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データインフォームド思考①|データは友達!!!

AUTHOR :  田中 耕比古

こんにちは/おはようございます/こんばんは。取締役の田中です。趣味は物書きです。

趣味が高じて出版の機会をいただくことが時々あります。今回は、ブログ強化期間というタイミングで、拙著の紹介をさせていただくことになりました。今回ご紹介するのは、2023年10月にSBクリエイティブから出版した「仮説とデータをつなぐ思考法」です。

こちらの書籍の前にも6冊(たぶん)出版させていただいているのですが、これまではいずれも「田中個人の考え方」に関する本であったのに対して、今回は、初の「ギックス」に深く関わる内容の書籍となっています。
(※田中の書籍にご興味を持っていただける方は、是非、こちらからお買い求めください。)

データが苦手な文系ビジネスパーソンのために

本書は、「データが苦手な文系ビジネスパーソン」を対象にしています。

データを使って考えろと言われても、良く分からない。学生時代から、数字を扱うことに苦手意識がある。そういう方は決して少なくないと思います。

日本の大学において、文系の学生は入学者数ベースで7割程度だと言われています。もちろん、大学院から理系に進むとか、文系には分類されるがセンター試験もしくは共通テストでは理数系科目で得点を稼いだとか、そういう人もいるとは思います。ただ、少なく見積もっても「大卒社会人の半分以上は文系」だと言って差し支えないでしょう。(理系の方が研究室に残りやすいとかそういう事情に鑑みれば、文系比率は7割を超えるのかもしれません)

上述の通り、文系だからデータ分析ができないとか、文系だから数字に苦手意識があるとかいうことにはなりません。しかし、「総じて」あるいは「一般的に」もしくは「傾向として」という枕詞をつけるならば「文系って、データと縁遠いよね」というのは、そこまで乱暴な論だとも言えないと思うんですよね。

前置きが長くなってしまいましたが、ひらたくいうと「社会人の半分以上は文系で、データに苦手意識を持っている」んじゃないかと、僕は思っているわけです。

実際に僕自身、関西エリアの私立文系卒業です。高校時代は「理数コース」なるものに所属していましたが、高3になる頃にガッツリ文転してしまい、微分積分代数幾何あたりの記憶はスッポリ抜け落ちている有様です。「データ分析は任せておけ」とか、「数字は友達!!!」とか、そんなことは口が裂けても言えません。

ただ、その一方で、僕は「ギックス」という会社で、データのすぐ近くに座り続けています。いや、正確には、データのすぐ近くでホワイトボードの前に立ってることの方が多いんですが、何にしても、周囲をデータに囲まれて、それらと触れ合いながら仕事をしてきました。

弊社のメンバーは、理系卒がかなり多く、理系修士・博士も相当数います。そうした優秀な理系メンバーに囲まれながら、「あいつ、取締役のクセに無能だな」と後ろ指を指されないように、なんとかかんとか生き抜いてきた文系の僕が編み出した「データとの向き合い方」をまとめたのが、今回の書籍「仮説とデータをつなぐ思考法 ‐Data-Informed‐」なのです。

文系人材の勝負所は「勘・経験」に基づく”仮説”

文系ビジネスパーソンの多くは、現場に近い領域でお仕事をしています。営業企画や事業企画、経営企画などの企画職の人たちも、現場から遠く離れた浮世離れ感を醸し出していてはうまい企画を構想できるはずもありません。現場社員と同様に企画社員も、現場を知り現場を理解することが求められます。(決して、理系が現場から遠い、という意味ではありませんよ……というエクスキューズを入れておくのが昨今のトレンドですよね。)

そうした現場経験は、ビジネスをうまく回し、成長させていくための、非常に大きな武器になります。それが「勘・経験・度胸」、いわゆるKKDです。

KKDという言葉を聞くと「時代遅れなやり方だ」「非科学的な考え方だ」と眉をひそめる方も多いでしょう。

しかしながら、勘は、非常に有効なツールです。勘は、これまでに蓄積してきた経験・知識に基づく「こうじゃないか?」という類推です。これは、日常生活において、多くの人が活用している極めて自然なアプローチです。

朝焼けは雨、夕焼けは晴れ。ツバメが低く飛ぶと雨が降る。あのスーパーは、この時間から混み始める。○○の新商品は当たり外れが大きいので、1ヶ月くらい様子を見てから買うかどうか決める。今日のランチは、大盛りにするのはやめておこう。最低気温が10度を下回ったから、この服を着ていこう。明日は大切なプレゼンだから、今夜はお酒を控えて早く寝よう。

ね。普通に使っているでしょう?最初の二つは、必ずしも自分の経験に基づくものではありませんが、それでも「そう信じるに足る実績」を目の当たりにしているからこそ、信じてみよう(傘を持って行く、早く帰るなどの行動をしよう)と考えるわけですから、これも立派な勘だと言えます。

そうやって、普段は勘や経験に頼って物事を判断している人たちが、ビジネスにおいて勘・経験を嫌うのはなぜなのでしょう。僕は、それは「理由・根拠」「論理展開」が明示されないから、という一点に尽きると思うんですよ。自分がラーメンを大盛にするのか普通盛にするのかライスをつけるのか餃子を頼むのかは、その人個人の問題なので好きにしたらいいんですけど、仕事においては常に誰か他の人、他者が存在しているわけです。そうなると、ちゃんと他者を納得させられるだけの論拠を用意してあげないといけません。これを怠るタイプの人が嫌われているのです。決して、勘・経験が嫌われているのではありません

先ほどの例の中では「 ○○の新商品は当たり外れが大きいので、1ヶ月くらい様子を見てから買うかどうか決める。 」は、理由らしきものが書かれています。ビジネスにおいては、最低限このレベルでの根拠や理由が存在していないと、その言説を聞きいれる価値があるかどうか判断できないんですよね。

  • セール前だから、今週は客足が減るだろう
  • 明日は暑いから、ビールがたくさん売れるだろう
  • 紅葉の時期だから、ホテルの稼働率が高まるはずだ
  • だいたい3ヶ月毎に部品の発注が来るから、そろそろ連絡が来そうだな
  • 具体的な価格イメージも擦りあったので、次回お打ち合わせではご発注いただけそうだな

などという風に「勘」の根拠となる理由を述べることができれば、それは「豊富な経験・知識に基づく再現性が期待できる仮説(類推)」として、対話相手に伝わることでしょう。

そして、これが極めて大切なのですが、勘(仮説)が正しいかどうかデータを使って確認するように努めれば、その精度を一気に高めることができます。

理由や根拠が示されていない「勘」は、検証のしようがありません。しかし、理由や根拠があれば、それに対応するデータを探してきて、その理由(例えば明日の気温)と、勘(明日のビール販売数)を比較することができます。また、当然ながら過去のデータを引っ張ってきて、勘そのものの正しさを検証する(気温とビール販売数の関係性確認)こともできます。

業務経験に基づく「勘」がデータによって強化され、より確からしい「仮説」となれば、これはビジネスを推進する極めて有効で強力なツールになります。

データは敵ではありません。自らが日々の業務の中で鍛え上げてきた勘と経験を、さらに磨き上げるための「友達」として付き合っていくことを目指しましょう。(「データは友達!」という言葉の元ネタが伝わっている人がどれくらいいるのかは本当に不安ですが、わからなくても大丈夫なので気にしないでください)

長くなってきましたので、今日はこのあたりで。明日は、もう少し実践的・実務的な領域に踏み込んでいきます。

書籍のご案内

仮説とデータをつなぐ思考法 ‐Data-Informed‐(SBクリエイティブ)

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