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ギックスの”絵”本棚/100万回生きたねこ 佐野洋子 作・絵|講談社

AUTHOR :  田中 耕比古

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田中 耕比古
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求められる幸せ と 求める幸せ

100万回生きたねこ (佐野洋子の絵本 (1))

本日は、不朽の名作「100万回生きたねこ」をご紹介します。この絵本は僕が生まれた1977年に初版となり、現在の帯には「読みつがれて36年、愛されて200万部」と刷られています。まさに「不朽の名作」ですね。

余談ですが、某Aで始まるコンサルティングファームに在籍していた友人が、東京タワーが見える都心のマンションのリビングルームに本書と「スーホの白い馬」を”チラ見せ”状態で置いていて、「いやー、女性にウケがいいんだよね」と嘯いていたのを思い出したりもさせてくれる、なかなか思い出深い絵本です。

物語の概要

主人公の”猫”は、100万年の時を「死なない」で過ごしています。(正確にいうと、100万回(以上)死んで、100万回(以上)生き返った、ということになるようです。)

そのたびに、色んな人に飼われ、愛されました。そして、猫が死ぬたびに、飼い主は泣きました。

しかし、猫は、どの飼い主も嫌いでした。だから、一度も泣きませんでした。死ぬことも、彼にとっては大したことではありませんでした。

そんな猫が、あるとき野良猫としての人生を送ります。人生(猫生?)経験も豊富ですし、彼はモテモテです。初めて、自分らしく生きられます。そして、ツンデレな白いねこと出会い、恋に落ちます。

100万回「死んだ」ではなく、100万回「生きた」

本書は、「100万回生きたねこ」というタイトルです。「100万回死んだねこ」ではありません。

どちらでもおなじようにも思えますが、僕は、これは重要なポイントだと捉えています。彼は、100万回生きました。しかし、それはすべて他人の人生でした。誰かに飼われ、誰かのために生き、不本意なまま日々を過ごしました。

そこに「本当の”生”」はなかったのではないでしょうか。

だからこそ、「100万回生きた」ということにフォーカスをあてることにより、その「最後の”生”=本当の”生”=自分の”生”」が際立たせているのかもしれません。

求められるだけでも、求めるだけでも足りない

求められるがままに、死んだように生きるのか?

仕事であろうと、プライベートであろうと、自分の人生は自分で決めるべきです。

嫌いな人と一緒に時間を過ごすのは、「豊かな人生」の対極だと言わざるを得ません。

もちろん、相手が求めてくれる、ということはとても大切です。求めてくれるからこそ、生きる意味がある。しかし、「求められているから」と自分を押し殺していてはいけません。

本当に大事なもの に気づけるか

猫は野良猫として生きた際、自分の事しか見ません。「おれは 100万回も しんだんだぜ。いまさら おっかしくて!」と言い、周囲の尊敬を勝ち得ようとします。

しかし、白いねこと出会い、そんな自慢話・オレ話を封印します。相手のソバにいることを選びます。自分自身よりも大切なものを見つけたのです。

猫の生き方は3回変わります。最初は、「他人の期待(求められること)に沿う人生」を100万回 → 「自分らしさをみつける人生」を野良猫生活の前半 → 「自分の求めるものを愛おしみ慈しむ人生」を野良猫生活の後半 という変遷です。しかし、僕たち人間は、そんなに何度も生きられません(輪廻転生、などの死生観は少し脇に置いておきましょう)。この1度きりの、そして数十年間で幕を閉じる人生で、いかにして、望む人生・理想の人生を過ごすかが重要です。

誰かから「求められる」ことに応えるために時間と労力を費やすだけでなく、自らが「求める」人やモノと出会い、そしてその相手(人あるいは事業などのモノ)からも求めてもらえた時にこそ、”本当の幸せ”を得られるのではないでしょうか。

このように、本書は非常に含蓄深く、大人が読むべき絵本だと言えます。

ちなみに、東京タワーが見えるマンションに住んでいた元A社のH君も、リビングのローテーブルの下からチラ見せした本書にコロッとやられて「向こうから求めてくれる女性」ではなく、「自分から本気で求めた女性」と巡り合って幸せな家庭を築いているという噂です。本書を何度か読むうちに、きっと心が洗われてしまうのでしょうね。

というわけで、ここはプレイボーイな感じの男性を多く輩出する某企業の人事部におかれましては「これ、部屋に置いておくと女性ウケがいいよ」という触れ込みと共に、推薦図書に指定するというご英断をお願いしたく存じあげます。はい。

 

100万回生きたねこ (佐野洋子の絵本 (1))

100万回生きたねこ (佐野洋子の絵本 (1))

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