clock2023.12.18 09:00
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ダブル代表取締役に訊く:ギックスの経営スタイル

AUTHOR :   ギックス

ギックス創業以来、代表取締役を務めてきた網野。そして、2023年9月、創業メンバーとしてそれを支えてきた花谷が、同じく代表取締役に就任することで、ギックスはダブル代表制になりました。

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花谷の就任から3ヶ月。二人の役割分担はどのように変化し、会社運営にどんな影響が出ているのでしょう。代表取締役CEOの網野、代表取締役COOの花谷に話を聞きました。

最も変わったのは「意識」

インタビュアー(以下、質問):
網野CEO、花谷COO、本日は宜しくお願いいたします。早速ですが、二代表制になって、もうすぐ3ヶ月になりますが、何か変化があったでしょうか?

株式会社ギックス代表取締役CEO 網野知博(以下、網野):
そうですね、明確にありますね。これまで明文化していなかった役割分担が、3ヶ月前に明文化され、定義されたことで、私も花谷も、大きく意識が変わったんじゃないかなと思います。

同社 代表取締役COO 花谷慎太郎(以下、花谷):
はい。これまで「取締役」として関わってきましたが、そこに「代表」という言葉がつくことの重みをとても感じています。事業推進という観点で言えば、見ている範囲は大きくは変わらないのですが、捉え方というか、考え方が変化してきているなと感じています。

質問:
ありがとうございます。それでは、本日はそのあたりについて詳しくお聞かせいただければと思います。堅苦しくなるのは避けたいので、呼称は「さん」付けですすめさせてください。

網野:
はい。結構です。私も、普段通り、花谷「さん」と呼びますね。

”代表”という肩書きの重さ

質問:
花谷さんの代表就任時のインタビュー記事の中で「これまで通りに、事業推進の役目をしっかり果たしていく」というコメントがありました。ここが、花谷さんの主戦場という理解でよろしいでしょうか?

花谷:
その通りです。そのインタビューの時にもお話しましたが、代表就任前から「事業推進担当」という位置づけで長年やってきていましたし、代表就任後も、その位置づけは変わりません。しっかりと案件を獲得し、しっかりと価値提供を行い、しっかりと利益を生み出す。そのために、組織を作り、プロダクトを開発し、研究開発を行う。そういう事業そのものがしっかりと伸びていく部分を担当しています。
それ自体は、もう何年もやってきているのですが、代表就任後は、先ほども言った通り「意識が変わった」なと思っています。

網野:
花谷さんは、一気に「プロ経営者」の雰囲気が漂ってきましたよね。目の色が違う。視座が上がり、視野が広がったなと、隣にいて感じていますよ。

花谷:
ありがとうございます。嬉しいです。
私自身も、そういう感覚はあります。売上へのコミットメント、収益性への感度、組織の構築・維持・変革への責任、そういうものが、より一層強くなったなと思います。
ある意味では、創業当初に感じていた「ヒリヒリ感」を、もう一度感じているということなのかもしれません。

網野:
ようこそ、こちら側へ(笑)
いや、もちろん、花谷さんだって、代表就任前もヒリヒリしてなかったわけじゃないと思いますけど、やはり「代表」の肩書の重さはありますよね。

花谷:
はい。そうなんです。めちゃめちゃ重いです。網野さん、よく10年以上、ひとりで背負ってましたね。

網野:
ようやく気付いたか。もうちょっと感謝してもらってもいいんですよ(笑)

事業推進の花谷、成長戦略の網野

質問:
お二人の役割分担について、もう少しお聞かせいただけますか?

網野:
さきほどからお話している通り、花谷さんが事業推進担当ということで、今期、来期くらいまでの時間軸で、売上・利益にコミットしていく役割です。一方の私は、中長期の成長戦略を立案し、実行していきます。
2026年6月期に売上40億円という非常にチャレンジングな目標を立てていますので、これを、どのようにして実行していくのか。これは、オーガニックな成長、手なりの成長では到達できるものではありません。インオーガニックな、つまり、非連続な成長が求められます。こうした部分に注力しています。
その観点で考えた際に、グロース企業である当社の今後の成長に期待していただいている投資家の皆様との対話は、私のとても大切な担当領域になってきます。

花谷:
網野さんの言う通り、私は今期、来期にコミットしています。売上目標を達成し、しっかりと利益を出し続けることを目指しています。当社は研究開発リソースとしての人材と、案件デリバリーリソースとしての人材の区別をしていませんので、同じ人が「研究開発」に多く従事すると当期の売上・利益が下がり、「案件デリバリー」に多く従事すると当期の売上・利益が押し上げられるという構造になっています。
短期的な数字に責任を持つ私としては、案件デリバリーにリソースを割くインセンティブが働きますが、それでは、中長期的な成長を阻害してしまうリスクがあります。
私の見ている世界と、網野さんの見ている世界の「バランス」をしっかりとることが重要だなと感じています。

網野:
花谷さんが代表に就任するまでは、その二つの役割を私一人でやっていたので、非常に難易度が高かったんですよね。一人で両方見るのは、正直、無理があった。これを分担して、それぞれの立場で主張するという取り組みは、とても健全だなと思っています。

二兎を追う戦略で成長を目指す

質問:
それでは最後に、今後の方向性について教えてください。以前、中長期成長戦略として「二兎を追う」という言葉を使っていましたね。今までは、網野さんが一人で二兎を追いかけていたところを、二人で分担してウサギを追いかけているというイメージでしょうか?

網野:
そう捉えていただいて結構です。ただ「二兎」という言葉の意味するところが少し複雑で、わかりにくくなってしまっているのが、私たちの反省点でもあります。この先、もっと良い表現があれば、言葉をアップデートしていく可能性がありますが、まずは、現時点の定義を含めて、少し補足説明させていただきます。
2023年6月期の通期決算説明資料で「二兎を追う」と表現しているのは、1社1社クライアントごとに異なる個別の課題に対応していく「個別課題解決」と、特定業界や特定業務領域で汎用的に存在する課題を解決する「共通課題解決」の二つの方向性を両立させる、という方向性です。
前者はDIコンサル、DIプラットフォームで、後者はDIプロダクトです。ただ、これが、そのまま「短期」と「長期」と対応しているわけではないのが、ややこしい点だなと思っているんです。

花谷:
就任インタビューでも同じ話をしたのですが、個別課題解決のDIコンサル、DIプラットフォームは、主に「短期」に分類されますので、私の担当領域です。ただ、DIプロダクトについては ”企画・開発段階のプロダクト” と ”サービス稼働中のプロダクト” の2種類があります。
例えば、マイグルは、既に商用サービスとして多くのお客様に導入いただいていますので、これは ”サービス稼働中のプロダクト” になります。こうした稼働中のプロダクトは「既に存在する提供価値を、お客様にしっかりとお届けする」ということで私(花谷)の担当領域として取り扱っています。

質問:
”企画・開発段階のプロダクト”は、網野さんが見ていると捉えて良いですか?

網野:
単純化するならば、そうなります。なので「全体感」としては、そう捉えていただいて結構です。
もちろん、厳密に言うと、もっと入り組んでいます。プロダクトの企画段階、開発段階は、いくつかのステップに分けられますから、パキッと「ここまでは網野、ここからは花谷」という風にはなりません。
また、当社のプロダクトは、個別課題解決の領域から”種”を見つけだすところがスタートになることが非常に多いので、個別課題解決の中でも”研究”の色が濃いものは、私(網野)が方向性などに口を出すこともあります。

質問:
確かに複雑ではありますが、「中長期の成長につながる部分」を網野さんが担当している、ということですね。

網野:
まさにその通りです。目の前の価値提供には、花谷さんがしっかりとコミットする。また、その先1‐2年の売上に効いてくるようなプロダクトの機能強化なども、花谷さんがしっかり見る。
一方で、3年後、5年後に花開くようなプロダクトを企画し、ビジネスとしての形にしていくという部分は、私、網野がしっかり見ていくという役割分担です。

花谷:
とはいえ、時間の流れには連続性がありますので、杓子定規に「これは短期、これは中長期」という風に切り分けられるものではありません。無理矢理に「どっちの領分だ」という風に切り分けるのではなく、お互いに自分の守備範囲は認識しつつ、密接にコミュニケーションをとって、良いバランスを模索するというスタイルで、短期業績と中長期の成長を両立させていきたいと考えています。

クライアントを通じて、エンドユーザーへも貢献する

質問:
お聞きしたかったことは一通りお話しいただいたかと思います。最後に、なにか言い残したことなどあれば、お願いします。

網野:
それでは、今後の展開に向けてお話させてください。
もうすぐ今期の第2四半期が終わります。この半年間で、社員数も一気に増えました。営業、コンサル、エンジニアだけでなく、バックオフィス領域にも優秀なメンバーがどんどん入社してきています。会社として強くなっていると感じます。

花谷:
いわゆるミドルオフィス領域で、営業企画的な仕事、事業推進の役割を担ってくれるメンバーも強化しています。採用体制も強化しました。

網野:
そうやって体制を強化する一方で、事業の面では「マイグル」に力を入れています。マイグルは、DIコンサル、DIプラットフォームという個別企業向けのサービスから脱皮して、本格的に拡販フェーズに入った最初のソフトウェアサービスです。JR西日本様をはじめとする鉄道業界で多くご活用いただくと共に、全国の大型商業施設様からの引き合いも非常に多く、手ごたえを感じています。
さらに、これを機能強化するファミリーソフトウェアということで、AIによる旅程表機能、訪日観光客向け機能などを順次開発しています。来期くらいにはサービスとして立ち上げていくことを狙いたいと考えています。
それに加えて、マイグルを核に、もっともっと大きな便益を提供できるような構想もあります。顧客の行動データ・購買データをリアルタイムに蓄積・計算処理し、ひとりひとりのユーザーに対して適切な内容をオファーすることが可能になる「1 to 1 リアルタイム・データ処理基盤」です。
現状は、企業からプッシュされてくるクーポンや割引チケットなどを受け取っても「自分のニーズには合わないな」と不満に感じることが多いんじゃないかと思います。しかし、このデータ処理基盤が実現すれば、リコメンドは「邪魔な情報を伝えてくる”迷惑な存在”」から「良い情報を伝えてくれてありがとうという”感謝の対象”」に変貌を遂げるでしょう。私のリソースの大半は、この構想に全ブリしたいくらいの気持ちでいます。(笑)

花谷:
他にもいろいろやるべきことがあるので、それもちゃんとお願いしますね。(笑)
マイグルに、こうした周辺サービスやファミリーソフトウェアが加わることで、より大きな便益をクライアントにもエンドユーザーにも提供できるようになります。そうすることで、より「売りやすい」サービス、「使っていただきやすい」サービスになっていきます。大きな可能性を感じています。

網野:
ギックスをご活用いただいているクライアント企業の皆さんが、エンドユーザーである消費者の皆さんに「ああ、なんてお得で便利で楽しいサービスを提供してくれる会社なんだろう!」と思っていただけるように、私たちのできるかぎりの力で貢献していきたいと考えています。来年も、再来年も、頑張ります。

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