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対談#1)美しい戦略を着実に実行するために:ギックス CEO網野 & Beyondge CEO 野上

AUTHOR :   ギックス

ギックスとBeyondgeは、2023年3月15日に業務提携を発表致しました。
両社の代表取締役CEOの対談を通じて、提携の狙いや今後の展開について2回連載でご紹介していきます。

第一回は、ギックスの成長戦略における、このたびの提携の担う役割について語ります。

人事領域を皮切りに、幅広い領域で価値創出を狙う

コンサルスキル×事業経験で、成長戦略を描く

株式会社ギックス 代表取締役CEO 網野知博(以下、網野/画像 左):
野上さん。本日はお忙しい中ありがとうございます。長らくコロナの影響が続いていましたが、徐々に対面での打ち合わせができるようになってきましたね。

Beyondge株式会社 代表取締役CEO 野上隆徳(以下、野上/画像 右):
対談のお声掛けをいただいてうれしいです。zoomなどでの打ち合わせも便利ですが、対面で話すとなると少し心持ちが違いますよね。本日は、どうぞよろしくお願いします。

網野:
野上さんとは、アクセンチュア戦略グループに所属していた頃に、同じ部署(製造流通本部)で同僚としてご一緒していたご縁ですね。

野上:
はい。当時は、同じくらいの職階でしたので、同じプロジェクトに入って仕事するという機会はほとんどありませんでしたけれど、社内の会議などでは頻繁にお会いしていましたよね。懐かしいです。その後、網野さんがギックスを創業されて、昨年には上場もしたということで、とても注目していました。今回、業務提携ということで、一緒にお仕事ができて大変うれしく思っています。

網野:
業務提携契約を締結する以前から、野上さんには当社の「プロフェッショナル・ネットワーク」の一員としてプロジェクト推進などでご支援していただいておりましたが、このたび、業務提携ということで、より密接な関係で一緒にお仕事ができるのは、当社の成長にむけて大変心強いなと思っています。
野上さんは、コンサルファームでの経験を核にしつつ、事業会社の経営経験を積んでこられました。さらには複数のスタートアップの立ち上げも行い、現在も複数社に経営参画されています。こうした経験によって培われた知見を用いて、当社の事業成長のためにご協力いただければと思っています。

野上:
アクセンチュアとデロイトトーマツコンサルティングで、併せて16年のコンサル経験があります。我ながら、長いなと思いますけれど(笑)
その後、イグニション・ポイント(2022年に電通グループの連結企業に)で5年間、経営、事業・組織運営をやってきました。いろいろな事業を立ち上げて、いろいろな課題を乗り越えてきたので、そこから得た学びはとても大きかったと思いますね。

網野:
私も、アクセンチュアとIBMでコンサルティングに従事してから、ギックスを創業して経営の世界に足を踏み入れました。キャリア面でも、スキル面でも、非常に似ている部分があると思っています。それはすなわち、会話のプロトコルが似ているということですので、野上さんと議論したり、検討したりするのは、とても楽ですし、高効率だなと感じています。

ギックスの顧客内「縦横展開」

野上:
コンサル的なケイパビリティの上に、事業経験がある人同士の会話は、確かにスムーズですよね。しかも、スタートアップ立ち上げという所まで共通していますので、お互いに話の前提が揃っているという感じがします。
そういった意味では、ギックスの「縦横展開」の考え方は、非常に面白いなと思ってみていました。コンサル的でもあり、経営者的でもあるなと。

網野:
ありがとうございます。そうなんですよ。アレは、まさに、当社のコンサル的経営の考え方が表出したものだと思うんです。
当社のクライアント企業は、売り上げが数千億円以上ある非常に大きな企業ばかりです。そうすると、様々な事業があり、様々な部署があるということになりますから、私たちがご支援できる領域がクライアントの社内に無数に存在するわけです。
とはいえ、「なんでもかんでも首を突っ込んで貪欲にお金を稼ぐぞ!」なんていう気持ちではなくて、私たちが得意とする領域、すなわち、データ”も”用いて判断を合理的・論理的なものにしていくべき領域に対して、しっかりご支援する機会をいただきたいなと思っているんです。
それは、つまり「ある部署・領域で始まったデータインフォームドな取り組みが、その部署内に浸透・拡大していく」という縦展開と、そこでの成功体験が社内に伝わり「他の部署・領域でも、データインフォームドになろうという機運が高まる」という横展開を推進するというお話になります。
そうなると、クライアントの法人格としては1社かもしれませんが、いろいろな部署・領域でお仕事をするわけですから、実質的には3社とか5社とかとお付き合いしているのと同じお話になります。ある案件が終了したとしても、それでその会社とのお付き合いが終わるということではなくなるんですよね。
これが、まさに「縦横展開」という言葉で表現したかった部分です。

野上:
戦略的ですよね。教科書に載りそうな戦略です。コンサルっぽい(笑)
ただ、それを机上の空論で終わらせないところが、事業経験を積んできた価値なのだろうなと感じます。

網野:
一般的に、コンサルティングというサービスは、試合形式でいうと「トーナメント戦」「甲子園」みたいな感じなんですよね。その試合で負けたら終わり。契約終了。お付き合い終了。
ただ、これを「リーグ戦」「ペナントレース」にすると、戦い方が変わります。縦横展開は、まさにこれです。「ひと試合ひと試合は大事だけど、万が一負けても、次の戦いに臨める」ようになる。
クライアントの事業成長にコミットしている私たちにとって、クライアントの事業戦略やビジネス状況、データの特性、システムの癖などを理解していくことはとても重要です。そのためには、中長期的に継続的なお付き合いをしていくことがとても有効です。先ほどもお話しした通り、私たちが「データインフォームド」という観点で成長をご支援できる領域が大企業の中にはたくさんあります。クライアントへの価値貢献を行いながら様々な知見を蓄積しておいて、新しい領域のご支援の機会をいただいた際に、プロジェクトを垂直に立ち上げて価値貢献をしていくのが理想的な姿です。

事業を形にするむずかしさ

野上:
事業を運営するときの、むずかしさと面白さの話ですよね。
偶然に身を任せるのではなく「勝つべくして、勝つ」という感じ。どうやって勝つのかを考える必要がある。
それに加えて、新しい事業を立ち上げていこうという話になると、戦略だけではなくて実行力が問われます。ここがコンサルとの最も大きな違いです。企画と実行、どちらかが欠けると上手くいかない。
当社、Beyondgeが得意なのは、まさにこういうところだと思っています。つまり、勝てる勝負をデザインする、勝ち方を定める「企画力」と、それを確実にやりきるための計画策定ノウハウに裏打ちされた「実行力」の組み合わせです。
様々な事業をゼロから立ち上げてきた経験上、「いかに早く、実行に移せるか」ということを強く意識しています。どんなに素晴らしい企画でも、着手が遅ければ失敗するリスクが高まります。他社に出し抜かれてしまうかもしれない。だから、「実行できそうだ」というところまで早々に持っていく必要があります。

網野:
まさにそうですね。そういう「実行するぞ!」という意思決定の際に、しっかりと役立てる情報をご用意するのが、ギックスのデータインフォームドの思想です。データがあるときにはデータを使った方が、判断の精度も上がりますし、決断しやすくなります。
いやー、本当に野上さんとは、考えていることも似ているうえに、会話のプロトコルが同じで助かります(笑)

野上:
ギックスの状況に照らし合わせると、既存の事業においては「実行する」という決断は既に為されていて、どんどん推進していくというフェーズですよね。そうなった際に、課題になってくるのが人的リソースということだと思うんです。
そのため、Beyondgeとギックスが組んで、できることはたくさんあるんですけれども、ギックスの成長を後押しするために、人材領域の強化から着手しようというお話になったのが、今回の提携です。

ギックスにおける、人的リソースの「縦横展開」

網野:
先ほど、事業の縦横展開のお話を、野上さんに褒めていただいたんですけど、私たちは人材についても縦横展開で整理しています。
縦軸が人数で、横軸が生産性です。そして、上が社内で下が社外になっています。
上下に人を増やしていくことと、右向きに生産性を上げていくことで、面積が広がります。この面積が、私たちの価値提供のために用いることができるリソース量を意味しています。

野上:
この図も、戦略的ですよね。もちろん人数も大事だけど、それだけじゃなくて生産性を掛け合わせて面積で捉える。また、社内だけじゃなくて社外も同様に考えていく。わかりやすいです。

網野:
ありがとうございます。ギックスは、創業以来「社外人材」と一緒に価値提供をすることが多かったんですね。これは、当社がいわゆるミドル・エイジド・スタートアップであることにも起因しています。
創業役員が3名とも30代後半でした。私が当時39歳で、一番若くても35歳。また、全員転職経験があったので、いろんな領域に、いろいろな知り合いがいる状態での起業でした。直接の知り合いは言うまでもなく、知り合いづてでご紹介いただいた方々にも助けていただきながら、クライアントへの価値提供をより大きなものへとしてきました。創業初期には、そうして一緒に価値を生み出す皆さんのことを「ギックス・ファミリー」と呼んだりもしていたんですよね。
そんな流れの中で、いろいろなご縁をいただいて、JR西日本様やBIPROGY様との資本業務提携、電通コンサルティング様やベーシック様との業務提携などが実現しています。

野上:
社外人材を活用していく、という観点は、良いですよね。
私自身も、業務提携の前には、プロフェッショナル・ネットワークの一員として、ご支援させて頂いてましたよね。

網野:
実績のあるコンサルタントや経営経験者に、当社プロジェクトの社外メンバーとしてご参画いただくのは、本当にありがたいことです。プロフェッショナルの10%稼働は、アマチュアの100%稼働よりも高いアウトプットを生みます。
その一方で、社内人材を採用し、育成していくことも非常に重要だと思っています。社外にすべて頼れば良いというわけではありません。特に、当社の分析ケイパビリティは、豊富な分析アセットで支えられています。独自の方法論を学んで、機動的に動けるメンバーは社内に居てもらう必要があります。

野上:
そうですね。社内で持つべきケイパビリティと、社外を活用すべきファンクションの切り分けは大切ですよね。
そうして切り分けてくると、採用活動のやり方も見えてきます。今回の提携内容には、ギックスの採用改革も含まれているので、まずはそこをしっかり推進していきたいですね。

網野:
提携してから、まだ日が浅いのですが、すでに採用活動についてはよい効果が出始めています。採用フローの見直しや、活用メディアの再検討、欲しい人材像の再確認などの具体的な打ち手が進んでいます。また、社内の意識も変わってきています。
具体的な数字の話はここでは控えますが、応募者数などのKPIも改善されてきています。採用業務の「活動量」が圧倒的に増えてきたということなのかなと思いますね。

野上:
お役に立てているようで、何よりです。
ギックスの採用業務をしっかりと改善していくことに加えて、クライアント様向けの人材領域のご支援活動も共同推進し始めています。こうしたところで実績を積み上げながら、Beyondgeが得意とする新規事業立ち上げの領域でも、一緒にお仕事ができるとよいなと思っています。

網野:
はい。そこを目指して邁進していきましょう。

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Vol. 2:コンサル出身経営者の戦い方 に続く

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