clock2026.05.11 09:35
SERVICE
home

マイグルを核としたBM4DIDMの実現

AUTHOR :   ギックス

前回はBM4DIDM、すなわち、Behavior-based Micro-segmentation for Data-Informed Decision Makingについてご紹介しました。(BM4DIDMの解説記事はコチラ)今回は、その思想を、当社のご提供する「マイグル(Mygru)」を用いて実現する際のイメージをご紹介します。

顧客を理解し、打ち手に繋がる意思決定を行おう

マイグルによる行動の捕捉

マイグルは、行動を促すための「スタンプラリーツール」という風に捉えられることも多いのですが、我々が重視しているのは、購買行動の手前にある「お客様の行動」を捕捉することができるという点です。

あるお客様が来店し、そのまま購買行動に至らないまま帰宅した場合は、一般的には「来店した事実」を捕捉することができません。
しかし、マイグルを用いることで「来店スタンプの獲得」という行動をログとして記録することが可能です。月に何回来店しているのか、という情報と、そのお客様が月に何回購買しているのかという行動を突き合わせた際に、これまで見えてこなかった顧客行動の特徴が見えてくる可能性があります。

あるいは、クーポンを取得したが、使わなかった、という場合にも、「どのクーポンを取得し、どれを使ってどれを使わなかったのか」を捕捉することができます。

つまり、いわゆるID-POSデータに現れない「行動」を、スタンプ獲得というアプリ上の操作行為で確認することができるわけです。

このこと自体は、いわゆるデジタルスタンプラリーサービスであれば、「やろうと思えばできる」ことになります。しかし、重要なのは、こうした「行動データ」を「ビヘイビアベースのマイクロセグメンテーション」に活用し、さらに「データインフォームドな判断」に用いることなのです。

DIDMを見据えたキャンペーン設計

多くの場合、「来店回数を増やしたいから、来店スタンプを用意しよう」、「新しい店舗ができたから、認知度を上げるためにクーポンを配ろう」、「せっかく来てくれた人にお得を感じて欲しいから、カフェの無料ドリンクチケットを配ろう」というように、期待効果と直接つながるキャンペーンを企画してしまいます。

これらの施策が間違っているわけではありませんが、こうした行動はデータが無くても実現できますし、また、フリーライダーやチェリーピッカーを集めるだけという結果に終わりがちです。

本来、キャンペーン設計は、「得たい成果」と「そのために必要な行動変容・態度変容」と「そうした変容を可能とする提案内容」がセットになって考えられるべきです。

例えば、

得たい成果が「来店時の購買行動の促進(もっとお金を使ってもらう)」だとします。その場合に、必要な行動変容・態度変容はなんでしょうか?

パッと思いつくところを挙げると…

  • 店内滞在時間の延長(接触時間が増えることによる、購買機会の増加)
  • 店内回遊距離の延長(普段行かない場所まで行くことによる、接触機会・認知機会の増加)
  • 未知の店舗情報・商品情報の把握(認知機会の増加)
  • 金銭的メリットの理解(割引・値引き等の金銭メリットによる購買意欲の喚起)
  • 組み合わせメリット・付加サービスの理解(クロスセル効果)
  • 高額商品・高額サービスの価値把握(アップセル効果)

という具合でしょうか。

それぞれについて、そのために必要な顧客への提案内容を考えると…

  • 店内滞在時間の延長(接触時間が増えることによる、購買機会の増加)
    • カフェの無料クーポンの提供
      ※カフェ滞在時間分の直接的な延長効果にくわえ、休憩によるその後の滞在時間の延長効果も期待されます
  • 店内回遊距離の延長(普段行かない場所まで行くことによる、接触機会・認知機会の増加)
    • 最上階フロアの店舗への誘導
    • 入り口から最も遠いエリアへの誘導
  • 未知の店舗情報・商品情報の把握(認知機会の増加)
    • 新店情報の通知
    • 新商品情報の通知
    • 不人気店舗の情報通知
    • フロアマップの提供
  • 金銭的メリットの理解(割引・値引き等の金銭メリットによる購買意欲の喚起)
    • 開催中のセール情報の提示
    • タイムセール、ハッピーアワー等の情報の通知
    • 割引クーポンの提案
  • 組み合わせメリット・付加サービスの理解(クロスセル効果)
    • 料理のレシピ情報の提示
    • セット割引販売情報の提示
    • 映画館の半券提示による割引サービス対象店の紹介
    • 駐車場無料時間延長購買金額の通知
  • 高額商品・高額サービスの価値把握(アップセル効果)
    • 映画館のスペシャルシートの空席情報
    • 有料会員向けラウンジエリアのお試し利用券の提供
    • ゴールドカード(クレジットカード)のメリット動画の視聴

などが考えられます。

こうした構造のなかで、自社の業態や取扱商品(あるいは入居テナント)の状況に応じて、顧客(エンドユーザー)への最適な提案内容を考えるのが、目指すべき「キャンペーン設計」のあり方です。

しかしながら、こうしたことを「勘と経験」で行うことには限界があります。なによりも「狙った成果が得られたかどうか」が計測できなければ、どれだけ緻密に考え抜いたとしても、やりっぱなしで終わってしまいます。

そこで「”データによって検証することを前提とした”キャンペーン設計」すなわち、「for Data-Informed Decision Making(4DIDM)」の思想が重要になってきます。

顧客を理解し、顧客を動かす

そもそも、先ほど述べたような行動変容・態度変容の喚起に際して、「その顧客が、どういう人であるか」という顧客理解が強力な武器となります。

どういう交通手段で来たのか。何の目的で来たのか。家族連れなのか一人なのか。そういった情報があれば、その顧客が何者であるかを類推することが可能になります。

例えば、マイグルの来店スタンプ獲得のためのQRコードを、すべての入り口に設置したとします。どのQRコードを読み込んでも、アプリ上は「来店スタンプ」が押されますが、システムの裏側では「どの入り口を何時に通ったのか」という行動が記録されます。それはつまり、「駐輪場の近くの入り口から10時に入ってきた」のか、「最寄り駅に一番近い入り口から14時に入ってきた」のかが分かる、ということです。

自動車ならともかく、自転車で来た人と、電車で来た人に購買行動に違いがあるのか?と思うかもしれません。しかし、「自転車の人は近隣に住んでいて、電車の人は遠方に住んでいる」という可能性が高まるとは思いませんか?

あるいは、「電車で14時に来た人」と「電車で19時に来た人」では、(もちろん立地にもよりますが)「その日、休暇だった人」と「その日、働いていた人」のような違いが分かるかもしれません。

このように「どういう分析をしたいのか」を基軸に、「どういう情報を取得したいか」を考えるのが、DIDMのためのマイクロセグメンテーションであり、DIDMのためのキャンペーン設計です。

もちろん、アンケート機能で質問することも可能です。ここでポイントとなるのは、アンケートだけでは「真実かどうか」に疑問が残る場合にも、行動データによって裏付けが可能になるという点です。

家族と車で来る、と答えている人が、平日の夜に電車で来ている場合、それは「会社帰りに一人(もしくは同僚と)来ている」ということを意味するかもしれません。週末の家族来店の際にアンケートに答えた人が、平日はそれとは異なる「人格」で行動していることには、何の不思議もありません。そして、私たちは、それぞれの「人格」に対して、どのような購買行動を期待するのか(どう行動して欲しいのか)を考えるべきです。

平日の会社帰りにひとりで電車で来ている人に「今日なら、10kgのお米が5%OFFです」と言われても困ります。それは、週末に家族と車で来ているときに嬉しい情報です。会社帰りなら「カフェの割引チケット」「お惣菜の割引チケット」「アパレルのセール情報」などを喜んでくれる可能性が高いわけです。

このように「どういう顧客(エンドユーザー)に向けて、どのような提案(クーポン、インセンティブ、あるいは、スタンプ獲得)」を提案するのか、がキャンペーン設計の要です。

スタンプ獲得も、行動変容につながる

クーポン、インセンティブに加えて、スタンプ獲得の提案も重要だと述べました。クーポンやインセンティブは、顧客にとって分かりやすいメリットですから、行動が変わるのも当然だと思うかもしれません。

普段、そのショッピングセンターの映画館に行かない人も、「ポップコーン無料券」とか「高額シートへの無料アップグレード券(ペア利用可)」などがインセンティブとして提示されれば、「ここで映画を観てみようかな」という気持ちになるかもしれません。

しかし、反対に、魅力的なインセンティブを用意したからこそ、それを獲得するために「普段取らない行動をしてもらう」ということも可能です。最もシンプルな例は「アンケートに回答したら、ポイント(スタンプ)獲得」というようなものですね。アンケートに積極的に答えたいわけではなく、それによって、インセンティブが得られる(もしくはインセンティブ獲得に近づく)から、答えてくれるわけです。

同様に「3階の一番奥にあるメガネ店の視力検査を受けたら、有名ラーメン店の優先入場チケットが貰える」とか、「各階に隠されたQRコードを撮影して回ると、2万円の商品券が当たる抽選に参加できる」とか、そのようなキャンペーン設計にすることで、顧客の回遊を促進することができます。

インセンティブを使ってもらうことで行動を変えるのみならず、インセンティブを獲得するために行動を変えてもらうということも、マイグルの目指すところです。

なお、「企業(この場合、小売店)がやって欲しい行動を、顧客(エンドユーザー)に無理やりやらせる」というのは、好ましくありません。無用なストレスがかからないように、適切な設計を行うことがポイントです。

例えば、先ほどの「各階に隠されたQRコード」であれば、「ダミーQR(外れ)」を用意しておいて、外れQRを3つ集めると「キャンディーが貰える」という設計にするとどうでしょうか。お子さん連れでお買い物に来た家族にとって、時間を有効に使えるキャンペーンとなるかもしれません。(お母さんが買い物をしている間に、お父さんが子供と一緒に店内をウロウロする、というようなことを想定するのであれば、外れ3つでキャンディー、外れ5つでコーヒーチケット、という風にするのも一手ですね。)

このように考えると、キャンペーンの提案先が、顧客が何者かによって異なってきます。まさに、「行動ベースのマイクロセグメンテーション(BM)」です。

顧客を理解し、それぞれの顧客セグメントに向けて適切な行動変容・態度変容を促すようなキャンペーンを設計・実行をしたうえで、それを振り返ってPDCAを回す。

このように、BM4DIDMのあるべき姿は、マイグルによって実現可能なのです。


SERVICE