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ギックスの本棚/Journalism(ジャーナリズム) 2014年7月号 ビッグデータ時代の報道とは(朝日新聞社)

AUTHOR :  田中 耕比古

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田中 耕比古
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「ジャーナリズム」という出口を決めて、データ活用を考える思考実験

Journalism(ジャーナリズム)2014年7月号

本日は、朝日新聞社の発行する雑誌「Journalism(ジャーナリズム)」の2014年7月号を取り上げます。

「報道」に関する雑誌です。

7月号を今頃になってご紹介するのは、手遅れ感満載なのですが、それには理由があります。実は、僕は、この雑誌「Journalism(ジャーナリズム)」の存在を、つい先日まで知らなかったのです。

というのも、この雑誌は完全に”報道”に特化した雑誌で、僕のような報道に関係ない人には「全く接点がない雑誌」なんですね。

7月号の前号にあたる「6月号」の特集は「テレビ・ジャーナリズムが危ない」です。次号である「8月号」は「科学報道はどう変わるべきか」です。そして「9月号」は「反知性主義に抗うために」です。駄目です。僕の生活と、何の接点も見出せません。

というわけで、本当に偶然見つけた7月号が、弊社の取り組んでいる業務領域である「ビッグデータ」にまつわる特集だったのは僥倖としか言いようがありません。(なので、僕が定期購読することは無いと思います。)

データジャーナリズムは「アウトプットの例」

さて、他の号はさて置いて、本日取り上げる7月号は「ビッグデータ時代の報道とは」という特集です。

内容は、その筋の有識者の寄稿記事が集められています。例えば・・・

  • ジャーナリズムはマーケティングに学べ データ・アナリティクスが拓く新手法 萩原雅之(トランスコスモス・アナリティクス副社長)
  • ネット選挙の解禁で、政治もジャーナリズムも新たな対応力が求められている 西田亮介(立命館大学大学院先端総合学術研究科特別招聘准教授)
  • ソーシャルメディア分析の手法はデータジャーナリズムにも通じる 橋本大也(データセクション株式会社取締役会長)

という感じです。

面白いのは、「報道の専門家」「ジャーナリスト」が書いたものよりも、「ビッグデータの専門家」(という表現が適切かはさて置いて)が書いたものが多いというところです。

つまり、この本は【ジャーナリズム】【報道】という”出口(アウトプット)”を決めた上で、そこに向けてビッグデータを如何に活用していくべきか、と論じているわけです。

本書の読み方・使い方

これを踏まえると、本書の読み方が見えてきます。

専門家は、何らかの専門領域を持つが故に「専門家」なわけです。ですから、彼・彼女が、自分も「専門領域外」のテーマに関して寄稿する場合には、自分の専門領域の視点で語る、ということになります。(我田引水、というよりは、全ての道はローマに通じてしまいましたごめんなさい、という感じだと思いますが)

要するに「ビッグデータ専門家」の記事は、その内容の半分くらいは「各自の得意領域」の事例などが書かれている(つまり、ジャーナリズムはせいぜい残りの半分程度)わけですね。一方、「報道専門家(ジャーナリスト)」の記事は、主たるテーマが「報道の在り方」で、そこにビッグデータという”味付け”をしているというカタチになります。

これは、「ビッグデータを内側から見ている」人と、「ビッグデータを外側から見ている」人が、同じ雑誌に、同じテーマで寄稿している状態を意味しています。前者は、ビッグデータを飯の種にしていて、後者は、ビッグデータを使う側にいるので、どういうところに魅力や興味を感じているのか、が異なります。

この【差】が非常に面白いのです。非常に端的な例を挙げると、前者は「データから何が見えたか」「どんな効果・結果につながったか」を語りがちで、後者は「それをどのように表現するか・伝えていくか」を語る傾向があります。

こういう【差】が存在するであろうことは、なんとなくイメージしてはいたのですが、今回、この両者の記事が混在する状況できちんと読み較べてみたことによって、非常にクリアに見えてきたなと思います。

物事を「両面」から眺めることで「バランス」を取る

人は、自分の考えに固執しがちです。僕自身、いま、この瞬間も「固定観念」に縛られているのではないか、何らかの思想に「偏って」しまっているのではないか、と懸念しながら文章を書いています。

常に、偏りのない(あるいは少ない)良いバランスを保つためには、「自分自身が偏っていないか・固定化してしまっていないか」というチェックを行うことが重要なのです。しかしながら「自分と真逆の立場の人」「自分と隔絶した世界の人」の意見だけを聞いても、「まぁ、この人は自分とは違うからなー」と思ってしまい拒絶してしまうことが、よくあります。(だって、人は自分のことを客観視できないんですもの。)

しかし、「自分と似た意見・立場の人」と「自分と全く違う人」の両者を比較すると、”自己の客観視”をしなくても、他人A vs 他人B という構図で見比べることができるので、非常に簡単に「自分の偏りチェック」を行うことができてお勧めです。

そういう意味で、ビッグデータ界隈とのかかわりが深く、首までドップリつかっているなーという皆さんは、本書の掲載記事をザザッと読み較べていただいて、「自分の中心線」「自分の重心」の再確認及び、必要に応じた修正をしていただくよろしいかなと思います。

尚、この「自己と似たA」「自分と別物のB」の比較によって自分の重心を再確認する、というテクニックは、結構使い勝手が良い技ですので、折に触れてお試しいただければと思いますよ。

 

関連記事のご紹介:

尚、余談ですが、本書(Journalism 2014年7月号)でも取り上げられている”ネット選挙ムーブメント”が沸き起こる前に行われた「2012年衆院選」および「2013年参院選」に関するソーシャルリスニングレポートを「世論総研」名義で無償公開しています。これぞまさに、我田引水って奴ですが、ご興味のある方は、是非読んでいってやってくださいませ。宜しくお願い致します。

 

Journalism(ジャーナリズム)2014年7月号
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