「価値を生み、次世代へつなぐ」―執行役員・矢部真史が語る、経営体制強化と人材への想い
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2025年7月、ギックスの執行役員に就任した矢部 真史。現在は、Business Produce & Business Architect(BP&BA)Divisionとグループ経営企画室の管掌を担っています。今回は、ギックス参画の経緯から、組織の未来、人材育成への想いまでを聞きました。
多様なキャリアの蓄積と、ギックスへの参画
Q.矢部さんのこれまでのキャリアと、ギックスとの出会いについて教えてください。
2005年に東京大学大学院を修了後、リクルートに入社しました。HR領域において営業やシステム運用の業務を経験し、その後は上海に赴任してプロダクトマネージャーとしての職務に従事しました。現地での経験を活かし、そのまま中国に留まってスタートアップ企業に取締役として参画したのが、最初の転機だったと思います。
その後、China Europe International Business SchoolでMBAを取得し、帰国後はIBMやSRI International(スタンフォード研究所)など、外資系企業や研究機関でさまざまな職務に携わってきました。
ギックスとのご縁で言えば、共同創業者の一人である田中さんとは古くからの友人です。また、社長の網野さんがIBMに在籍していた当時には、私のIBM入社を推薦してくださったこともありました。実は、ギックスの創業準備中にもお声がけをいただいたのですが、その時は米系企業での経験を積みたいと考え、IBMを選びました。
そうした長年のつながりを経て、2023年からはGPN(ギックス・プロフェッショナル・ネットワーク)の一員としてギックスのプロジェクトに関わり、2024年5月に正社員として正式に入社した、という経緯です。
入社後は、プロジェクトマネージャーとしての業務を中心に、M&Aのデューデリジェンスや採用支援、全社的なセキュリティ体制の強化、フォトコンテストサービス「Camecon(カメコン)」事業譲受後の制度設計など、多岐にわたる業務を担当してきました。
執行役員/Business Produce and Business Architect (BP&BA) Division Leader/グループ経営企画室長 矢部 真史(やべ まさふみ) 2005年東京大学大学院工学系研究科修士課程を修了後、株式会社リクルートに入社。 2007年に上海赴任後に現地でスタートアップ企業に取締役として参画し、営業とマーケティング活動を統括。その後、上海のビジネススクールChina Europe International Business SchoolにてMBAを取得し、帰国後にIBM、SRI International(スタンフォード研究所)を経て、2021年にビービットに参画。2023年よりGPNとして従事。2024年5月にギックスへ参画。2025年7月より現職。 |
Q.今回執行役員の打診を受けて、どのように感じましたか?
入社からまだ1年少々というタイミングで就任のお話をいただき、大変驚きましたが、同時にとても光栄に感じました。ギックスが今後さらに成長していくために、経営体制として補強すべき部分にしっかりアプローチしていきたい、と考えています。
Q.「補強すべき部分」とは、具体的にどのような点でしょうか?
ギックスはこれまで、複雑かつ高度な領域のプロジェクトに挑戦してきたという自負があります。だからこそ、社内外におけるコミュニケーションや合意形成の場面では、これまで以上に丁寧な対応が求められていると感じています。特にクライアント様との対話においては、技術的な正しさだけでなく、納得感や期待値のすり合わせにもしっかりと力を注ぐ必要があると考えています。
また、企業としての成長を見据える上で、計画性や長期的な視点も重要な強化ポイントです。アジャイルな姿勢は引き続き大切にしつつも、行き当たりばったりに見えないよう、しっかりとした準備と構造を持ったうえで柔軟に動いていく意識が欠かせません。
さらに、人材活用についても、非常に優秀なメンバーが揃っているからこそ、一人ひとりの力をさらに引き出せるような仕組みづくりが求められていると感じています。心理的安全性や良好な雰囲気を大切にしながらも、目標とのギャップを適切に埋めていく意識を組織全体で高めていきたいですね。
事業推進と成長戦略を担う、2つの組織を見つめて
Q.現在の担当領域と、業務内容について教えてください。
Business Produce & Business Architect(BP&BA)Divisionと、グループ経営企画室の2部署を管掌しています。いずれもギックスの持つ能力を最大限に活用して、ビジネス上の価値を生み出す、という役割を担っています。
Q.BP&BA Divisionとは、どのような組織ですか?役割や今後強化したい点を教えてください。
BP&BA Divisionは、その名のとおり、BP(Business Produce)とBA(Business Architect)の2つの機能を持つ組織です。
BPは、ギックスの持つ能力やソリューションを活用し、クライアント様とともにビジネスを前進させていく役割を担っています。一方でBAは、そのビジネスを支える体制や計画を設計する役割で、より一般的なコンサルティングに近いテーマを扱うことが多いです。
当Divisionにおいては、人材育成が強化ポイントの1つだと感じています。プロジェクトを問題なく進行させるだけでなく、自社とクライアント様の双方にとって最大の価値を生み出すような動きができるマネージャーを育成することが急務だと考えています。
Q.理想的なBP/BA人材の特徴とはなんでしょうか?
BPにおいては、長期のプロジェクトを通じてクライアント様との信頼関係を着実に築いていけることが重要です。さらに、プロジェクトの推進にとどまらず、社内の人材育成にも貢献できるような動きができることが理想だと考えています。
将来的には、オペレーショナルなBP案件の比率を高め、その中で実務力を培った人材が次のステップへ進んでいく――そんな好循環を通じて、ギックスが事業会社としてさらに成長していければと考えています。
一方、BAに求められるのは、コンサル的な視点から制約条件を見定め、論理を組み立てていく力です。そのためには、常に新しい知識や情報をキャッチするアンテナを張ることが欠かせません。専門書だけでなく、エンタメや趣味といった幅広い領域からも学び続ける柔軟さが大切です。
そうして得たインプットを蓄積し、新たなテーマに対しても抽象化を通じて構造的に捉える力が求められます。
Q.もう1つの担当である、グループ経営企画室の役割と今後の展望についても教えてください。
ギックスは成長戦略の1つとしてM&Aを掲げ、積極的に推進しています。ただし、資本関係で一体となるだけでは、本質的な価値は生まれないと考えています。
グループ全体でシナジーを発揮しながら、各社がそれぞれ自律的に成長していけるような仕掛け――たとえば、クロスセルや人材交流の促進など――を設計・推進する役割として、グループ経営企画室を設置しました。
まずは、「ギックスグループであることが自社の価値向上につながる」と、グループ会社の皆様や、将来グループに加わる可能性のある企業に実感していただけることが重要です。
そのためには、グループ全体の統一感と、各社の自立性のバランスをどう取るかが鍵になります。私は将来的に、「連邦型」のグループ経営を実現したいと考えています。
つまり、強い上下関係に依存するのではなく、横の連携を重視し、優秀な人材をグループ全体で柔軟に活用できるような構造です。実現には時間がかかるかもしれませんが、価値のある取り組みだと考えています。
経営者として描く、これからの人材とマネジメント
Q.ご自身が会社から期待されていること、仕事におけるテーマは何と考えていますか?
まずは、グループ全体として売上高CAGR(年平均成長率)40%を継続するために、顧客への提供価値を最大化し、成果を数字として可視化することが求められていると認識しています。
その上で、特に重視しているのが「人材の育成」です。生成AIの急速な普及が示すように、人間が担うべき仕事の領域は狭まりつつあります。そうした中でも、確かな価値を提供でき、そして唯一人間にしかできない「組織マネジメント」ができる人材を育てていくことが、今後の成長において極めて重要だと考えています。
Q.矢部さんの考える理想の「組織マネジメント」や人材像について教えてください。
組織マネジメントにおいては、「メンバーを疲弊させない」という視点が重要だと考えています。たとえ業務の負荷が高くても、楽しさや成長を実感できるものであれば、過度な消耗は避けられます。そのためには、一人ひとりの成長観も尊重しながら、最適な組み合わせでチームを編成する力が求められます。
また、マネジメント人材に限らず、「有能な怠け者」が多い組織を目指したいと思っています。たとえば、夏休みの宿題を毎日少しずつ着実に進めるタイプ(=有能な働き者)も重要ですが、時には、最後の数日で集中して一気に仕上げる人の方が、本当に必要な努力に集中できるタイプとして成果につながる場面もあります。
つまり、まず大前提としてゴールと現状、そして制約条件を理解しつつ「なるべく効率化する」「最小限のコストで最大限の価値を求める」「将来のリスクを想像し、早めに手を打つことで無駄を省く」といった思考と行動を取れる人材を増やしていきたいです。
その上で、目標達成のために「真剣に」仕事に向き合い、確かな成果や価値を生み出していくことを、ギックスで働く人たちには期待しています。
Q.社員の成長やキャリア形成について、意識していることがあれば教えてください。
私は、「3年1サイクル」で自分のキャリアを見直すことを勧めています。学び → 成果 → 飽き、という自然な流れの中で、常に新たなステージを模索し続ける姿勢が大切だと考えています。
また、会社としては「3年間の従事で確実に1ステージ上の能力を身につけられる」と言えるような場を提供することが、最低限の責任であると思っています。そして、ギックスであれば、さらに大きな舞台で活躍できる――そう言える環境でありたいと考えています。
今後は、専門性を維持しながらも、一定の幅を持った知識や経験を備えることが、ますます重要になってくると考えています。そう遠くない未来、ヒューマンタッチが本質的に必要な領域以外では、AIや機械の方が優れているという時代が到来するでしょう。
そのような環境下で人間に求められるのは、複数の知を統合して価値を生み出す力、そして人と人との関係を深め、チームや組織をマネジメントする力です。こうした役割を担うためには、ある専門分野に強みを持ちつつも、それを支える多様な知識と経験が不可欠だと感じています。
意思決定の質と、価値の継承を見据えて
Q.ご自身が理想とするリーダー像や、日々の意思決定で大切にしていることがあれば教えてください。
私は、“実業”にこだわりを持っています。日々のオペレーションを確実に回し、積み重ねていくことが最も重要であり、理想のリーダーとは、目標に向かって淡々とやるべきことをやり抜ける人だと考えています。外資系企業の営業マネージャーのような、合理的かつ着実なスタイルが近いイメージです。
また、日々の意思決定において重視しているのは、「目的達成のための負担を最小化できているか」という視点です。リーダーの判断によって動く人が増えれば増えるほど、関係者の人生を無駄遣いすることになりかねません。それは絶対に避けるべきだと、常に意識しています。
この考え方に至った背景には、若手時代の激務の経験があります。自分は偶然にもそれを処理しきれてしまったけれども、「同じことを他人に求めてはいけない」という感覚が強くなりました。
Q.最後に、ステークホルダーへのメッセージをお願いします。
私はまず、経済的価値でお応えすることが最も重要だと考えています。今回その責任を担える立場をいただいたことに、深く感謝しています。
これまでのキャリアで経験してきた、営業、コンサルティング、経営企画、プロダクト開発、マーケティング、バックオフィスといったすべての領域が、今の自分に活きていると実感しています。その蓄積を活かして、ギックスという場で最大限の価値を提供していきたいと思っています。そして、クライアント様や採用候補者をはじめとしたすべての関係者の方々に、「ギックスと関わってよかった」と思っていただけたら、これほど嬉しいことはありません。
この20年で、世の中は想像以上に変わりました。20年前と同じビジネスを続けている企業は、ほとんど存在しないでしょう。けれど、たとえ会社という“形”が変わったとしても、人に価値を残すことはできる――最近はその想いが一層強くなっています。親としての経験もあり、「何を次世代に残すのか」が、自分にとって重要なテーマになりました。この立場を通じて、少しでも社会に価値を還元できれば、それが私にとって最大の喜びです。
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