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「フルマネージド」クラウドサービス~第一回・「フルマネージド(Fully Managed)」とは何か?~

AUTHOR :  岩谷 和男

クラウドのサービスは大きく二つに分けられる

みなさんは「フルマネージド(Fully Managed)」という言葉を耳にしたことはありますか?今回から計五回の連載で、この言葉の意味とこれからのクラウドサービスについて考えていきたいと思います。

まず、この場合の「フルマネージド」とは「クラウド業者がクラウド利用者にクラウドサービスを提供する際の”サービス提供形態”」です。「フルマネージドのサービス」は、利用者がサービスを利用する際に、「コンピュータ障害監視・バックアップ・ソフトウェアのバージョンアップ」など「運用に関わる作業」をクラウド業者が行ってくれる形態のサービスです※。逆に「フルマネージドではないサービス」とはこれらの作業をサービス利用者自らが行う形態のサービスです。

業務サービス提供者は「業務サービス」だけに専念できる

クラウドをとりまくプレイヤーとして、以下a,b,cの3者がいたとしましょう。

  1. クラウドサービス提供者(クラウド業者)
  2. 業務サービス提供者
  3. 業務サービス利用者(お客様)

例えば、私たちギックスはクラウド基盤を利用してお客様に業務サービスを提供しているので、このシーンにおいては上記bとなります。

ここで我々を含めた「b.業務サービス提供者」が望むのは「業務サービス提供者は”業務サービス”の事だけに専念したい」ということです。コンピュータ障害監視・バックアップ・ソフトウェアのバージョンアップなどは極端にいうと「問題が発生しなければ、いらない作業」であり、業務サービス提供者は「できればやりたくない作業」なのです。

これらを上記aのクラウド業者が行ってくれる「フルマネージドのクラウドサービス」は業務サービス提供者にとってはうれしいサービスです。自社のリソースをサービス利用者(お客様)へのサービス提供に注力できるからです。

具体なクラウドサービス例

[フルマネージドのサービス例]

Amazon RDS…データベースマネージメントシステム(DBMS)を提供するサービスです。DBMSそのものの障害監視や障害時の再起動、自動的なバックアップデータ保存などを備えています。(障害発生時の通知機能を持たないため「フルマネージド」ではなくフルではない「マネージド」に分類されることもあります。)

[フルマネージドではないサービス例]

Amazon EC2…仮想コンピュータを提供するサービスです。仮想コンピュータはそれそもののが「1台のコンピュータがサービスとして提供される」ので、「コンピュータ自身の運用作業」は自分自身で行わなければならないのです。

次回はこのフルマネージドサービスの登場によって新たに生まれた「贅沢ともいえる問題」について説明します。

※…現実的にはフルマネージドのクラウドサービスも運用作業を業務サービス提供者が行う事があります。業務サービスが正常に稼動できているか否かを判断する材料としてデータベースの監視結果などが必要とされるからです。しかしフルマネージドのクラウドサービスは、これら現実的な運用作業の軽減に大きく貢献します。

本連載について

 

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