AI時代を見据えたデータ基盤の共創を ― ギックスCOO花谷慎太郎 × メイズ代表 佐々木一博 対談

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2025年10月、株式会社メイズがギックスグループに加わりました。
今回のM&Aは、「AI wrapping(AIラッピング)」や「CU/ADS(クアッズ)」をはじめとするデータ基盤構築支援の展開に向け、体制をさらに強化するための重要な一歩です。

本記事では、株式会社ギックス 代表取締役COO 花谷慎太郎と、株式会社メイズ 代表取締役社長 佐々木一博が、共に挑戦する仲間としての想いや、これからの展望を語りました。


強い開発体制を目指して──“自走する組織”との出会い

ギックス 花谷(以下、花谷):
現在ギックスが推進するM&Aの大きな戦略軸は、2つあります。
1つは「当社のバリューチェーン拡張や組織ケイパビリティの強化が期待できること」、もう1つは「当社のビジネスとのシナジー効果を発揮できること」です。
システム開発領域においては、データ基盤を設計・構築できるエンジニアリング体制を強化していきたいと考えていました

その観点で今回ご縁をいただいたのが、メイズでした。誠実に経営をされ、自走する力を持った企業だと感じました。単に人材を補充するのではなく、刻々と進化していく開発業務を、共に進められる企業を求めていたんです。

メイズ 佐々木(以下、佐々木):
ありがとうございます。ギックスはデータやコンサルティングの分野で先進的な取り組みをされており、私たちとは業種も異なりますので、最初は「どんな思いで私たちに期待を寄せてくださったのか」という不安も正直ありました。

ですが、お話を重ねるなかで、「人的リソースだけでなく、“自走できる組織”としてのメイズ」を評価していただけたことが、今回のギックスグループ入りを決断する大きな後押しになりました。

(左)株式会社ギックス 代表取締役COO 花谷 慎太郎(はなたに しんたろう)
(右)株式会社メイズ 代表取締役社長 佐々木 一博(ささき かずひろ)

花谷:
4月にM&Aの発表を行った翌月には、メイズの全社会議に参加させていただきました。ギックスの会社紹介や、これから一緒に取り組みたいことの概要を社員の皆さんにお話しする機会をいただいたんです。
その後の懇親会では、エンジニアの皆さんがとてもいきいきと話をしてくださったのが印象的でした。前向きな意見が多く、このM&Aの成功を確信に近い形で感じましたね。事前に佐々木さんからも「熱量の高いメンバーが多い」と伺っていましたが、実際にお会いしてその通りだと感じました。

佐々木:
率直に言えば、ギックスとメイズに文化的な共通点はあまり多くないと感じています。メイズは“昭和色のあるソフトハウス”だと思いますが、ギックスは今の時代を象徴するようなカルチャーと勢いのある企業です。
ですが、だからこそ吸収できることが多いと感じています。「Data-Informed」という考え方をメイズの事業軸にも加え、新しい挑戦の機会に変えていきたいですね。

また、メイズとしては、ギックスに対して実直なソフトウェア開発力を提供できると考えています。これまでの事業もさらに成長させながら、ギックスグループのマーケット拡大・売上拡大の一翼を担っていけるよう取り組みたいです。

花谷:
ありがとうございます。実際、10月のグループ参画に先立って、すでに業務委託の形で案件を一緒に進めていたのですが、メイズの皆さんが活躍してくださっていて、とても心強いです。両社の技術者同士が、仕事の現場や懇親会を通じて、いい影響や刺激を与え合いながら、信頼関係を深めているのを感じますね。

データ基盤の進化とAI時代に向けた、ギックス×メイズの挑戦

花谷:
現在ギックスでは、クライアント企業でのデータ活用と、判断のData-Informed化による事業成長を支援するため、以下の展開に注力しています。

  • ADS(アッズ)
    激しく変化するビジネス環境や業務に対して柔軟に適応可能(Adaptable)な仕組みとして、当社が提唱するシステム構築のフレームワーク。旧式の仕組み(Legacy System)をモダンなアーキテクチャで作り変えることで、企業の業務変革を下支えする。
  • CU/ADS(クアッズ)
    リアルタイムデータ処理やパーソナライゼーションを組み込んだ、「顧客理解(Customer Undersrtanding)」に特化したADS。
  • AI wrapping(AIラッング)
    分散する企業のシステムを、AIに対応可能な形で包括的に統合する、生成AI対応型のADS。

今後はこれらのデータ基盤構築をさらに推進していくために、メイズの皆さんの力が不可欠です。確かなエンジニアリング力を持つ仲間が加わってくれたことを、本当に嬉しく思います。

佐々木:
ありがとうございます。メイズの強みのひとつは、C/C++、Java、.NETといったレガシー技術への対応力だと考えています。ギックスのクライアントにも、こうした技術で構築されたシステムが多く残っていると伺っています。そうした領域で私たちの経験を活かし、開発のスピードアップや品質向上に貢献できると考えています。

また、私たちはエンドユーザーとの直接対話も多く経験してきましたので、お客様が本当に伝えたいことをくみ取る力もあります。顧客対応が可能なリソースが増えることで、クライアントにとってもより良い結果につながると思います。

花谷:
まさに、そこはギックスとしても非常にありがたい部分です。
私たちは「顧客理解No.1カンパニー」を目指すなかで、「CU/ADS」の提供を通じて、クライアントが自社の顧客(エンドユーザー)を理解し、一人ひとりに最適な情報や提案をタイムリーに届けるためのデータ基盤構築を支援しています。

さらに今後は、私たちが掲げる「Data-Informed」に関連して「AI-Informed」――つまりAIが生成するデータも活かしながら、人の判断をより良くしていく、という考え方や行動が求められていきます。
ですが現在、多くの企業で生成AIを導入する際に、既存のレガシーシステムとの間に大きなギャップが生じているのが実情です。その解決に向けた取り組みとして展開しているのが「AI wrapping」です。
こうした領域でも、メイズとの協働が大きな鍵になると考えています。

佐々木:
メイズのエンジニアにとっても、AI関連の開発など新たな領域に関わることは、大きな成長機会になると思います。

当社は今年で創立30周年を迎えましたが、これまで培ってきた技術力をもとに、次の挑戦へと踏み出す時期だと感じています。
AIの発展をはじめ、世の中は今まさに大きなパラダイムシフトを迎えています。このタイミングでギックスグループの一員としてご一緒できることは、私たちにとってまたとない変革のチャンスだと考えています。

同じベクトルで、共に進む

花谷:
今回メイズがギックスグループに加わってくださったことで、サービス提供の実行力が格段に強化・加速したと感じています。
クライアントからの期待に応えられる範囲が広がり、これから挑戦の幅も一層広がっていくと思います。引き続き、共に力を合わせて頑張っていきたいですね。

佐々木:
はい。メイズとしても、当社の開発力を通じて全体の推進力をさらに高め、クライアントへのフィードバックや事業推進に貢献していきたいと考えています。
両社で同じベクトルを向きながら、互いに刺激し合い、それぞれの強みを発揮して邁進していきたいですね。

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