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ギックスの本棚/CEOからDEOへ 「デザインするリーダー」になる方法(Bug News Network/ビー・エヌ・エヌ新社)

AUTHOR :  田中 耕比古

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田中 耕比古
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変化の時代をマネージする”DEO”を目指すための演習本

CEOからDEOへ - 「デザインするリーダー」になる方法

本日は、「デザイン・エグゼクティブ・オフィサー」という新しい概念を提唱する一冊「CEOからDEOへ」をご紹介します。

DEOの時代が訪れる

本書では「DEO」という概念を提唱しています。DEOとは「Design Executive Officer」の略で、「これからのCEO的役割」を示しています。つまり「デザイン」の考え方を経営に導入しよう、と主張しているわけです。

本書で使われている「デザイン」という用語の根幹は「変化を実現する」ことであり「問題を解決すること」です。昨今話題の「デザイン・シンキング」と同じ思想ですよね。

私は、「デザイン」といえばまず「変化」を連想する。ニーズに対応するための変化、望みを実現させるための変化、1つの目標を目指すための変化、共通の将来像を示すための変化・・・。教育を受けたデザイナーであれ、生まれながらのデザイナーであれ、デザインする人たちは、集団的な変化を積極的に後押ししている。

そして、これまでのCEO(すなわち、工業化時代のCEO)は「決断を下し、納期を守ること」がその重要な仕事であったが、この”情報化時代”あるいは”コンセプトの時代”においてはその司令官的役割だけでは不十分であると説きます。

私がハリー・ポッターの透明マントを借り、それを着て昔ながらのCEOが仕切る重役会に忍び込んだとしよう。そこではCEOが、何か月も前に決めた会議事項に沿って会議を進めている。彼は前四半期のデータを持ち出して話をし、各部門にあらかじめ決めておいたトピックについての報告を求める。私は透明マントを着たまま会議室を抜け出し、社員たちが働いている階に移動する。パーティションをのぞいてみると、若手管理職がこっそりソーシャルネットワークをチェックしている。次にチェックしたのは、今後の株価、ライバル企業の投稿メッセージ、そしてもっと魅力的な仕事の口・・・。どの情報も、彼の手のひらの中であっという間にアップデートされている。

管理的なCEOと部下たちとのギャップが日に日に広がっている会社では、こうした場面が繰り返されている。(中略)

昔ながらのCEOを今の社員たちのトップに据えるのは、時代錯誤なのだ。

この「変化の時代」を勝ち抜くために企業のTOPは「従来の司令官型”CEO”」ではなく「変化をマネージできる”DEO”」を目指すべきである、というのが本書の最大の主張です。

「対象読者」は必ずしも経営者じゃない

本書の冒頭は、上述した「今後のCEOは、DEOとなるべきだ」という大上段に構えた壮大なテーマを語られますので、多くの方(つまり、経営者ではない大半の読者)は「経営層が考えるべきこと」「経営層のやるべきこと」が書かれているのではないか!?と身構えてしまうように思います。

しかし、本書は実際のところ「自己啓発本」です。迷うようなら、冒頭の章「NOW」をすっ飛ばしてみれば良いでしょう。第二章(に相当する)「ME」で自分自身の目指すべき姿を学び、第三章「WE」でチーミングについて学び、第四章「DO」と第五章「BE」で行動指針・在り方を学べます。

ですので、もしも、立ち読みして冒頭で「うっ」となってしまった人は、まず上記の2~4章を読み、肚落ちさせてください。(立ち読みするなら第二章の「ME」が良いと思います。)その後に、「うっ」となったであろう冒頭の「NOW」と最後の「NEXT」を読めば、全体がつながって、すんなり頭に入ると思います。また、各章で語られる内容はとても実践的です。DEOだろうとCEOだろうと関係なく、本書に書いてあることを迷わず実行できれば、あなたは間違いなく「ひとかどの人物」です。(もちろん、権限の関係で出来ないこと=「オフィス設計」「社員へのケアと特典」などもあるでしょうが、自分の手の届く部分を変革することから始めましょう)

また、各章の間に挟み込まれる「DEO紹介」と称した、CEOインタビューも非常に興味深い読み物で参考になります。

DEOの指針

では、具体的にどういう事が語られているのかを幾つかピックアップしてご紹介してみます。

「ME」より”直感力が高い”について

私たちはみな、直感の恩恵を受けている。あなたもこんな経験はないだろうか?
ふと飛行機の出発時間をもう一度確認したくなってチェックしたら、勘違いが判明。乗りそこねるのを免れた。
就職希望者とたった10分間話をしただけで、この人なら大丈夫と確信した。
いやな予感がして取引の話を断ったので、だまされずに済んだ・・・

このパートは非常に面白いです。ギックスでも「アート」と「サイエンス」という二つの能力のバランスが重要だと考えていますが、本書でも「直感」と「分析」という二つの事象を取り上げています。(関連記事:データアーティストとは何か

また、直感を「何年もの学習と経験から生まれる『速い思考』だと説明する学者たちもいる」などというくだりは、思考のショートカット理論にも似ています。

そして、DEOは自分自身の直感力を活かすと共に、周囲の人の直感力に気づき、それを称えることも必要であると説きます。そして、その具体的な練習法(エクササイズ)として、「細部に注意を払う」「人々とのつながりを深める」「業務に精通する」などの日頃の行動を推奨します。

「WE」より”オフィス設計”について

昔ながらの会社が、どこもオフィススペースが同じような作りになっているのは偶然のことではない。
社員たちのパーティションが並び、それを取り囲むようにして重役たちのもっときちんとした部屋が並んでいる。
DEOに少しばかりの改装費を渡してみるといい。
DEOは壁を壊し、スペースを切り開き、オフィスに彩りを加えるはずだ。

この本を読んだから、というわけではなく、弊社のオフィスは「カフェ風オフィス」になっています。というよりも「お茶の出ないカフェ」状態です。これに関する賛否両論はありますが(僕自身も言いたいことはありますが)、新たに入ってきたメンバーに対して”壁のない組織”だという印象を与えることができるのは間違いないです。

近年、コラボレーションという言葉は、当たり前のように使われていますが、それを実現するためのオフィスは、いわゆる「大企業」では実現されていません。

本書ではオフィスには、「会社が大事にしているもの」を象徴的に表す、という役割があると書かれています。例えば、Googleのオフィスが象徴的でしょう。「遊べる空間」と「美味しい食事」が用意されていて、”全ての人”にとって魅力的で、”プロ集団”にとって理想的な環境だと思います。(※全ての人にとって理想的だとは言えません。一般的に人は低きに流れますので。)

また、「CEOは、うわべだけのステータスを約束するコーナーの部屋にいまだに陣取りたがるが、DEOはコーナーに居座るのが安泰だと思っていない。DEOは、ほかの社員たちとのあいだの壁やドアを取り除いて、社員たちの活動の中心に実を置くのを好む」というあたりも、伝統的な大手企業の役員には真似しにくいところかもしれません。

「Do」より”問題解決”について

「問題ありません(No problem.」。
この、Eメールでお決まりの返信は、「すべて順調ですから心配しないでください」の省略表現だ。
この言葉通りだとしたら、DEOにとっては最悪の事態だ。
問題がないなら、チャンスもなければ挑戦もなく、むずしい問題と格闘する機会もないからだ。
DEOは、詳細な情報やデータと格闘して、意味のあるエレガントな解決法を見つけ出すのが好きなのだ。

このパートの書き出しは、なかなか衝撃的です。

問題を解決したいという思いは、DEOが朝ベッドから起き上がる原動力になっている。

まぢか。って感じですが、じっさい、まぁマジです。間違いないです。そういうタイプの人、ちょぃちょぃ見かけますし。

そして、その原動力に基づき、「問題の構図」を把握し、一般的な視点とは異なる視点から考えて(=ディバージェント・シンキング)、解決策を編み出すというのですが、この「ディバージェント・シンキング」というのがなかなか興味深いです。

詳しくは本書を読んでいただくのが良いと思うのですが(p.187-188です)、端的に言うと「子供の思考方法」です。リニア思考・固定観念に基づく思考の対極に位置し、柔軟に”複数の可能性・答え”を同時並行的に考える、ということですが、これは、ギックスCEO網野の唱える「長並列型仮説思考」というものに近いように思います。

 

このように、読み進めていくと自分自身・自社組織との「相似点」や「相違点」を見定めることができます。その上で、自分自身に取り込むべきこと(つまり、明日から取り組むべきこと)を明確にしていくことが、”DEO”を目指して成長していくことになると感じます。

尚、本書を「上司の評価」に使ってもいいとは思いますが、ネガティブな感情は自分自身の成長の妨げになりますので、ほどほどに。あくまでも、敵は自分自身です。

尚、とっても正直な事を言うと、敢えて「Design」という言葉を使った意図が、完全には伝わってきていないように思います(英語の語感だとしっくりくるのかもしれませんし、組織・チームのデザインという主旨だろうとも思うのですが)。ただ、いずれにしても、経営スタイルの確認および、リーダー像の一つの答えとして一読の価値がある良書だと思います。オススメです。

 

CEOからDEOへ - 「デザインするリーダー」になる方法
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