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アクセンチュア アナリティクス日本統括 工藤卓哉氏 ビッグデータ対談 その④

AUTHOR :  網野 知博

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網野 知博
eyecatch_BIGDATA_interview

「マネタイズ」?「サービス向上」?

日本を代表するデータサイエンティストの工藤卓哉氏。
11月上旬に工藤氏の著作である『データサイエンス超入門 ビジネスで役立つ「統計学」の本当の活かし方』(日経BP社)が発刊されたのを機に、弊社の網野知博が対談を行って参りました。
(インタビュー日時:11月18日 ※発言内容は当時の状況になります)

データサイエンス超入門 ビジネスで役立つ「統計学」の本当の活かし方

 

網野:

最近はビッグデータという話題とともに、個人情報保護の話も色々と問題視されています。

工藤:

正直個人情報に紐づくようなビッグデータによる分析は世界的にもあまりやられている訳ではないですし、政府もまだ勉強段階であると思います。

私はデータのあり方として法的には3つある(構造上は4つ)と考えています。

1.情報を取得する時のオプトイン(18条1項)

2.蓄積して解析する(19条)

3.情報を第三者に提供するオプトアウト(23条)

まずは、この3つが法律と紐づいています。

更にビッグデータではこれだけでは不足しています。POI(Point Of Interface)のデータがそれにあたります。

厳密に法律で定められているデータ以外でも、個人を特定できる可能性があります。

また、法律に加えて、もう一つ大事な事があると考えています。

それは、「お客様目線になること」つまり「社会のためになっているか」を考え続ける事です。

ビッグデータを活用する技術論の話だけでは駄目だし、また、マネタイズの話だけでも駄目なわけです。

世論のことや子供の将来やCSRや制度設計を考えてオピニオンリーダーとして制度を考えていくことも社会的使命だと思っていますので、今後は私も国の施策に提言をしていこうと考えています。

網野:

お客さん観点での、オプトイン、及びオプトアウトは大切ですよね。EC企業やFacebook上にあるアプリなどでは、だまし討ちのようなオプトインを仕掛けてくる企業が多いですからね。笑

工藤:

最近のビッグデータ×個人情報で炎上する事例を見ると、自社のマネタイズを前面に出しているケースが多いと思います。きちんとオプトアウトの仕組みが語られていなかったり、オプトインもうやむやになっていますよね。

第三者に利用されるのであれば、オプトアウトの仕組みを説明して、「個人の意思で削除することが可能ですよ」とフェアな宣言が先にあるべきだと思います。

位置情報や移動情報を使う発表をしている企業の例を見ると、法律はきちんと抑えているが、自社のマネタイズをメッセージングしているように見えますよね。

本来はもっと社会的責任を意識するべきで、突然顧客データを活用してマネタイズすると言う発表を受け取った時の顧客や消費者のインパクトを考えていない。天下の大企業がユーザーのデータを勝手に使って金儲けするんだと受け取られかねないですよ。

私自身は自社のマネタイズのことだけを考えているわけではなく、そもそも日本の社会を変えようと日本に戻ってきたので、法律や政策制度設計者と話をする機会をもう少し増やして行くべきだと考えています。

網野:

フェアでは無い事例はすぐにでもたくさん思いつくのですが、笑 きちんとフェアにやられていると感じる事例はありますか?

工藤:

フェアな例だとディズニーだと思います。まず、顧客に与える選択肢も多いです。

ディズニーワールドはちゃんと顧客に選択肢を用意しているのです。そして、それは金儲けのためではなく、ユーザーエクスペリエンスを向上させる為に行っているというメッセージがあります。

具体的には、マジックバンドのRFID付きとRFIDが付いてないものを両方用意しています。

今までと違ったユーザーエクスペリエンスを望むなら、RFID付マジックバンドを利用してもらい、そうすると、位置情報も見られるので、迷子になっても子供を探せるといったことができます。

また、まだ実現されていませんがやろうとすれば、何度も乗っているアトラクションのファストパスを余分に提供することなどもできるでしょう。

彼らは最初に宣言して、パーク内のショップではクロスセルのレコメンドを行うことも伝えています。そして潔いことに、ディズニーワールド内でしか使わないとしています。

データはファストパスとも連携しているし、ファストパスの搭乗時間に間に合わない時はスマホのアプリで予定を組み替えることもできます。更に、彼らはゲートを通過する時に「Mr.Kudo」などと名前を呼んでくれたりします。

高額決済をする際には生体認証を用いたりもする。そして、削除を依頼すれば、論理削除をしてくれます。

ユーザーに対して、一言もマネタイズというワードを使っていません。

辞めた方がいいと思うんですよね、企業がマネタイズ始めましたと前面に押し出してアナウンスするのは。

アクセンチュアでも先日、移動情報活用サービスを発表しました。ウォールストリートジャーナルをはじめ、多くの報道機関に取り上げてもらいましたが、記者発表では一切「マネタイズ」という表現は使っていません。

顧客により良いサービスを提供したいという想いしか語っていないから、良いニュースとして取り上げてもらえたのだと思っています。

日本のビッグデータ関係者って「俺やりました!!」ですよね。「位置情報でこんな分析やりました!』みたいな発表をして、翌日炎上している。オピニオンリーダーになる人は振る舞いも意識すべきだと思います。

私は自分自身の社会的責任を感じていますし、最終的に顧客のためになるものであれば使って良いと思っています。

苦言を呈する人もいますが、最終顧客が望んでいて、顧客により良いサービスが提供できるのであれば、そういったサービスは提供すべきものだと思っています。

網野:

一方でグーグル日本法人の元社長である村上さんが仰っていましたが、今はもうデジタルデバイスの普及に伴い、どうやっても個人データは抜かれる。生活者側もそれを意識するしかなく、データを抜かれて白日の下に晒されていていることが嫌ならテクノロジーと距離を置いて、デジタル情報に一切触れなければ、個人のプライバシーは守ることはできる。その0と1としかないと現実論としての話もありました。

工藤:

デジタルの世界でなくても、比較的閉鎖的な町や村では人と接することで、近所付き合いの中で口コミが光通信の如く拡散されていきますしね。笑

そういうのが嫌なら近所付き合いをなくせと言っているのと同じなのかもしれないですね。確かに、自分の情報が人に伝わるのはデジタルの世界だけに限った話ではないですよね。

網野:

例例えば、今流行のFacebookアプリなどでも、使った瞬間にFB上の全てのデータが抜かれる物も多いですし、消費者側もデータに関するリテラリーを向上させて行く必要がありますよね。

個人側もそういったものを使って行く時に覚悟と意識が必要だと思います。FBアプリをたくさん使う人はデータが抜かれていることに気付いていない人が大半で、本当にそのリスクを負ってでもアプリを使うのか。

また、そういったアプリを使う事で、勝手に「友達にこのアプリを使って」のお知らせがバラまかれていて、スパムに近いことが起こっている事に本人は気づいていない。それってリテラシーの低さから来ますからね。生活者側も学ばないといけないわけです。

工藤:

教育も私たちの仕事ですからね。笑

次号に続きます)

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