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ポイントカードは宝の山:共通ポイント分析で”顧客像”が浮き彫りになる

AUTHOR :   ギックス

本記事は、株式会社ギックスの運営していた分析情報サイト graffe/グラーフ より移設されました(2019/7/1)

漫然と”ポイント”を付与するだけで顧客満足を高められるか?

サークルKサンクスの店頭で、こんなカードが「ご自由にお持ちください」と配られています。ご存知でしたか?
sunkus
世の中は、「共通ポイント」が溢れています。本日は、共通ポイントの意義について考察します。

猫も杓子も共通ポイント

共通ポイントというと、TSUTAYAが主導するT-ポイントが最初に思い浮かびますよね。他にも、ローソンなど三菱商事グループが中心に推進するPonta、リクルートが普及を狙うリクルートポイント、そして、先ほどご紹介した楽天ポイントなどが思い浮かびますよね。(リクルートポイントとPontaは、2015年春に統合されたりもしています)
この中でも、Pontaは、2015年7月に新しいスマホアプリを導入し、「ポイントカードをスマホアプリに統合」という試みを始めています。

さらに、電子マネーSuicaで日本(関東中心ではありますが)を席巻しているJR東日本グループが、「JREポイント」の導入を検討しています。

まずは、2016年2月にアトレを中心にスタートするということですが、JR東日本グループには最強「Suicaポイント」や、Suica一体型でお馴染みのビューカードの大御所「ビューサンクスポイント」などの本丸が控えていますので、これらが統合されていくことになります。

”共通”じゃないけど”横断的”なものも沢山ある

上記のJREポイントは、厳密にいうと「共通」というよりは、「グループ企業横断」という感じです。この類のものも沢山あります。IYグループのnanaco、イオングループのwaonなどの電子マネーと紐づくものが多いのですが、アパレル系では純粋なポイントカードとして活用されるケースが散見されます。(例えば、ユナイテッドアローズや、ベイクルーズなどが提供していますね。)
もう少し形態が変わると、西武百貨店のクラブ・オン(※クレジットカードと紐づかないもの)や、六本木ヒルズや表参道ヒルズ等の”森ビルグループ”のような「系列商業施設横断」のポイントカードもあります。これは、入っているテナントに関して、ポイントが貯まっていくモデルですね。
あるいは、ビックカメラやヤマダ電機などの家電量販店や、ホテル(ヒルトンなど)が提供する「自社内ポイントカード」という枠組みもあります。

当初の目的は「顧客の囲い込み」だったが・・・

これらのポイントカードは、そもそもは「顧客を囲い込む」という目的で提供されていました。西武百貨店であれば東急やマルイではなく自社グループで買ってほしいわけですし、ビックカメラもヨドバシカメラではなく自社で買ってほしいわけです。そのために、ポイントを還元し、そのポイントを使って再購買につなぐということを目指していました。
しかし、これだけポイントカードが世の中に溢れてくると、消費者は「使い分ける」ことを狙うようになります。そして、そのうち、消費者が「使い分けるのが面倒」になってきたことを踏まえ、”共通カード”のニーズがでてきたわけです。

ポイントを分析すると何が分かる?

その流れの中で、共通カードが隆盛になるのは致し方ないことですが、既に自社内のポイントカードを発行している企業にとって、果たして「安易に共通ポイントに乗っかるべきなのか?」ということは大きな疑問です。
具体的に言うと、「その流れに乗っかって共通ポイントを導入することは、あなたの会社の戦略に合致していますか?」ということと、「そもそも、自社のポイントカードデータをしっかり分析していますか?」ということです。

何を分析するべきか

ポイントカードは、消費者からすると「自分が、どれだけのポイントを保持しているか」が分かるものです。ポイントが貯まったり、使ったりした(いわゆるトランザクション情報)はあまり意味を持ちません。
一方、分析する側からすると、トランザクションに意味があります。
いつ、どの店でポイントを貯めたのか。ある特定の店だけで貯めるのか、いろんなお店で貯めるのか。貯めた店と使う店は同じなのか、違うのか。沢山貯めて一気に使うのか、日々、貯まった分だけ使っていくのか。これらの「行動特性」が見えてくるわけです。
これは、POS分析ID-POS分析の考え方と非常に近いです。
ID-POS分析では「誰が」「何を」「いつ」「どこで」「どれだけ」購入したかが分かります。一方、POS分析では、そのうちの「誰が」の部分が分かりません。そして、今回のポイント分析では「誰が」は分かるものの「何を」が分からなくなります
POS分析に関する解説記事でも述べたとおり、情報が沢山あるに越したことはないものの、分析の目的さえ明確であれば、一部の情報が欠落していても問題ないと言えます。

「誰が、いつ、どこで、どれだけ(総額)」が分かると何ができる?

このポイントカードのデータは、まず、買い回り状況が分かります。一つの店舗だけで買い物をしているのか、多くの店に行っているのかが分かります。また、ポイントの付与日がわかるため(仮に、購入金額がポイントデータ上では分からなくても)2倍ポイントや3倍ポイントなどのキャンペーンに敏感に反応しているのかどうかもわかるでしょう。
また、ポイントカードの面白いところは「使ったこと」が分かることです。ポイントをしっかり貯めて使う人が多いのか、少しずつ使う人が多いのか。もし、しっかり貯めてくれる人が多いのなら、有効期限の延長を検討してみても良いかもしれません。このあたりは、自社のビジネスにとって「しっかり貯めてガッツリ使う派=高額商品をポイントで買う人」が良い顧客・大事にしたい顧客なのか、あるいは「少しずつ毎日お得を感じてくれる派=日々の購入商品をポイントでお得に買う派」の方が良い顧客・大事にしたい顧客なのか、という”戦略”を見直すきっかけにもなります。
 
共通ポイントに限らず、自社が提供するポイントサービスの情報を、非常に価値のある”宝の山”だという視点で見直してみてはいかがでしょうか?

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