ギックスのBusiness Produce & Business Architect (BP&BA) Divisionで、ビジネスプロデューサーを務める西田尚徳。学生時代から起業に挑戦し、前職では20年にわたり新規事業や海外赴任も経験してきたそのキャリアの歩みと、ギックスで描く未来について語ります。
学生時代に培った「社会とつながる視点」
Q:まずは西田さんの学生時代について教えてください。
大学では船舶海洋工学、修士課程では環境学を専攻し、船舶関連の研究をしていました。
また、在学中(2000年)に起業もしまして、大学の正門前にアパートを借り、朝から晩まで研究と仕事に取り組んでいました。
Q:どういったきっかけで起業をしようと思ったのですか?
「学生時代の学びは、社会でどう活きるのか?」 ―私自身、工学系の学生だった頃、将来を見据えて何を学ぶべきか、その指針が見えず悩んだ経験があります。この漠然とした不安が起業の原点です。
また当時、「産学連携」が注目を集めていました。しかし特に中堅・中小企業から見ると、共同研究に力を入れてくれた学生たちとの繋がりが卒業と同時に失われるという大きな機会損失も目の当たりにしました。
この2つの課題を解決したい、というのが起業のきっかけですね。
株式会社ギックス Business Produce & Business Architect (BP&BA) Division ビジネスプロデューサー 西田 尚徳(にしだ ひさのり) 2003年東京大学大学院新領域創成科学研究科修士課程を修了。2000年に起業し、工学系の研究・調査、ITシステム開発サービスを提供。2004年WDB株式会社(現WDBホールディングス)に入社後は、技術者派遣を行う子会社の執行役員として東京支店を立ち上げ営業・採用を統括、グループ本社で営業企画や事業戦略に従事。シンガポール進出調査・法人設立・現地赴任の後、CROサービスを行う子会社で営業・IT開発。2025年2月にギックスへ参画。 |
Q:具体的にどのような事業を展開されていたのでしょうか?
実際の事業としては、学生が「研究」を「実践的な仕事」として経験できるようにすることから始めました。企業との共同研究に学生が業務として参画する。軌道に乗ればその研究を事業化し卒業後も中核メンバーとして活躍できる。たとえ事業化に至らなくとも、その経験は社会で即戦力として評価されるでしょう。そんなスキームを作っていくのが目指すところになります。また信用という意味では研究室・教授も重要ですから、先生方に顧問として入っていただきながら、大学の研究室の研究内容をもとにメーカーなどに提案し、調査や研究の受託業務を行っていました。さらに、プログラミングができる学生も何名かいましたので当時のケータイアプリやWebアプリ、業務システム開発等も行っていました。
未踏の領域に挑み続けた20年
Q:前職の会社のどんなところに惹かれて入社を決めましたか?
研究者支援の分野に携わりたいと考えていた時、研究職派遣で業績を伸ばしていたのが前職でした。子会社を設立して若手社員を登用しながら挑戦している点が魅力的でしたし、以前に業務の中で派遣法について学んだ経験から、派遣事業にも関心がありました。また、数年間でビジネスの全体像をつかめる事業だと感じ、自分を鍛えるには良い環境だと考えて入社を決めました。
Q:前職時代の仕事内容を教えてください。
約20年間在籍し、様々な業務に携わりました。最初は技術者の特定派遣を行う子会社にて、関西だけで展開していた事業の東京圏への拡大を担当しました。新規営業開拓だけでなく、全国での新卒・中途採用や採用者向け研修の企画・実施など、組織も小さいのでなんでもやりました。
その後、本社の社長直下で営業企画や事業戦略に従事しました。その中で海外進出案件を引き継ぎ、シンガポールでの人材紹介会社の立ち上げと、現地への赴任を経験しました。そして、CRO(医薬品開発業務受託機関)事業を手がけるグループ会社へ異動し、営業やDX推進に携わりました。
どの仕事も決まった手順や前任者が存在しない中で進める必要があり、失敗も多々ありました。しかしその試行錯誤の中で、多様な挑戦をさせてもらえたことは本当にありがたく、自身の成長につながったと感じています。
Q:ありがとうございます。シンガポールでの海外赴任について、具体的にどのような苦労や学びがあったかをもう少し教えてください。
シンガポールでは、現地法人のダイレクターとして経営全般を担当しました。現地での許認可の申請・取得から始まり、営業担当の採用や営業活動、人材の募集・面談・マッチングなど、人材紹介業務をプレイングマネージャーとして自ら実行。さらに、月次の数値管理やグループ本社へのレポーティングをしていました。
もともと英語がそれほど得意でなかったこともあり、部下やお客様とのコミュニケーションには苦戦しましたね。また、現地で活動することで、日本で立てた事業計画と異なることが多く、結果として十分な打ち手を見つけられず、「勝ち筋」を見つける前に撤退という判断になったのは悔しい経験です。今振り返ると、より早い段階で状況を見極め、方向転換するべきだった、と思います。
挑戦心を胸に、ギックスで迎えた次のステージ
Q:約20年務めた会社から転職を考えた背景と、ギックスに入社を決めた理由を教えてください。
自分自身の年齢、キャリア、CRO業界や事業の将来性を改めて考えた時に、このまま同じ環境に留まるのではなく、別のフィールドで新しい挑戦をすべきではないか、という思いが強くなったのが転職を考えるきっかけでした。
そんな中で出会ったのが“あらゆる判断を、Data-Informedに。”を掲げるギックスです。前職のDX推進業務の中で取り組んでいた「データを集め、経営判断や生産性向上につなげる」という仕事を、さらに高度なレベルで実践できる環境だと感じましたし、その考え方やノウハウをクライアントに展開していくという点に強く惹かれました。加えて、これまでとは違う業界や業種で、自分を成長させる大きなチャンスだと感じ、入社を決意しました。
Q:西田さんの現在の役割について教えてください。
Business Produce & Business Architect (BP&BA) Divisionという部署で、ビジネスプロデューサーとして組織横断型プロジェクトのマネジメントを担っています。
最近ではM&Aにおけるビジネス面でのデューデリジェンスを中心に担当しています。具体的には、対象となる事業構造やビジネスモデルの把握をはじめ、売上・利益の状況、関わる人材やキーマンの特定、潜在的なリスクの洗い出しなど、事業の全体像把握や買収後の事業計画を想定するための調査・分析を行っています。
Q: 「新しい挑戦」としての入社ですが、キャッチアップはどのようにされているのでしょうか?
新しい分野に入るときは、まず短期間でポイントをつかむようにしています。書籍の形である程度まとまっていれば、何冊かを1週間程度で読み切って概要を把握することが多いです。
例えば最近マーケティングについて学んだ際も、まず7冊ほど本を一気に読み、全体像と重要なポイントをつかみました。その上で、具体的な社内事例などは社内リソースやAIツールなどを活用し、疑問があれば遠慮なく質問して理解を深めています。
こうした進め方は、これまで数年ごとに異なる領域に挑戦し、都度新しい知識を身につけてきた経験が活きていると思います。ただ、好奇心旺盛な反面、飽きっぽいところもあるのは短所として自覚はしています(笑)。そんな性質だからか、新しいことに対してはいつも「どんな世界が広がっているんだろう」という前向きな気持ちで臨んでいます。
合目的な環境の中で、挑戦を重ね未来を切り拓く
Q:ギックスに入社して感じた、当社の魅力はなんでしょうか?
まず感じたのは、フラットで風通しが良い組織だということです。そしてカルチャーの1つとして掲げる「合目的性」にも象徴されるように、「今何のためにやっているのか」を皆が意識し、必要なことに集中し、無駄なことはしないという姿勢が徹底されています。もし失敗した時も無闇に責めるのではなく、次に活かすために建設的な議論ができる。心理的安全性も高く、効率的に成果に向かえる環境がとても魅力的だと思います。
また、ギックスでは生産性向上や最大限に成果を出し切る、という目的のためにフルフレックスやフルリモート等の制度が整っています。こうした合理的で効率的な環境があるからこそ、自律して目的意識を持って動ける人にとっては、非常に働きやすく、成長のチャンスも多い職場だと感じています。
- 参考記事:DIサミット2025セッションレポート「データインフォームドを支えるギックスのカルチャー~閉会挨拶より~」(2025.05.29)https://www.gixo.jp/blog/27539/

Q:最後に、西田さんの今後の目標やビジョンを教えてください。
ギックスのビジネスプロデューサーとして、短期的にはプロジェクト全体を一人でマネジメントできるレベルに成長したいです。そのためにも、クライアント様との関係構築や価値の出し方、どこまで踏み込んだご提案をするかといったコミュニケーションの感覚を磨き、もっと主体的に動いていく必要があると感じています。
中長期的には、複数の案件を成功に導く経験を積み重ねる中で、「事業を創る力」をさらに高めていきたいです。将来は、自分自身で新しいビジネスを立ち上げたいという夢があるので、日々の仕事で実績を積みながら、その目標に近づいていきたいと考えています。