変化を恐れず、挑戦を続ける|社長ブログ:ギックスが目指す世界

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こんにちは。ギックス代表の網野です。

改めてこの1年を振り返ると、ギックスは多くの変化を経験してきました。
前期決算は増収ではあったものの、大規模開発案件でのコスト超過プロジェクト発生に伴い、上場後初の赤字という悔しい結果となりました。

一方で、CU/ADS(クアッズ)のローンチ、ゾクセイマーケティングの蓄積、AI wrapping(AIラッピング)とAIレディネス診断の立ち上げ、そして期初の組織再編や、10月の株式会社メイズのギックスグループ入りなど、成長に向けた基盤づくりも着実に進めています。

ただ、私たちが変化していくのと同時に、市場や顧客ニーズも大きく変化しています。
こうしたなかで、私がギックスの現在地をどう捉え、どんな方向へ進むべきと考えているのか――。

その想いを、先日社内の全体会議でメンバーに向けてお話しました。
ぜひ皆さまにも共有したく、今回の社長ブログでお伝えします。

プロジェクトで成長する組織でありたい

数年前、社内で風土や理念について議論をしていたとき、エンジニア数名からこんな言葉を聞きました。

「エンジニアにとってプロジェクトは、自分を劣化させる期間なんですよね」

その一言に、私は大きな衝撃を受けました。

私自身は、プロジェクトを通じて成長してきた人間です。
事業会社時代に経験したM&Aや子会社再編、コンサルタントとして携わったデリバリーや準備・学びのすべてを含めて、プロジェクトによって成長してきたという実感を持っています。

しかし、エンジニアにとってのプロジェクトは「技術を磨く場」ではなく、「技術が磨耗する期間」に映ることがある――。

このギャップを知ったとき、私は強く思いました。
ギックスはあらゆるプロジェクトを通して、アサインされた人が成長する会社でありたい」と。

最近、当社が手掛けているAI wrappingなどの案件では、最先端のテーマと向き合うことで、技術レベルを“磨耗させないどころか、引き上げる”プロジェクトになりうると感じています。
もしそうなっていけば、会社としてとても嬉しく、大きな誇りです。

もちろん、すべてのプロジェクトで技術レベルを高められるとは限りません。
それでも、一部の案件からでも「技術的な成長」を実感できるプロジェクトをつくっていけるなら、それは組織としての大きな一歩だと考えています。

アナリティクス市場におけるギックスの立ち位置

私たちは“広義のアナリティクス市場”に属していますが、この市場には大きく3つの層があると考えています。


1)ビジネスとしてのアナリティクス

ギックス創業当時は「ビッグデータ」ブームの最中で、“分析そのもの”が主語となる仕事が多く存在していました。
しかし現在ではそういった仕事はほとんど姿を消し、ビジネスを動かすためのアナリティクスが求められる時代へと変化しています。

私たちが得意とする「顧客データ分析」の領域でも、もはや「分析プロジェクト」というものは存在せず、「企業の成長戦略のための顧客理解と、そのための分析」というものにシフトしてきています。

重要なのは、CFOアジェンダの視点で語れること。つまりPL(損益計算書)のどこに、どのくらい寄与するのかを提言できる状態だと考えています。

主人公はデータではなく、ビジネスそのものです。ギックスはビジネスに寄り添う分析を行ってきましたが、今まで以上にビジネスに踏み込み、データを軸に経営と事業を前進させる提言をしていきます。

2)仕組みとしてのアナリティクス

トヨタモビリティパーツ株式会社様と共同開発した「AI整備見積りシステム」のように、業務プロセスに組み込まれて運用されるアナリティクスは、“社会実装”され、組織・人も動かす―まさに6バブル(Six-bubbles)を体現している世界です。

このように、システムを起点としながらデータやアナリティクスに接続するテーマを、仕組みとしてのアナリティクスと捉えています。
今後、この領域のニーズはますます高まっていくでしょう。

ギックスと一般的な開発会社との最大の違いは、アナリティクスへの向き合い方です。システム開発の中にデータ利活用があるのではなく、データ利活用のための仕組みの実装。アナリティクスを深く分かっているからこそ、仕組みの実装からビジネス成果につなげられる。そこにこそギックスの価値の源泉があり、今後さらに強化していきます。

私たちは、祖業であるデータ分析の強みを生かし「アナリティクスが強い会社によるビジネスインプリ(Business Implementation:ビジネス実装)」というブランドを、さらに磨いていきたいと考えています。

3)テクノロジーとしてのアナリティクス

生成AIの台頭と普及により、ビジネスインテリジェンス領域の技術も進歩しています。いまや、対話型でのデータ探索・分析が当たり前に可能となってきました。

こうした最先端を追うことで、ビジネスとしてすぐに利益を生むことは難しいかもしれません。しかし、ブランディングや競争優位の源泉としては欠かせない取り組みだと感じています。

幸いなことに、ギックスはD&D(Delivery & Development)の枠組みの中で、クライアントからのご依頼を通じて、最先端技術を実際のプロジェクトで試し、学び、評価することができます。つまり、クライアントの課題解決と同時に、私たち自身の技術力を高め続けることができます。この強みを意図を持って活かしきり、学びを資産化していくことが、ギックスのアナリティクス領域をさらに進化させる鍵になると考えています。


市場や顧客ニーズが変化し続ける中で、私たちは祖業であるアナリティクスをこれまで以上に強化し、クライアントから真に必要とされる組織を目指していきます。

ビジネスインプリメンテーション市場におけるギックスの立ち位置

ギックスは受託開発を出自とする組織ではなく、コンサルティングを源流とする“伴走型支援組織”です。

クライアントから言われたものをそのまま作るのではなく、企業・事業にとって何を作るのが最も重要かを共に考え、実運用に耐えうるプロトタイプ作成から始めます。
一方、受託開発は「依頼どおり・期間内・予算内」での実現が求められる世界です。受託開発と伴走型支援は、クライアントから求められる役割が全く違うと考えています。

アサヒプロマネジメント様で行われた、当時ほぼ誰も行っていないマイクロサービスによる大規模開発へチャレンジするプロジェクトが当社のビジネスインプリメンテーションサービスの幕開けでした。
ギックスの多くの仕事がクライアントの伴走支援から始まっており、この「伴走」が私たちの本質だと考えています。

当社CT&CAの岡が中心となって推進するクラウドネイティブ、そして“変化に強い仕組み”は、単純にシステムを構築するだけでなく、クライアントが内製化して自走していく体制となることとセットの思想です。

クライアントがモダンな仕組みを作ることで、ITが経営の足を引っ張らない―つまり、ベンダーロックイン(ITシステムが特定の事業者に依存している状態)を脱し、クライアント自身が自走できる状態が、理想形のひとつです。

現実は、短期的な負担を避けたいと考える企業も多く、リスクを負って“自走化”を目指す企業はまだ少ないかもしれません。
しかしギックスは、その“高い志を持ち変革を成し遂げる方々の伴走者”になりたい―これは創業時から今まで変わらない想いです。

仮に、そのような企業がIT市場全体の5%にすぎなくても、IT市場が約20兆円規模である以上、1兆円のマーケットが存在します。さらにその中で5%のシェアを獲得できれば、500億円の売上につながります。我々はここを狙いにいきます。

“AIレディ”な業務システムを複数つないで対話型で利用するには、レガシーシステムのモダナイゼーションが必須です。
そして、モダナイゼーションを行いシステムを進化させ続けるには、クライアント自身の内製化も不可欠です

ギックスは、“変化に強い仕組み”の実装としてシステムの疎結合を支援していますが、その一方で「AIレディ」「モダナイズ」「内製化」の3つは、密結合しているのです。「AIレディ」「モダナイズ」「内製化」の伴走支援、これが当社のビジネスインプリメンテーション領域の主戦場です。

将来的なクライアントの内製化に向け、ギックスは良き伴走者として“雪をかき分けて道を切り開く”ラッセルを担う存在でありたいと考えています。

ギックスが大切にする「成長の姿勢」

ギックスでは、「慣れ」による効率化だけで仕事を終わらせないことを大切にしています。
慣れれば作業は速くなりますが、それが必ずしも成長につながるとは限りません。
私たちは、プロジェクトのたびにひとつでも再現可能な資産を生み出し、自分自身の経験として持ち帰ることを重視しています。

同じ環境で働いていても、成長の速度や深さには個人差が生まれます。
その差を分けるものの一つが、「コンフォートゾーンを1ミリでも越えていこう」とする日々の姿勢です。

人は、快適な領域を一歩出た瞬間に成長します。昨日より今日、今日より明日と、少しずつチャレンジを積み重ねていく。その小さな一歩を、私たちは大切にしています。

また、ギックスが目指す人材像は、ビジネス・アナリティクス・ITの三軸を横断できる人材です。幸いなことに、当社にはその3領域すべての仕事が存在します。

自分の専門を軸に、I型からT型へ、そしてπ(パイ)型へと広げていく。
つまり、ひとつの専門に加えて他領域の理解を持ち、さらにもう一つの専門を深める。
そんな“越境しながら成長する人材”が、これからの時代にも淘汰されず活躍できると考えています。

おわりに

挑戦を続ける限り、失敗はつきものです。
しかし、挑戦をやめた瞬間に、個人も会社も成長が止まります。

だからこそ、ギックスはこれからも挑戦を続けます。
一人ひとりが雪をかき分け、それぞれの新しい道を切り開いていく―そんな会社であり続けたいと考えています。

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