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エンジニアの感じる「Microsoft Power BI」のインパクト|第3回:本格導入(SQL Server)のインパクト

AUTHOR :   ギックス

本格導入(SQLサーバー)は複数人での分析に適す

BIシーンに大きなインパクトをもたらす可能性を秘めた「Power BI」。ギックスでも、これまで何度も取り上げてきました。(関連記事リスト:Microsoft Power BIはデータアーティストの武器となる 

本特集では、Power BIの特性/特長について、テクニカルエンジニアの視点で解説していきます。

Power BI(本格導入)

今回も、前回に引き続き「Power BIが何を変えたのか」についてご紹介していきます。(今回は“本格導入”のお話となりますので、あまりシステム領域に明るくない企画部門・現業部門の方は、興味のある所を拾い読みしていただければと思います)

SQLサーバーとEXCELの良いとこ取り

本格導入編における技術的なポイントは、Microsoft SQL Serverの導入です。

PowerBI_07

お手軽導入編では、分析対象データを分析作業を行うクライアントPC上にPowerPivotのイン メモリ データベースとして持っていました。本格導入編では、これをデータベースサーバ上に持つことになります。MicrosoftのデータベースサーバであるSQL Serverを別マシンで稼動させ、分析対象データを同じくイン メモリ データベースの形で保持する方式をとります。

この方式では、分析対象データを複数マシンで共有できるというメリットがあります。

お手軽導入(Office365)では、分析対象データは「分析者がExcelを使っているPC」からしか参照できません。例えば3人の分析チームで、1週間に1回更新されるデータを分析する場合、更新の都度(つまり週に1回)全員が自分のPCに最新データをコピーすることになります。

本格導入でSQL Serverを導入すれば、共有されているデータベースサーバ上に分析対象データを準備しているため、全員が、常に、同じデータを参照することができます。

本格導入編のPower BIを用いたシステムイメージを図示します。

PowerBI_08_2

このイメージの例では、イン メモリ データベースのデータは日次で更新され、分析担当者はデータ更新を自分で行う必要なしに「いつでも最新のデータを即時分析」できます。また、当然ながら、ユーザーインターフェースは「ExcelのPivotテーブル」ですので、ユーザーにとっての利便性も非常に高いのです。

クラウドによる柔軟性

近年、システムのインフラをクラウド上に構築することが多くなりました。続いては、クラウド活用による柔軟性について解説します。

PowerBI_09

Microsoft AzureやAmazon Web Servicesをはじめとしたクラウドサービスは、多くの選択肢を我々に与えてくれます。SQL Serverをクラウド上に用意すること事は、以下のようなメリットを我々にもたらします。

メリット1:マシンスペックを変更可能(=間違えてもマシンを買い直す必要が無い)

システムを構築する際、ハードウェアに関する”事前見積もり”は頭の痛い問題です。例えば・・・

  • 分析要件が定まらず、データ量の予測が困難(どれくらい増加していくのか見当もつかない)
  • 制御に必要なCPU性能・メモリ容量は、そもそも門外漢だからわからない
  • ”余裕を持ったハードウェア構成”の見積もりをしてみたら、金額が予算オーバー
  • ハードウェアを購入後に、そのスペックが不足している、となったら・・・最悪のケースはハードウェアの買い直しが発生

これらの悩みを解決する上で、クラウドサービスは非常に有効な解決策と言えます。

クラウドサービス上でデータベースサーバを構築する場合、データベース(この場合はSQL Server)が稼動する仮想マシンを作成するタイミングでマシン性能(CPU性能・メモリ容量・ストレージ容量など)を「クラウド上の設定値」として指定し、その後に分析用データベースのインスタンス作成を行います。

(この際、SQL Serverそのもののインストール作業を行う必要はありません。多くのクラウドサービスが「SQL Serverインストール済」の仮想マシンのテンプレートをあらかじめ用意しているからです。)

クラウドの最大のポイントは、この設定値は「後から変更可能」ということです。

つまり、”とりあえず見積もった性能”でクラウド環境上にデータベースサーバを立ち上げて、分析作業を行ってみた上で「過不足」を判断すれば良いのです。仮想マシンの「設定値」を変更して仮想マシンの再起動を行えば、新しい設定値の仮想マシン上=スペック変更された環境でデータベースのサービスを利用できるのです。(そしてもちろん、この作業は何度でも繰り返すことができます。)

まるでユニクロの試着室でズボンのウエストサイズを決めるようにマシン性能を決められます。凄い時代ですよね!

メリット2:初期投資を抑えられる

データベースサーバを自前で用意する場合、最低でも「ハードウェア+OS+データベースミドルウェア」の費用が必要となります。今回のようなBI導入のケースでは、データベースミドルウェア(=SQL Server)の費用が一番大きくなるように思います。

クラウドデータベースサービスを利用する場合、上記の費用は全て「月々のクラウドサービス利用料」という形でクラウドベンダから請求されますので、初めに大きなお金を用意する必要がありません。また、クラウドベンダによっては年間契約を結ぶことによって、さらに費用を圧縮することが可能になります。

 

以上、Power BIが、BIシーンに与える影響をかけ足ながらご説明しました。テクニカルエンジニアの視点でみると、非常に革新的なサービス・商品である、ということをご理解いただけたのではないかと思います。

本記事が、みなさんがBI製品を選定する際の「Power BI検討」の手がかりとなることを願います。

 

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