ソーシャルゲーム分析におけるリセットマラソン(リセマラ)の影響~分析対象から除外すべき情報~|ソーシャルゲーム分析(3)

AUTHOR :   ギックス

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本記事は、株式会社ギックスの運営していた分析情報サイト graffe/グラーフ より移設されました(2019/7/1)

リセットマラソンの影響は常に念頭に置こう

前回、ソーシャルゲーム分析のブースト施策による影響範囲について触れましたが、今回は、ソーシャルゲームを分析する際に考慮しなければならない外的要因の1つである「リセットマラソン(リセマラ)」の分析への影響を説明します。

初回のレアガチャは課金しなくても引ける

ソーシャルゲームでは、レアなアイテムやカードが排出されやすいレアガチャをゲーム内通貨を使用して引くことができます。
レアガチャで排出されるアイテムなどの利便性をユーザに理解してもらうため、初回のレアガチャは課金しなくても引けることが多いです(大抵は『初回のレアガチャのみゲーム内通貨が必要ないケース』か『初回のレアガチャが引けるようになるまでに必要なゲーム内通貨が無償で配布されているケース』かのどちらかでしょう)。

アプリをアンインストールするとアプリのデータは消える

ソーシャルゲームに限らず、多くのアプリでは、アプリをアンインストールするとアプリのデータも削除されます。つまり、ソーシャルゲームをアンインストールして、再度インストールすると、最初からプレイすることになります(稀に、アプリのデータをアンインストールしても削除されない領域に、ゲームIDなどのデータを保存しているアプリもあります)。

リセマラとはお目当てが出るまで初回のレアガチャを繰り返す作業

『初回のレアガチャは課金しなくても引けること』と『アプリをアンインストールするとアプリのデータは消えること』をうまく組み合わせることで、初回のレアガチャでお目当てのアイテムやカードが出るまで、ゲームのインストール/アンインストールを繰り返すことが『リセットマラソン(リセマラ)』です。
手順の一例を以下に示します。
20150710_リセマラ_フロー
『ゲーム名+リセマラ』でGoogle検索すると、そのゲームにおけるレアガチャでの当たりアイテムなどに関する記事が検索結果の上位に出てきます。最早、ユーザにとって、リセマラはソーシャルゲームをプレイするうえで当たり前の作業になっています。

リセマラの過程で削除されたアカウントの除外は難しい

アプリのアンインストール時にゲームのデータは端末から削除されるため、アンインストール後にそのアカウントでプレイされることはありません。そのため、分析対象からは除外することが望ましいですが、『リセマラの過程で削除された』と判断する基準の定義が難しく、実現は容易ではありません。
無理に分析対象からそのようなアカウントを除去する作業に時間を割くよりは、常に頭の片隅にリセマラの存在を留めておく程度にしましょう。

削除されたアカウントでアンインストール後にプレイするケースもある

引継ぎコードによる端末引継ぎ機能が実装されているソーシャルゲームの場合は、アンインストールする直前に引継ぎコードを発行することで、アンインストール後でもアンインストール前のアカウントに戻ることができます。
お目当てではないが、高レアリティのアイテムやカードが出た場合は、とりあえず引継ぎコードを発行してアカウントをキープし、お目当てが出ずに諦めた後にキープしたアカウントに戻るケースが考えられます。また、お目当てが出た場合でも、キープしたアカウントには高レアリティのアイテムやカードが存在するので、そのアカウントの引継ぎコードを他人に譲る人もいます(規約によっては違反事項に該当すると思います)。

初回のレアガチャ前後のポイントを計測している指標に影響する

リセマラは、ユーザのゲームに対するモチベーションを計測するための指標(例:ゲームの継続状況に関する指標など)に影響します。
例えば、下図のように新規登録したユーザがゲームのどのステップで離脱しているか調査しているときに、ゲームの開始に近い特定のポイントでの大幅な離脱を発見した場合、そのポイント前後に初回のレアガチャがあるか確認した方がよいでしょう。
20150710_リセマラ疑い
また、リセマラをしているユーザがある一定層存在している場合、『ある日に新規登録したユーザ数に対する、次の日もプレイしたユーザ数の割合(一般的に翌日継続率と呼ばれる指標)』が低くなることが考えられます。

リセマラ対策の必要性を検証する必要がある

リセマラを制限することは、技術的には可能です。例えば、アプリをアンインストールしても削除されない領域にゲームIDを保存することで、リセマラできないような仕組みを構築することができます。しかし、ストアのレビューを閲覧すると、リセマラができないことが低評価につながる可能性を含んでいることが分かります。
ただ、リセマラがよい影響を及ぼすこともあります。例えば、過去の記事でストアのランキングはダウンロード数によって決まるとお話ししましたが、リセマラによりダウンロード数が増加するとランキングは上位に推移します。また、『○○万ダウンロードキャンペーン』といった施策も早期に打てるため、世間で流行していることをアピールしやすくなります。
リセマラ対策の必要性をいくつかのゲームにおいてABテストなどで検証できれば、大きな知見につながると思います。

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