経営コンサルタントと戦略コンサルタントの違い: コンサルタントに「答え」を求めるべきなのか

AUTHOR :  田中 耕比古

”経営”に答えなんてあるのか?

本日は「経営コンサルタント」と「戦略コンサルタント」という似て非なる二つの言葉について解説します。

答えか、プロセスか。

昨今、「経営コンサルタント」という肩書を名乗る方が経歴詐称をしたとか何とかで、以前から評判の悪かった「コンサルタント」という職種が、より一層”うさんくさい存在”として認知されてしまったような気がします。正直なところ、僕のような「戦略コンサルタント」を標榜する立場からすると、とても迷惑千万なお話です。

経営コンサルタント=経営指南をする人

世の中には「片付けコンサルタント」とか「年金コンサルタント」みたいな職種も存在していますね。そういう人たちの存在も、より一層物事をややこしくしているのですが、この人たちは「片付け、年金といった”特定領域”についてアドバイスする」という仕事です。経営コンサルタントは、この部類に含まれます。こういう職種は「答え」を持ってくる傾向があります。(し、それを期待されています。)

一言でいえば、経営コンサルタントは、経営指南をする、という仕事なわけです。経験豊かなシルバーヘアードコンサルタントなどが名乗る傾向にある。起業して成功した人とかもこっち側ですね。自分の成功体験を核にして、他社の状況に対して「こうしたら良い」というアドバイスをするわけです。

良いとか悪いとかはさて置いて、ぶっちゃけ、言ったもん勝ち感・名乗ったもん勝ち感があります。いや、ほんとに。

戦略コンサルタント=問題解決のプロ

一方、戦略コンサルタントはフレームワークとか考え方を学び、それらを活用して問題解決を行います。したがって「唯一無二の答えはコレ」とか「俺を信じてついてこい」とか言う風にはなりません。

MBA卒などの肩書がある人は、こちら側ですね。”若い” とか ”経験が足りない” とかいう部分も、学んできた考え方で乗り切る感じです。頭でっかちだ、という批判も受けがちですが、「一発当てる」という感じではなく、再現性とか客観性とか優先順位付けとかいう部分に関して命をかけています。また、大きな特徴として、チームで考えて、チームで問題発見〜解決のために、仮説検証を繰り返す仕事をすることが挙げられます。リサーチやデータ分析なんかも必要となることが多いので、プロジェクト運営において、ある程度の人数が必要なんですよね。

従って、いわゆる外資系コンサルティングファームに在籍している/在籍していたという人は、通常は「戦略コンサルタント」と分類されるべきです。

一方で、こういうプロジェクト経験をたくさん積んで、多くの企業の多様な業務領域における業績改善に貢献したり、新規事業立ち上げを成功させたりしてきた一部の経験豊富な「戦略コンサルタント」が、それらを踏まえて ”経営指南”をするという立場で「経営コンサルタント」を名乗るのことには違和感はありません。

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 答えが欲しい!人は、経営者になるのは難しい

さて、用語の説明は以上で終わりなのですが、コンサルタントとの付き合い方に関して、少しだけ補足させていただきます。

悩み事に対する”答え”は「外」にはありません。当然ながら、「こうした方がいいんじゃないか」「他にもこんな考え方がある」などの”選択肢”は、外部から取得することができますが、それはあくまでも補助的な情報であって、正解なんてものはどこにもありません。

問題解決をしたいと言いつつ、問題の定義から丸投げする人がいます。しかし、なにを解決したいのかが決まっていない状況では、誰にも、そのお手伝いすることができません。どこに行きたいのか分からない人が、タクシーを拾っても、目的地には永遠にたどり着けないでしょう?それと同じことです。コンサルタントが、いきなり答えを出そうとするのではなく、”答えるべき問い”を明確にしようとするのはそのためです。

誰かに答えを出してほしいから、コンサルタントを頼む、なんてことを考えている経営者はいないはずです。経営とは高度な意思決定です。判断しにくいことを判断し、決断しにくいことを自分で決断するから経営者なんです。他の人にはできないことをやるからこそ、高い給料をとる資格があるのです。だれにでもできる事をやっているのならば、コンビニバイトと同じ給料でも文句は言えません。

コンサルタントは、あくまでも「Consultする相手=相談に乗ってくれる相手」です。彼らに発注するときは、それを忘れてはいけませんし、コンサルタントも「私を雇えば答えをお届けする」なんて口が裂けても言っちゃあいけません。業界の評判が悪くなるだけですからね。

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