原点回帰――創業時の構想を、AI時代に現実にする|社長ブログ:ギックスが目指す世界

  • f
  • t
  • p
  • h
  • l
ceoBlog20260717

こんにちは。ギックス代表の網野です。

7月に入り、ギックスは第15期を迎えました。

今期、私たちが掲げているテーマは、「原点回帰 Back to Basics」です。

ギックスは創業以来、データ分析を起点に、企業の戦略策定、業務改革、システム構築、プロダクト提供へと事業領域を広げてきました。

今回の「原点回帰」は、事業を創業当時の姿に戻すという意味ではありません。これまでに獲得してきた戦略、業務、システム、プロダクトの力をすべて活かしながら、祖業であるデータ活用を、もう一度ギックスの事業の中心に置くということです。

そして、AI時代における「データのギックス」とは何かを、改めて定義する。今期を、そのための一年にしたいと考えています。

今、私が強く感じていることがあります。

ギックスを創業したときに思い描いていた世界に、13年余りを経て、ようやくテクノロジーが追いついてきたのではないか、ということです。

今回は、ギックスの原点と創業時に描いていた構想、そして新たに提供を開始した「AI-Informed Platform(AIP)」を通じて、私たちがこれから実現したい世界についてお伝えします。


ギックスの原点――「Garbage In, “X” Out.」

ギックスの社名は、「Garbage In, Garbage Out(GIGO)」という、情報処理分野で古くから使われてきた言葉に由来しています。

質の低いデータを入力すれば、そこから得られる出力も質の低いものになる。入力データの重要性を表す言葉です。

私たちは、そこから「Garbage In, “X” Out.」という言葉を考えました。

一見すると価値がないように見えるものや、そのままでは意味を読み取りにくいデータであっても、私たちが意味を与え、組み合わせ、分析することによって、“価値のある何か”へと変えていく。

その想いを込めて、「GiXo(ギックス)」と名付けました。

ギックスを創業した2012年末から2013年頃、世の中では「ビッグデータ」というキーワードが急速に広がっていました。

当時、私がビッグデータの先に思い描いていたのは、システムに自然な言葉で問いかけると、必要なデータが分析され、その場で結果や示唆が返ってくる世界でした。

現在の生成AIとの対話に近いものを、データ分析の世界でも実現したいと考えていたのです。

しかし、当時のテクノロジーでは、その理想をそのまま形にすることはできませんでした。

そこで私たちは、クライアント企業からデータをお預かりして分析し、得られた結果や示唆を提示するとともに、具体的な施策の実行までを支援するコンサルティングサービスから事業をスタートしました。

データ分析から、意思決定と実行の支援へ

創業当時は、大量のデータを蓄積し、分析すること自体が簡単ではありませんでした。

それまで本格的に分析されていなかったデータに向き合うことで、新たな課題や事業機会が見つかり、それを施策につなげるだけでも大きな価値が生まれました。

その後、クラウドサービスやBIツールが普及し、データを集計し、可視化すること自体は、多くの企業が取り組めるようになりました。

一方で、データから何を読み取り、どのような判断を行い、実際の業務やシステムにどう組み込むのかという課題は、むしろ複雑になっていきました。

分析結果が出ても、意思決定に使われない。
ダッシュボードが作られても、現場の行動が変わらない。
データ基盤が整備されても、使いこなせるのは一部の専門人材に限られる。

こうした問題が、多くの企業で起きるようになりました。

ギックスも、単に分析結果を提示する会社ではなく、データを企業の意思決定や実際の業務につなげる会社へと進化してきました。
戦略策定、業務改革、データ基盤や業務システムの構築、プロダクトの提供まで、事業領域を広げてきたのは、そのためです。

「美しいデモ」と、実務との隔たり

その間にも、対話型のデータ分析サービスは何度も登場しました。

新しいサービスが登場するたびに、私たちも「創業時に考えていた世界を実現できるのではないか」と期待し、その可能性を検討してきました。

しかし、実際の業務で活用しようとすると、大きな壁がありました。

整えられたサンプルデータを使ったデモは美しく動いても、現実の企業データは、そのように綺麗には整っていません。

部門ごとにデータの定義が異なる。欠損や重複、表記の揺れがある。数値データだけでなく、議事録、日報、報告書といった文章情報も存在する。

「分析はできても、必要な形で可視化できない」「対話型とはいっても、精緻なスクリプトで指示しなければ適切な結果が得られない」「裏側の仕組みを相当作り込まなければ、業務では使えない」

そうした経験を重ねる中で、理想と実務の間には、まだ大きな隔たりがあると感じていました。

生成AIが、創業時の構想を現実に近づけた

その状況を大きく変えつつあるのが、生成AIやAgentic AIの進歩です。

ただし、生成AIが数値分析をすべて正確に代替できるようになった、ということではありません。

数値の集計や計算、同じ条件であれば同じ結果が得られるべき分析については、整備されたデータ基盤と分析の仕組みに担わせます。
そのうえで生成AIが、人間から自然な言葉で投げかけられた問いを理解し、必要な情報を探し出し、分析結果を読み解くための要因候補や仮説、その根拠を分かりやすく提示します。

正確にデータを処理する仕組みと、人間の問いを理解して判断材料を提示する生成AI。
それぞれの得意な役割を組み合わせることで、対話型のデータ活用が、ようやく実務で使える水準に近づいてきました。

例えば、「昨日、あるエリアの売上が伸びたのはなぜか」と問いかける。

するとAIが、売上だけではなく、天候、人流、近隣イベント、実施した施策、会議の議事録、店舗の日報などを横断的に参照し、考えられる要因とその根拠、さらに確認すべき論点を提示する。

その内容を材料として人間が判断し、現場が動く。実行した結果を再びデータとして取り込み、次の判断につなげていく。

これはまさに、創業時に私が思い描いていた世界です。

テクノロジーが、ようやく構想に追いついてきた。
この変化を、私は非常に嬉しく感じています。

そして今こそ、創業時に実現したかったことに改めて挑戦するタイミングだと考えています。

AIPで実現する、AI-Informedな意思決定

その構想を形にしたサービスが、2026年6月に提供を開始した「AI-Informed Platform(AIP)」です(※)。

AIPは、AIエージェントが数値や文章など複数のデータを横断的に参照し、分析や仮説生成を支援することで、企業の意思決定プロセスを高度化するサービスです。

これまで、複雑なデータ分析では、事業部門が専門家へ分析を依頼し、結果が返ってくるまで数日から数週間待つことも珍しくありませんでした。
分析結果が届いた頃には、判断すべきタイミングを逃していることもあります。

AIPでは、経営者から現場の担当者までが、知りたいことを自然言語で問いかけ、必要なタイミングで要因候補や根拠を得られる環境をつくることを目指しています。

AIが要因と根拠を提示し、人間が判断する。現場が動き、結果を検証し、次の判断へとつなげる。

私たちが目指しているのは、AIに経営や業務の判断を委ねることではありません。
データやAIを、人間が考えるための強力な材料として活用し、人間の判断力を拡張することです。

これが、私たちの考える「AI-Informed」な状態です。

ギックスが掲げるパーパス「あらゆる判断を、Data-Informedに。」を、AI時代に合わせて具現化する取り組みだと考えています。

なお、AIPは、完成した共通ソフトウェアを導入すれば、すぐに同じ答えが得られるという汎用的なSaaSではありません。
企業によって、保有するデータも、業務課題も、意思決定のプロセスも異なります。
そのため、企業ごとのデータ基盤や業務課題、意思決定プロセスに合わせ、必要なデータ構造やAIエージェントの役割を個別に設計・構築していくサービスです。

※ギックス、企業の意思決定高度化を支援する「AI-Informed Platform(AIP)」サービスの提供を開始 —生成AIとデータ基盤を組み合わせ、AI-Informedな組織づくりを支援—(2026.06.10)https://www.gixo.jp/news-press/30720/

AIより先に、データを整える

AIPを実現するうえで、生成AIの性能と同じくらい、あるいはそれ以上に重要なのが、裏側のデータです。

どれほど高性能なAIであっても、データが整備されていなければ、業務で使える答えは返せません。

例えば、「売上」「顧客」「来店」「アクティブ顧客」といった基本的な言葉でさえ、部門やシステムによって定義が異なることがあります。
人間同士でも意味が揃っていない言葉を、AIが正しく理解することはできません。

そこで必要になるのが、データや指標の意味、相互の関係性を整理し、人間とAIが同じ前提で理解できるようにする「セマンティックレイヤー(意味の層)」です。

生データを壊さずに保持し、何度でも再処理できるようにする。
欠損や重複、表記の揺れを補正し、分析可能な形に整える。
さらに、日次の異常検知、月次の前年比、個々の顧客の行動分析など、使う目的に合わせてデータを最適化する。

こうした、一見すると泥臭いデータ整備があって初めて、AIは業務の文脈を理解し、根拠のある仮説を返せるようになります。

AI時代になったから、データ整備の重要性が下がったのではありません。
むしろ、AI時代になったからこそ、データの意味や構造を設計する力の重要性が、これまで以上に高まっているのだと思います。

原点回帰――AI時代の「データのギックス」へ

私たちが掲げる「原点回帰」は、創業時の事業にそのまま戻るという意味ではありません。

創業以来培ってきたデータ分析の力に、戦略、業務、システム、プロダクト、そして生成AIを組み合わせ、データを意思決定と実行につなげる会社として、もう一段進化するということです。

事業領域を広げてきたからこそ、今のギックスには、分析だけではなく、その先の判断や業務、システム実装までを支援する力があります。

そのすべての力を、改めて祖業であるデータ活用を中心に束ね直す。

それが、私たちの考える「Back to Basics」です。

「Garbage In, “X” Out.」

一見ばらばらで、そのままでは価値を見いだしにくいデータに意味を与え、構造化し、人間が判断するための材料へと変えていく。

データだけで答えを決めるのではなく、データとAIを使って、人間がより良い判断を行える状態をつくる。

それが、AI時代における「データのギックス」の役割だと考えています。

創業時に思い描いた世界の実現に向けて、改めて挑戦していきます。 


  • f
  • t
  • p
  • h
  • l