【”考え方”を考える】”対比”で考えてみる:コンセプトと具現化の違い

AUTHOR :  田中 耕比古

対比= 例示→抽象化→具体化

本日は、「コンセプト」を考える事と、それを実際に「具現化」するときの違いについて考えてみます。

これは「対比」で考える。というテクニックになります。

コンセプトは、自由な発想でいい

商品のコンセプトは、世の中にないモノを探す、ということになります。これは「創造性」であるとか「クリエイティブ」だとかいうお話で、世の中にはたくさんの書籍も出ています。

これを行う際の「発想法」は、下記、関連記事をご一読いただければと思います。

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しかし、実際に商品化する・サービス化する、となるとそのままでは問題があります。「超えるべき壁」が沢山あるのです。

思い付いた と できる は違う「はず」

では、どうすれば、その「違い」を炙り出せるのか。こういう時に、「コンセプト」と「具現化」を並べて比べてみる、のが良いでしょう。

例えば、、、

concept_product

まず、「優れたコンセプト」の特徴を挙げていきます。誰にもまねできない or まだ世の中にない概念であること、それが、何らかの技術に基づいて実現が可能と見込まれること、そして、何よりも、自分自身が欲しい/自分の困りごとを解決できる・世の中に貢献したいといった熱い想いがあること、です。

関連記事:ギックスの本棚/世界を変えるビジネスは、たった一人の熱からうまれる

一方、具現化フェーズでは、それら「コンセプトフェーズ」で求められていた要素に関して、さらにどういうことが求められてるかを考えてみましょう。

まず、尖っている だけではだめですね。「実際に作ることができる」ことが重要です。そして、ビジネスとして成立させるためには、商品なら量産できる、サービスなら展開できることが求められます。

また、尖ったシーズを活かす、ことに注目していたとしても、「実際に、ちゃんとニーズがあるのか」が重要です。当然ながら、マーケットの状況に合わせて、何らかの変更を強いられることもあります。(もちろん、完全に迎合しろ、ということではありません。)

最後に、個人の熱量が如何に大きくても、それを実際の商品・サービス(しかも、レバレッジの効くもの)にしていくことを、発案者一人だけで為し得るのは困難です。その際に「チームとしてのベクトルを合わせる」ということが非常に重要になります。発想は、一人でもできますが、モノづくり・サービスづくりは一人で為し得るのは難しいのです。(近年、webサービスに関しては、販売のプラットフォームも、開発環境も整備されてきたため、個人の力で作ることがある程度可能にはなってきましたが、それでも、世の中にマーケティングを仕掛けよう、などという場合には、アイデア発想力・モノづくり力に優れているだけでは難しくなります)

このように、もちろん「思いつくこと」は大事ではあるものの、それを現実のものとするためには「別の視点・別の能力」が求められるということが具体的に整理されます。

抽象化プロセスが大切

この「考え方:対比で考える」は、4つのステップで実践されています。

  1. 対立概念を並べる(コンセプト と 具現化)
  2. 片方(コンセプト)の特徴(尖っている/プロダクトアウト/個人の想い・熱量)を挙げる
  3. その特徴の「抽象度」を上げる
  4. 他方(具現化)の対立概念について「対比」で導き出す(実際に作れる/マーケットイン/チームの結束・ベクトル)

1,2,4は、既にイメージがつくのではないかと思いますが、重要なのは 3.の「抽象度」をあげる という行為です。

今回の場合、

  • 尖っている というのは、「そのフェーズにおいて、超えるべき最大の壁(最低条件)」の話をしている。
  • プロダクトアウト というのは、「販売・市場投入」の際の考え方である。
  • 個人の想い・熱量 というのは、そのプロセスを動かす「原動力となるもの」を指している。

と言うように考えました。(他にも考え方があって良いです。)

その結果、ステップ4では、「尖っているだけでは、満たしていない条件があるのではないか」「販売・市場投入を実際に行う時に、プロダクトアウトだ、ということだけで十分か」「個人の想い・熱量があれば、製品化まで持ち込めるのか」という視点で考えることができます。

このように、きちんと抽象化していくことが「対比」で物事を整理する際に重要です。(抽象化について、非常に平易に説明している書籍のご紹介記事(ギックスの本棚/読むだけですっきりわかる国語読解力)も、本稿と合わせてご一読いただければと思います。 )

この考え方が、皆さんの思考プロセス清流化の一助となれば幸いです。

 

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