ビッグデータにおける”データアーティスト”の役割(Harvard Business Reviewより)/ニュースななめ斬り by ギックス

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Big Dataと閃きが担う役割(邦訳サマリ)

データに基づいた意思決定が騒がれる昨今、閃きはどんな役割を担うのだろうか。もちろん閃きは今でも非常に重要だ。例えば、データを見て初期仮説を思いつくこともある種の閃きといえるだろう 。分析は閃いた初期仮説を検証する作業が加わることにある。もちろん初期仮説の思いつきだけで終わることなどないのだが。

自社のどの領域にデータ分析を活用するかを選択する際にも閃きが関係しており、一般的には、経営陣の感覚に基づいてデータ分析対象の領域が決められている。あまり多くはないが、データ分析を適応する領域を選定する時にも閃きを用いたアプローチを取る企業もある

例えば、カジノホテルチェーンのシーザーズ・エンターテインメントが最初にデータ分析対象としたのは、顧客のロイヤリティとサービスの分野だった。この分野を選択した理由は、CEOのGary Loveman氏がシーザーズの低い顧客ロイヤリティに気づいていた事に加え、彼の通っていたビジネススクールで顧客サービスの向上が利益の増加に繋がるという理論を学んでいたためだ。他の業種では有効であった理論であっても、カジノ業界においてはこの理論の有効性は確認されていなかった。しかし、CEOの強い閃きからプロジェクトの遂行が決まった。特にこのような分析プロジェクトの初期段階で、閃きは重要な役割を担い続けるだろう。

もちろん、閃きで導き出した仮説をどように検証し、アナリティクスを適応するかが重要であり、 Loveman氏は同社における各データ分析プロジェクトのROIもチェックしている。アナリティクスにおいて、閃きが果たす役割は大きいがアナリティクスを重視する企業において閃きが果たす役割には限界があるのもまた事実である。

では、データ量が膨大な場合はどうだろうか。例えばGoogle, Facebook, LinkedInなどには、分析可能なアクセスログが大量に存在するため、閃きの介する余地は無さそうだ。しかしやはりここでも、新製品・サービスは閃きから導き出される事がほとんどである。例えばGoogleの無人走行車もBig Dataプロジェクトの一部だが、これはGoogleの研究者であるSebastian Thrun氏の友人が交通事故で無くなった事がきっかけで立ち上げられたと言われている。

また、LinkedInのデータサイエンティストであるPete Skomoroch氏は、成功するデータ製品の開発には、想像力と閃きが不可欠であると語っている。 また、仮説の検証が重要である一方、仮説の立証に十分な要素が揃うには数年かかることもあるため、成功している多くの企業が、完全なデータが揃わずとも閃きを信じて行動する傾向にあると述べている。

つまり、データ分析のみに依存した意思決定も、閃きのみに依存した意思決定も、どちらか一方で期待する結果を得る事は難しい。データ分析と閃きの適切なバランスこそが重要な鍵となりそうだ。

※訳注:株式会社ギックスではこのような役割を「データアーティスト」と呼んでおります。

コメント

かの有名な「ビジョナリーカンパニー」の著書、ジム・コリンズが2011年に刊行したビジネス書「Great by Choice」内で、「激動の不確実性や混乱がある社会の中で生き残ってきた企業は、”Empirical creativity(経験に基づいた創造性)”を発揮してきた企業である」と説いています。「今後も分析スキルは重要だが、完全な分析への依存は効果がないばかりか、逆効果となる可能性すらある。もっと重要なのは、 経験(成功、または失敗)に基づく検証である」とも述べています。

複雑かつ動きの速いビジネスの現場に置いて、過去データの分析のみに頼って最適な予測モデルを構築していくのは容易ではありません。閃きに基づく仮説を如何に効率的に検証し、効果的に解釈して展開できるかが、手腕の見せ所なのでしょう。

(Minatsu Honma)

出所:Big Data and the Role of Intuition

本記事は、Minatsu Honma氏から寄稿頂き、ギックス名義で投稿しています。

 

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