想定比300%超。データの可視化で見えた、行動変容と収益向上。東急カード 営業企画チームのチーフが語る、グループ横断施策の裏側
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- POSTED : 2026.06.09 11:00
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クレジット機能に加え、TOKYU POINTを始めとした東急グループの持つ資産を活かした様々なサービスを提供する東急カード株式会社。同社はいま、従来のカード中心のサービスから、スマートフォンを起点とする「デジタルサービス」への移行を加速させています。
TOKYU POINTデジタルサービスをリリースしデジタルインフラを整え、お客様や加盟店様に広く活用を促進するフェーズへ移行し、はじめて取り組むグループ横断施策に、ギックスが提供する“データ・AI×ゲーミフィケーション”により顧客の行動変容を促進するプラットフォーム「マイグル」が活用されました(※)。
従来の施策における課題を解決し、データが示した確かな手応えについて、東急カード株式会社 営業グループ 営業企画チーム チーフ Y.I.氏に、本プロジェクトで施策設計および推進を担当したギックスの松富拓真が聞きました。
※東急カードとギックス、TOKYU POINTの利用促進と施策効果の可視化を目的に「マイグル」を活用したキャンペーンを開始 ~施策効果を可視化し、施策設計やサービス改善に活用~(2026/01/30)https://www.mygru.jp/customers/vzDzTNfL
施策とデータ分析をつなげ、次に活かす体制を作りたい
松富:
今回「TOKYU POINT デジタルサービススタンプラリー」で、サービスの利用促進と施策効果の可視化というテーマで「マイグル」を導入いただきました。まずは、今回の施策の位置づけについてお伺いさせてください。
Y.I.:
私が所属するチームの主なミッションは、2024年から開始した、スマホでTOKYU CARDでの決済とTOKYU POINTの付与を同時に行える「TOKYU CARD スマート払い」をはじめとした、デジタルサービスの推進です。2025年度上期は、東急グループの商業施設や東急百貨店といった、加盟店様にデジタル決済を導入し、グループ全体で使えるようにするインフラ面での「土台作り」を行い、2025年度下期から活用を推進するフェーズへと移っています。
今回の施策は、デジタルサービスの利用促進として、東急株式会社と東急カード株式会社が旗振りを行い実施した、はじめてのグループ横断キャンペーンという位置づけです。
| 東急カード株式会社 営業グループ 営業企画チーム チーフ Y.I.氏 2014年に新卒で入社後、フロント業務から管理部門、経営企画系まで幅広い領域を経験。 現在は営業企画として、TOKYU CARDスマート払いの導入拡大・利用促進と、のるるん×TOKYU CARDの新規発行促進を担当している。東急グループのリアルな接点を活かしながら、会員獲得から利用促進まで一貫して推進している。 |
松富:
今回、利用促進はもちろんですが、「施策効果の可視化」を非常に重視されていらっしゃったかと思います。キャンペーンの結果を深く分析する、お客様を正しく捉えるなど、データ分析を強化しようと考えられた背景には、どのような課題感があったのでしょうか?
Y.I.:
キャンペーン施策を早いサイクルで回そうとすると、データ分析が追いつかず、結果的に次の施策に活かせていないというもどかしさがありました。
クレジット会員の属性や行動など、データ分析は社内の各所で行われています。しかし、分析単体で行っているため、施策と連携できていない、キャンペーンの分析を行っても点で終わってしまうなど、データ分析を次の施策へ活かせていないという課題感がありました。
松富:
ありがとうございます。施策を回す部署と分析をする部署が分かれていて、施策と分析をセットで進めるのが難しいというケースはよくお伺いします。
Y.I.:
知見の問題も多少あると思います。営業担当と分析担当で、それぞれの知見はありますが、お互いにどう生かすか、そこのマッチングが難しい。今回、ギックスさんに、企画から分析までをつなげた形で提案いただいたことで、社内に知見が蓄積される非常にいい機会になりました。
想定比300%超。データで見えた「行動変容」の確かな手応え
松富:
今回、既存の自社アプリではなくLINEミニアプリを採用し、買い回り施設数をベースとした、シンプルで誰でも参加しやすい施策でしたが、設計の目的や工夫などについて教えてください。
Y.I.:
過去の買い回り施策では、お客様が「どこで買い物をしたか」「まだ買い物をしていないのはどこか」を把握するために、ポイント明細などを自ら確認しなければならず、UIの面でも課題を感じていました。その点「マイグル」では、スタンプによって「次に何をすればよいか」が可視化され、お客様自身で次の行動を把握できることが、導入に至った大きなポイントにもなっています。
TOKYU POINTやTOKYU CARDが使えるお店は、お客様から見ると「東急のお店」という1つの括りかもしれませんが、東急百貨店や東急ストア、商業施設を運営する東急モールズデベロップメントなど、運営会社はそれぞれ異なります。1つの建物の中に、複数の運営会社のお店が入っているという場合もあります。そこで今回は、スタンプの詳細をしっかり記載して「お客様へ分かりやすく可視化する」という点を重視し、丁寧に進めていきました。
また、初めての施策だからこそ、分かりやすさを最優先し、クリア条件を「スタンプの獲得数」だけに絞り込むことで、参加のハードルを上げないように配慮しました。
松富:
丁寧に設計をされた結果、エントリー数やスタンプ獲得者数などの各指標は、想定を大幅に上振れしましたね。
| 株式会社ギックス Data-Informed事業本部 Business Execution Division 松富 拓真 2016年に新卒でスポーツメーカーへ入社し、スポーツチェーン向け営業を経て、2023年にギックスへ入社。現在は「マイグル」を活用した施策設計・プロジェクト推進を担当。クライアント企業におけるデジタル施策の企画設計から実行支援までを一貫して行い、行動データを活用した利用促進施策や回遊施策の推進に従事。 |
Y.I.:
エントリー数は見込み比で+7%に達し、スタンプを1個以上獲得された方も想定比約+60%強と、当初の想定を大きく上回りました。その中でも特に印象的だったのは、スタンプ5個以上を達成した「高関与層」が想定比300%超まで伸びたことです。単純に参加いただけただけでなく、継続的に利用いただいたお客様が非常に多かった、という点は大きな成果だったと思います。
また「LINEミニアプリ」の活用も、参加のハードルを下げられた要因の一つです。既存の「TOKYU POINT公式LINEアカウント」内にリッチメニューを設置することで、スムーズに参加いただけましたし、スタンプ獲得状況に応じた配信も「あとスタンプ1つで達成ですよ」といった、個々の状況に合わせたリマインドを送ることで、実際に次の来店行動につながっている様子がデータとして顕著に現れたんです。適切なタイミングでのアプローチがお客様の行動変容に大きく影響することがわかり、今回の施策を通じて、プロモーションの大切さを改めて実感しました。
松富:
今回、お客様は「LINEから“参加”を押してもらうだけ」で、スタンプ付与にあたって特別な追加操作が不要な設計にしました。その点もエントリー数が見込みより増加した要因だと思います。
Y.I.:お客様の参加のしやすさはもちろんですが、今回はじめて取り組むグループ横断施策ということもあり、お店側のハードルを低くするためにもこの設計は重要でした。キャンペーンを実施する際は、各店舗に直接お問い合わせをされるケースが非常に多くなります。そのため、複雑な施策だと店舗側の負担になってしまいます。「LINEで参加を押してください」と一言案内すれば済むというのは、非常に良かったです。
これまで、各社とは個別にポイントアップなどの施策を行ってきましたが、今回、グループ内で同一条件で実施できたことは、大きな一歩でした。
お客様からしてみると、「ここのお店で使えるポイントカード」という認識はあるかもしれませんが、「多くの店舗で共通して使える」ということを知っていただくことで、ほかの店舗への来店のきっかけになるかもしれません。ポイントの利便性を高めることが「グループ各店舗への送客」に直結し、グループ全体でのWin-Winが実現できると考えています。
そのためにも、「グループ全体でTOKYU POINTを盛り上げていく」というのはとても重要だと考えています。継続することが大事だと思っていますので、今後もこのような施策を続けていきたいと思っています。
お客様の行動変容を起こせたからこそ、分析を行い再現性を高めたい
松富:
今回の施策を振り返って、一番の成果はどのようなポイントでしょうか?
Y.I.:
一番大きかったのは、実際にお客様の行動変容を起こすことができたこと、そしてその変化をデータで可視化できたことです。
具体的には、前年同時期と比較してアクティブ会員数が約30%増加し、決済金額も約20%台前半の伸長を見せました。また、複数施設における利用施設数や購買回数といった回遊行動も向上したほか、一部の会員様においては、過去に利用のなかった施設での新たにお買い物をされるなど、新規決済行動を生み出すことにもつながりました。単純に買い回りを促進し、スタンプ5個以上を達成した「高関与層」が多かった、というだけでなく、お客様の行動変容が収益につながったことが明確になったのは、非常に大きな成果だったと思います。
ここからは、実際に行動が変化したお客様がどのような層だったのかを分析することで、今後の施策やアプローチにも活かしていけるのではないかと考えています。
松富:
では、最後に今後の展望について教えてください。
Y.I.:
今回は非常に良い結果になり、グループや加盟店の皆様にも自信を持ってご報告できたと感じています。
また、「マイグル」を通じて、グループ全体でTOKYU POINTを継続して盛り上げるための土台を築けたのではないかと考えています。
一方で、今回の取り組みを通じて、新たな課題も見えてきています。
今回はシンプルで分かりやすい設計としたことで、多くのお客様にご参加いただけましたが、今後は東急沿線のさらに広いエリアでの回遊や、継続的な利用につながるような施策設計についても検討していきたいと考えています。
松富:
ありがとうございます。継続的に実施することによって、お客様の行動や習慣を変えていく、というのも「マイグル」の強みの1つです。また、将来的なお話にはなりますが、既存の自社アプリと連携しながら活用いただくことで、より自然な形でお客様との接点を増やしていける可能性もあるのではないかと感じています。
Y.I.:
そうですね。弊社としてもアプリを強化していくための取り組みも考えています。継続的に行い、一過性のイベントではなく、日常的に楽しんでいただける体験として定着させていきたいですね。
今回の施策を通じて得た貴重なデータを次に活かして、お客様に喜んでいただける企画を作っていくためにも、ギックスさんには引き続きパートナーとして伴走をお願いしたいと思っています。
松富:
私たちも東急カード様のデジタルサービスの推進に向けて、引き続きご支援させていただきます。本日はありがとうございました!
※記載内容は2026年6月時点のものです。
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