対談#2)コンサル出身経営者の戦い方:ギックス CEO網野 & Beyondge CEO 野上

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ギックスとBeyondgeは、2023年3月15日に業務提携を発表致しました。
両社の代表取締役CEOの対談を通じて、提携の狙いや今後の展開について2回連載でご紹介していきます。

後半にあたる今回は、二人のコンサルティング経験およびスタートアップの立ち上げ・運営経験を基軸に「コンサル出身経営者の在り方」について語ります。(前半記事はコチラ

論理性だけでは勝てないし、パッションだけでも破綻する

ハイ・スキル人材のペアリングは「最強の布陣」

網野(画像 右):
コンサル時代に、一度だけ、同じプロジェクトでお仕事しましたよね。

野上(画像 左):
ええ、そうですね。懐かしい。もう10年前どころか、もっと昔ですね。たしか、網野さんがアクセンチュアを辞めるタイミングで、担当されていたプロジェクトを私が後任として引き継ぐというようなお話でしたよね。

網野:
はい。まさにそれです。関西のプロジェクトで、テーマ的にも新規事業とかマーケティングとかいうワクワクするようなプロジェクトでしたけど、思い起こすと、野上さんと一緒に仕事したこと自体が、とても楽しかったなと思うんですよ。

野上:
ありがとうございます。僕も楽しかったですよ。いや、なんか、この流れで言うと取ってつけたように聞こえるかもしれませんけど、本当に楽しかったんですよ(笑)
基本的に、コンサルファームでは同じくらいの職階のメンバーが、同じプロジェクトに入るという機会はあまりないですよね。マネジャー級でも一人が多いし、シニアマネジャー級になってくると一人どころか10%とか15%とかのチャージしかない。

網野:
そうなんですよね。大規模プロジェクトでもない限り、経験豊富な同僚と机を並べて侃侃諤諤の議論をしながらプロジェクトを推進する機会はありませんよね。テーマとしてIT・システムなどが絡んでくれば規模が大きくなるのですが、私たちが当時関わっていた戦略系案件は、少人数で検討することになりますからね。だから、ご一緒したプロジェクトは、とても印象に残っています。
やってみて思ったのは、高いスキル水準の人が複数集まると、とても楽だし、とても強いチームになるということです。

野上:
ギックスの「プロフェッショナル・ネットワーク」はまさにそれですよね。いろんな経験を積んでいる各領域のプロフェッショナルを集めて、適材適所でプロジェクト推進に関わってもらう。得意なところ、実力を発揮しやすいところに適切な人材をピンポイントで嵌め込むので、プロフェッショナルメンバーも高い生産性をキープできます。
私のほかにも、セールスのプロや、数理モデルのプロ、各業界のプロなど、多様な領域の社外プロフェッショナル人材がいらっしゃって、非常に強いチームになっているなと思います。

網野:
ありがとうございます。人材不足に対する苦肉の策だったんじゃないか?と言われてしまえば、まぁ、最初はそうだったんですけれど、プロフェッショナル人材を集めるとこんなに高い価値が生み出せるのか!という発見がありました。正直言って、想像以上の良い効果がでています。

勝つべくして、勝つ

野上:
先ほど(※ 前回記事を参照)も話していましたけど、やはり「勝つべくして、勝つ」ということが大事だと思うんですよね。もちろん、最初に全部を読み切ることはできないけれど、それでも「勝ち方」とか「負けないやり方」を考えてから取り組むことは大切なんじゃないかなと。

網野:
そうですね。こういうところが、コンサル的な経営だと思うんですよ。大負けしないようにする。一発ノックアウトにならないようにする。そうやって事業を継続し、着実に成長していく。戦略を計画に落とし込んで、しっかりと実現していく。

野上:
ギックスは、夢と現実のバランスがいいなと思っています。コンサルティングというハイマージンモデルで着実に売上と利益を生み出しながら、プロダクトというレバレッジモデルを追いかけていく。夢を追うタイプの「プロダクト」だけに寄りすぎると一撃で爆死するリスクが上がるし、とはいえ、現実的な「コンサルティング」だけだとどこかで成長が鈍化するリスクがある。
ここのバランスをどうとるか、がとても難しいと思うんですけど、ギックスさんは、いいバランスで経営してるなーと思ってました。

網野:
サービス毎の数字を開示していないので具体的なお話しは差し控えますが、私たちが志向しているモデルとしては、まさにおっしゃる通りですね。安定的な事業と、爆発的な成長を見込める事業を組み合わせる。そして、安定的な事業単体でもしっかりと成長させていく。そういう風に考えています。

野上:
大規模に投資して、赤字を大きく掘っていくタイプの勝ち方とは違いますよね。

網野:
やはり、人それぞれ向き不向きというものはありますしね。また、そういうタイプの事業をする場合、組織の構成メンバーに求めるものも変わってくると思います。ギックスの良いところ、ギックスらしさ、みたいなものを大事にしていこうと思うと、自然と、勝ち方も定まってきます。

野上:
戦略は組織に従う、みたいな話になってきましたね。
でも、ほんとうに一本足打法で戦う「勝ち方」もあれば、複数事業でバランスをとっていく「勝ち方」もありますよね。ギックスの場合、プロダクトの種類も増やして、リスク分散をしながら勝機を伺っているなと思ってみています。

網野:
ポートフォリオ、という考え方が染みついていますよね。コンサル経験もそうですけど、新卒で入社したCSK(現SCSK)で経営企画部に所属していたことも影響しているのかもしれません。三つ子の魂百までというやつでしょうかね。
ポートフォリオを組んで、プロダクトミックスでクロスセルをしていく、これが「縦横展開」の根本思想です。

野上:
いやー。ほんとうに「教科書に載せてもいい戦略」な気がしてきましたよ(笑)

Data-Informed(データインフォームド)は時代にフィットしている

野上:それから、データインフォームドという領域設定も良いと思うんですよね。今の時代に、とてもフィットしていると思います。

網野:正直な話をすると、ギックスはAI銘柄というわけではないと思っています。私たちは、あくまでも「クライアントをデータインフォームドにすること」に特化しています。最近では、ChatGPTなどの生成型AI(generative AI)も注目を集めていますけれど、ああいったもの ”も” 全力で活用していきながら、クライアントが「より良い判断をできる」ようになっていただく。そこを一緒に目指していくのが私たちの仕事です。数理モデルを考えたり、機械学習プログラムを組んだりすることはもちろん多々ありますけれど、決して、そのこと自体を目的としてはいません。使える技術、使えるデータはすべて使って、判断の精度を上げていきたいと考えています。

野上:データを用いて考える、というのは、コンサルタントの思考法ですよね。

網野:まさにその通りで、いわゆる仮説思考を補強していると思っています。仮説思考の中でも、仮説検証の部分はデータを用いるのが当たり前でした。一方で、仮説構築、そのなかでも特に「初期仮説」の部分は、勘と経験の集積だったと思います。この部分についても、データを使って遂行できるのならば、より高い精度での仮説構築が可能になります。生成型AIは、こういうところにも使えそうだなと思っています。とても、大きな可能性を感じますね。

野上:データを使おう、という標語を掲げたときに「データの話」をしてしまう人が多い。データをどう加工するのか。どういう技術を使うのか。でも、本当に大事なのは、そのデータを使ってビジネスをどうしたいのか、という「ビジネスの話」ですよね。まさにこのあたりが、データインフォームドという言葉が指し示すものかなと思います。データによってインフォームドされた人間が、仮説思考で考えてビジネス判断をしっかりする。

網野:ギックスのパーパスは「あらゆる判断を、Data-Informedに。」です。まずは、私たち自身の判断をデータインフォームドにし、また、クライアントの判断をデータインフォームドにする。ここに注力しています。当社の規模はまだ小さく、影響を与えられる範囲が限られていますから、着実に活動を広げていこうと考えています。
この先には、世の中のあらゆる判断がデータインフォームドになって、無駄の少ない効率的な社会への道が続いています。今後も現れてくる色々な技術を駆使しながら、パーパスの実現を目指していきます。

野上:素晴らしいですね。しっかりと、お手伝いさせていただきます。

網野:ありがとうございます。それにしても、思いのほか盛り上がりましたね。

野上:ええ、ほんとに楽しかったですね。この先に、いろいろな広がりがあるなと感じますし、大きな可能性を感じます。とても面白い。みんな、プロフェッショナル・ネットワークに、はいっちゃえばいいのにって思いますね。(笑)

網野:これを読んでいるプロフェッショナルの皆さん、連絡してきてください!お待ちしてます!
もちろん、正社員も募集中ですので、どうぞよろしくお願いいたします。

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