第6回  STEP3 分析方針の検討|POSデータで事業構造分析 with Power BI

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Power BIで実践するPOSデータの事業構造分析を公開

この連載では、2013年11月に弊社CEOの網野が出版した「会社を強くするビッグデータ分析」「Part2 分析の実践」の部分を「Power BIでPOSデータを使って事業構造分析を実践する」という具体的な実践例を紹介しながらアップデートしていきます。

今回はSTEP3の「分析方針の検討」について紹介します。事業構造分析プロセスの以下のSTEP3の部分です。

分析方針を決めるために仮説をもとう

ギックスにおいて、事業構造分析を実施する際に、データが揃った段階で必ず実施することは、仮説をもつということです。弊社では、アナリストに対してこれを口を酸っぱくして伝えており、徹底して実施してます。仮説とは、こちらの記事でも紹介されているとおり、情報収集の途中や分析作業以前に持つ「仮の答え」のことです。コンサルタントの世界では「まだ証明していないが、最も答えに近いと思われる答え」であり、それは必ず後から検証されるものです。

ビッグデータを分析する際にも、仮説をもたないと大掛かりかつ方向性を見つけにくいものなります。仮説なしでは、網羅的に全切り口、全軸の分析を実施する必要がでてきて、時間がかかりますし、それを解釈して意味のある答えを抽出することも難しくなります。いかにデータ分析のためのツールが進歩してきたとはいえその事実は変わりません。

ですので、分析を実施し、データ処理にかかる前に、質のよい仮説を立てることが非常に重要です。(仮説が立てることができれば、それを検証するための2次属性データを付けるというステップに進むわけですが、2次属性の話は次回以降に。)

仮説を立てるための2つのアプローチ

仮説を立てることの重要性は、いろんな局面で語られていると思いますが、具体的にはどのように立てるのでしょうか。「業務経験と現場の刺激から」仮説を立てるという場合と、「データをしっかりみて」仮説を立てるという2つのアプローチが存在します。

業務経験と現場の刺激から仮説を立てる

まず、業務経験と現場の刺激から仮説を立てるという方法ですが、こちらは、仮説思考 ~BGG流問題発見・解決の発想法~ (内田和成 著)から引用します。

頭の中に引き出しがいろいろあって、経営者とやり取りしたり、現場をみることでその引き出しが刺激される。これまでの経験と今見聞きしていることが組み合わされて答えが出てくるわけだ。単なる経験だけでもなければ、ただの思いつきでもない。その両方が組み合わせて答えが出てくるといえばよいかもしれない。

このアプローチは仮説を立てるための王道です。ただ、データを預かってこれから分析をするというアナリストは、必ずしも現場のことにそこまで精通しているわけでもなく、またその領域に関する経験が豊富であるわけではありません。そのようなシチュエーションでどのように仮説を立てればいいのでしょうか。

生データをしっかり見ることによって仮説を立てる

仮説を立案するためのもう一つの方法が、「生データ」をしっかり見ることです。生データ、特にトランザクションデータをじっくり眺めてみてください。そのデータ構造やデータの並び方の特徴からその企業の事業状況が想像され、検証したい仮説が出てくることがあります。ギックスでは、その作業を「データと戯れる」と呼んでいます。私が講師をするセミナーでも、生データをしっかりみて仮説を構築するという課題をセミナー受講生の皆様にやっていただくことがあるのですが、そのデータの分野に精通しているわけではない受講生の皆様が非常に多岐にわたる様々な仮説を出されます。データと戯れているといろいろなアイデアが生まれるということの一つの証明ですね。

この仮説立案のアプローチは、弊社CEOの網野がこちらで提唱している「長並列型仮説思考」を実践しているとも言えます。長並列型仮説思考は、複数のインプットを横並びに並列に並べて「こんなことや、こんなことや、更にこんなこともあって、それでこうだよね」という思考プロセスで仮説を立てる型のことを言いますが、「生データをみる」というのもデータ構造やデータの並び方といった複数のインプットを得るということに相当します。

このように仮説を立てておくと、後のデータ分析が非常にスムーズになります。いきなりデータ処理に取り掛からず、その前に仮説を立てるという時間をとってください。その効果はみなさんが想像しているより大きいのではないかと思います。

次回は仮説を立てた後の2次属性の付与について紹介します。

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