国境越えてビッグデータ人材確保、和製ウォルマート「トライアルカンパニー」/ニュースななめ斬り by ギックス

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ビッグデータ分析の”人材育成の鍵”は「ガチのインターン」ではないか

本日のニュースななめ斬りでは、日経新聞の「国境越えてビッグデータ人材確保、和製ウォルマート」という記事で紹介されたトライアルカンパニーの取組みおよび、大学におけるデータサイエンティスト育成に関して考察します。

記事概要

国境越えてビッグデータ人材確保、和製ウォルマート (日本経済新聞 2014/3/25 )

福岡の流通業者トライアルカンパニーでは、中国で働く現地人のうち約50人にPOS等のデータ分析を担当させると共に、東京オフィスでは数名の東大生等の高学歴アルバイトを雇いリピート率向上、PB商品の値付け等を分析している。また、ネット広告会社のオプトはCAO(最高解析責任者)職を新設し、その配下にビッグデータ活用の専任組織を置いた。「CAO」の存在により世のデータサイエンティストの注目を集め、中途や新卒を問わず「人材採用に有利に働く」ことを期待する。

また大学では、慶応義塾大学は湘南藤沢キャンパスでアクセンチュアやブレインパッドと組み、データ解析の基礎講座を開始。明治大学は中野キャンパスにデータサイエンス教育を行う「総合数理学部」を設置。多摩大学はビジネス課題を解決する社会人向けのデータサイエンティスト講座を開講。

こうした産学の取組みの結果、数年後には1,000人規模のデータサイエンティストが誕生することになる。争奪戦に勝ち残るために、今から学生に目をつける企業も出てくるだろう。

ビッグデータ分析ができる「人材」とは?

記事でも紹介されているとおり、ビッグデータを分析できる人材を採用・育成に各企業が力を入れはじめた結果、優秀な学生の皆さんにインターンとして活躍していただく流れができつつあります。

実は、私達ギックスは創業直後の2013年初め頃から、インターン生にビッグデータ分析を手伝ってもらっています。現在ギックスで活躍してくれているインターン生は、米国MBAを卒業された方、東工大大学院生、上記記事にも紹介されている慶応SFC生などです。彼らは、ギックスに関する記事を読み直接コンタクトしてきたり、自身の人脈をたどってコンタクトしてきたりと、自発的にギックスにアプローチしてくれました。(ありがたい話です。)実施していただいている分析は、弊社で日々実施している、顧客分析やソーシャルメディアの分析などに関するものです。また、その領域は、非常に泥臭いデータ加工から高度な統計解析に至るまで、とても幅広く活躍してくれています。

私達の指導に従い、データサイエンティストの卵として、分析をお手伝いしてくれているインターンの皆様の分析作業を1年間見てきた経験から、”ビッグデータ分析に向いている資質”は、以下の3つであると考えています。

1. 仮説検証型思考力:データドリブンで思考していくのが好き

新しいデータを見たときに、この属性とこの属性を組み合わせて、こうやって分析したら面白いことができそうだと勝手に”考えてしまい”、勝手に”ワクワクする”というタイプの人がいます。このような人は自発的に自分で分析の切り口を考えていくことができますし、データ分析を楽しみながら試行錯誤できます。非常に向いています。(データ分析における仮説検証思考については、コチラの記事もご参考にどうぞ)

2. 根気強さ:データを粘り強く追い続けられる

今はやりのビッグデータ分析というと、統計モデリングを使って、まだ誰も気づいていなかったアウトプットを華麗に出すということに注目が行きがちですが、実はデータ整形や加工など、非常に泥臭くて地道な作業が大部分を占めます。ある有識者は「データサイエンティストの仕事の9割は泥臭い作業だ」とおっしゃっていました。地道な作業が多い中、それを根気よく続けるということができるということが、求められる資質の一つになります。現在のインターンの皆さんは非常に粘り強くデータと向き合い、戯れてくれています。

3. 柔軟性:新しいやり方・ツールを好奇心をもって使っていけること

これは、ある意味ではギックス固有の話かもしれませんが、弊社では、分析の仕方やツールがどんどん変わっていきます。(ただ、ギックスではなくても、今後「新しい画期的なツール」がどんどん出てくることが予想される中、ある特定のツールにこだわり続け、それを使い続けるという硬直化した思想では、データサイエンティストではなく、単なるツールスペシャリストになってしまいます。目的ではなく手段にこだわるのは得策ではありません。 参考:データアーティストというケイパビリティ

あるインターン生は、「先週までPythonでプログラムを書いていたのに、1週間経って来てみたら、突然Power BIを使ってみようとなっていて愕然としました。まぁ、僕はそういう所もギックスっぽくて好きなんですけどね(笑)」と言ってました。新しく良いものはどんどん使っていこうという方針であるため、やっていることやツールが突然変わるということは日常茶飯事です。そういうことを素直に”面白い”と楽しめる方が、ビッグデータ分析に向いていると思っています。

分析は”手段”であって、”目的”ではない

これらの資質を持ったインターンの皆様が日々分析を実施してくれているのですが、一つ陥りがちなのが、数字を追いかけたりプログラムを書くという作業が楽しく没頭してしまい、分析の最終目標を見失ってしまうということです。(これはコンサルティングの現場でもよくあります。)分析の細部に深く入り込んで、この分析のアウトプットをどう解釈して、どういう示唆をだしたいんだっけ?ということが抜けてしまうことはよくあります。ギックスにはデータアーティストが揃っていますので、そのあたりの分析の結果を使って何をしたいかを考え続けながら分析するということは、徹底して指導するようにしています。

あくまでも、育成すべきは「分析屋」ではなく「ビジネスの高度化のために、データを分析できる人」なのですから。

ちなみにギックスでは、上記のような分析を一緒にしてくれるインターンを随時募集していますので。興味のある方は是非一度お問い合わせください。コーヒー淹れてお待ちしてます。(笑

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