ソーシャルゲーム分析におけるユーザのハマり度の可視化|ソーシャルゲーム分析(5)

AUTHOR :   ギックス

本記事は、株式会社ギックスの運営していた分析情報サイト graffe/グラーフ より移設されました(2019/7/1)

ゲームコアのプレイ状況に着目してハマり度を数値化せよ

一般的に、どれだけのユーザがゲームを面白いと感じてハマっているかを数値化することは非常に難しいです。今回は、ゲームへのハマり度を概算するひとつの手段として、ゲームコアのプレイ状況に着目してみましょう。

ユーザは選択に対する結果の認知の連鎖を楽しんでいる

ケイティ・サレンとエリック・ジマーマン著「ルールズ・オブ・プレイ ゲームデザインの基礎」(SoftBank Creative出版、2011年)によると、面白いゲームが必ず備えている条件として、下記の2つを挙げています。

  1. ゲームは選択を伴っていなくてはならない
  2. ユーザは、行為によって生じた結果を認識できなくてはならない

もし、ゲームに選択が用意されていなければ、あらかじめ定められた道筋を再生するだけになり、それは小説や映画と大差ないものになってしまいます。過去に、某RPGゲームのダンジョンのMAPが一本道であることが批判されたことからも、ユーザはある程度の選択肢の中から選んだ結果の認知に楽しみを見出していると考えられます。また、ユーザは選択に対する結果がどのようなものであるかをある程度推測しており、想定通りの結果を実現できた達成感や、その想定以上の変化に対する驚きなどの喜怒哀楽を感じていることが分かります。(ただし、想定とかけ離れすぎている結果はユーザが理解できない可能性を含んでいるので、注意が必要です)
そのため、選択に対する結果の認知が容易であればあるほど、喜怒哀楽を抱き、面白いと感じるユーザは多くなるでしょう。そして、そのゲームはカジュアルゲームと評価されるでしょう。逆に、結果の認知が難しいのであれば、多くのユーザが「何が面白いのか分からない」と感じることになり、そのゲームはヘビーユーザ向けのゲームやクソゲーと評価されるでしょう。
また、ある選択に対する結果は次の選択の材料にもなり、選択と結果が連鎖していくことでユーザは喜怒哀楽の連鎖を体験することになり、ゲームにハマっていくことになります。

ゲームコアのプレイ状況はゲームへのハマり度を把握する鍵

ゲームを進めるために、一番繰り返しプレイされる部分を「ゲームコア」と呼びます。例えば、パズル&ドラゴンズは「石を3つ並べて消す」、モンスターストライクは「モンスターをある方向に飛ばす」ということがゲームコアになります。
ゲームコアは、ユーザのある選択に対する結果が凝縮されたものです。先ほどの例ですと、パズル&ドラゴンズだと「どの石をどう消すのか」、モンスターストライクだと「どのモンスターをどの方向にどれぐらいの力で飛ばすのか」という選択に対する結果が思い通りになるか、想定以上になるかという体験がユーザの喜怒哀楽につながります。
ユーザが喜怒哀楽を感じる最小単位がゲームコアであるため、「ユーザがどのようにゲームコアをプレイしているか」を計測できれば、ユーザのゲームへのハマり度を把握することができます。

チュートリアルはゲームコアのプレイ状況を計測する最初の地点

チュートリアルは、「ゲームコアのどこに選択と結果が用意されているのか」を最初にユーザへ伝える場です。
基本的にチュートリアルは「座学での説明→学習内容の実践」という手順で進んでいくので、ユーザが座学の結果を実践できているかや選択に対する結果の認知を体験できているかを計測できるようにログを出力しましょう。それが難しいのであれば、座学で学んだ内容を実践できるまで、次のステップに進めないような設計にするべきです。
この段階で、ユーザにゲームコアの面白さを伝えることができなければ、ユーザがゲームにハマることはあり得ないでしょう。

ゲームコアにオプションを付加することで新しい刺激を体感させる

脳はある程度の喜怒哀楽に慣れてくると退屈さを感じるようにできているので、ゲームが進むにつれて飽きさせないような工夫が必要になります。このとき、ゲームコアにオプションを付加していくことで新しい刺激を感じさせるような工夫が必要になりますが、ゲームコアがぶれるようなオプションを付加しないように注意しましょう。
例えば、パズル&ドラゴンズの例ですと、ゲームが進むにつれて、「属性を考慮しないと倒せない」、「複数の色を同時にそろえてコンボをつながないと倒せない」、「ユニットのスキルを駆使しなければ倒せない」といったようにオプションが付加されていきますが、「石を3つ並べて消す」というゲームコアはぶれていません。
オプションを付加した場合も同様に、ユーザが付加されたオプションを体験してよりハマっているかを計測できるようにログを出力しましょう。

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