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アクセンチュア アナリティクス日本統括 工藤卓哉氏 ビッグデータ対談 その⑤

AUTHOR :  網野 知博

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網野 知博
eyecatch_BIGDATA_interview

「つなぐ力」を養い、多面的にモノを観よう

日本を代表するデータサイエンティストの工藤卓哉氏。
11月上旬に工藤氏の著作である『データサイエンス超入門 ビジネスで役立つ「統計学」の本当の活かし方』(日経BP社)が発刊されたのを機に、弊社の網野知博が対談を行って参りました。
(インタビュー日時:11月18日 ※発言内容は当時の状況になります)

データサイエンス超入門 ビジネスで役立つ「統計学」の本当の活かし方

 

網野:

今までの話の流れ的に”バランス”と言う考えが全面に、そして前面にでてきますが、またもやバランスものの話題をふって行きたいと思います。

最近Webでは細かい分析ができるようになりました。当然メリットも大きいのですが、一方で弊害もあり、CPA(Cost Per Acquisition)のバランスばかり気にして、CPAの単価を崩すような勝負に出ないケースがあることを感じています。例えば、打数と打率で言えば打率を4割に上げるために10打数しか立たないみたいな。ヒット4本の4割打者と、100打数30安打の3割打者のどちらがビジネスで嬉しいのか。「効果」と「効率」のトレードオフです。分析と言うと、比較的「効率」をあげて行く取り組みが多いですが、そういった中でビッグデータやアナリティクスの世界で打数を増やす方向の取り組みはありますか?

工藤:

ロングテールが効くモデルなどはそれにあたりますよね。

アクセンチュアではAFS(Accenture Fulfillment Service)と言うものがありますが、これは在庫を最適化していくツールです。

例えば在庫削減なども、1店舗だけでは大した効果にはならないのですが、1000店舗とかあり、SKUなども大量にあれば、在庫削減の効果は多大なるものになります。

「塵も積もれば山となる」ですね。

こういった分析は、人をはりつけて分析してというやり方では、どうしても投資対効果があいません。ですので、仕組み化して、安く大量にやれることでスケールアウトして行く必要があります。アクセンチュアのAFSもそういうモデルになっています。

ロングテールはAmazonが有名ですが、実はアドワーズやアドセンスなどもそうですよね。広告の1クリックの10円が、塵も積もる事で大金になることに気付いたわけです。

網野:

10打席で4割とか、100打席で3割とかではなく、圧倒的なスケールアウトで1割バッターでもローコストで10000回打席にたって、1000安打を稼いでしまえと言う全く次元の違う考え方ですよね。

広義な意味でのロングテールと言うか、これらの「塵も積もればモデル」を効率的に行う方法は、まさに過去の打数の概念を圧倒的に凌駕する可能性がありますよね。これはもの凄いオポチュニティーだと思います。

網野:

近日中にもう一冊本がでるようですが、その本の紹介もお願いします。

工藤:

『これからデータ分析を始めたい人のための本』と言うタイトルでPHP研究所から出版されます。

内容としては、「公共政策の話」を中心に、学生や新橋のおじさんでも片手で読めるような内容にしています。

また、読みやすいように小説仕立てにしている章もあります。

データサイエンスを知らない人にはこちらを読んでもらいたいですね。

逆に、知っている人には『データサイエンス超入門』を読んで頂ければ。

網野:

さて、色々と話題もつきないのですが、時間が差し迫っておりますので、最後の話題にしたいと思います。

弊社にも慶應SFC(湘南藤沢キャンパス)のインターンが来ていますが、彼の学友で工藤ファンがいるらしいです。笑

SFCで教鞭を取られているようですが、そういった未来のデータサイエンティスト達に熱いメッセージを。

工藤:

本当に熱いことを言って良いですか?笑

実は私が日本に戻ってきた細大の理由は、データサイエンスを広めるためではありません。僭越ながら、日本に一番欠けていることを補いたいと思って帰国したんです。

アメリカはとても競争が激しい国ですが、日本人の私が勝負できたのは、データサイエンスが横のデータをつなぐことで重宝される存在だったからです。

つまり、データサイエンスは知識を”横につなぐ力”があれば勝負できる領域だったわけです。

その「つなぐ力」が日本にはもの凄く欠けていると思います。

言い換えれば、多面的に物を見る人が少ないとも言えます。多様性の欠如とも言えるでしょうか。

グローバルで通用する人材とは、海外に行くことが重要なのではなく、また英語力が重要なわけでもありません。

多様性を備えることこそが重要だと私は思います。

海外のワークフォースが日本に流れ込んでくる今後の日本社会で、日本人は特に多様性に弱い人種であると感じています。

女性社員の活用などもその典型例でしょう。

つい最近発表された国連の発表でもそうですし、OECDなどの評価でもそうですが、先進国における女性活用の評価は日本が断トツに低いです。

ウーマノミクス3.0などという言葉もありますが、女性活用や多様性に対応できないと、日本が勝ち残ることは難しいと考えています。

そういった中で、「多様性」、言い換えれば「つなぐ力」という多面的な視点を培うにはデータサイエンスは学びやすいと考えています。

なぜならチーム力で勝負しないといけない領域だからです。

アーキテクト的な役割、Rのサーバーを構築、並列分散処理の環境をMahoutで実装し、それにあわせて事業計画もちゃんと見ましょうなんてことが全て人はこの世の中にはほとんど存在しないでしょう。

一人でできるやつはいない領域なのです。だからこそ、データサイエンスはそういった「つなぐ力」を学ぶための良い教材になると思っています。

実は慶應SFCの授業には相当な工数を取られていますが、それでもこの講座をやりたい理由は、「横につなぐ力」をデータサイエンスと言う題材で学んで欲しいからであり、まったくやったことが無い領域でもチームとして対応すれば戦えると言うことを知って欲しいからです。

実はそれが本でも一番伝えたかったことですし、日本に帰って来た理由でもあります。

「つなぐ力」を学んでもらえれば、データサイエンティストになるかはどうでも良い事だと思っています。笑

網野:

なるほど。熱いですね。笑

最後に熱く、そして素晴らしい締めをありがとうございました。

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