートが終了するとMicrosoft社からは一切のサポートを受けることができず、また各ソフトウェア開発会社も Windows 7 に対応したソフトウェアはリリースしなくなります。そうなると、新しいコンピューターウィルスやセキュリティホールが見つかったとしても対応されず、ウィルス感染や情報漏洩などのリスクが高くなります。windows10up2

Windows 10 は、一端の節目である無償アップグレード期限の2016年07月29日が過ぎました。これからは、Windows 10 が Windows 7 に代わる主要OSとなるために、多くの信頼と実績を積み重ねるフェーズに入ってきました。これから多くのパッチプログラムが適用されると思いますが、この事によってOSが安定し、世間で真の主要OSとして認められたとき、Windows 7 から Windows 10 への移行作業が安心してはじめられるのではないでしょうか?

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