iBeacon(アイビーコン)とは:人流情報を押さえることが競争力の源泉になり得る|データ分析用語を解説

AUTHOR :   ギックス

本記事は、株式会社ギックスの運営していた分析情報サイト graffe/グラーフ より移設されました(2019/7/1)

単なる「便利な情報発信ツール」と捉えていてはいけない

本日は、iBeaconについて考えていきたいと思います。

iBeacon=アップルの近距離位置特定サービス

atmarkITより引用します。

iBeacon」とは、iPhone/iPad/iPod touch(iOS端末)で「Beacon(ビーコン)」と呼ばれる電波を受信することで、数十cm~数十mという範囲(精度)でビーコンの発信器の位置を特定/確認できる機能/サービスのこと。2013年にAppleが発表した。「Bluetooth Low Energy(BLE)」という近距離通信技術を利用している。オンラインでiBeacon対応アプリを入手した顧客に対し、店舗に近づいたことを通知したり、実店舗内の案内情報を提供したり、入店したら割引クーポンを配ったり、というように、「O2O(Online To Offline)」や「オムニチャネル」での用途が特に期待されている。
出所:atmarkIT

つまり、「アップル社のビーコン」ということですね。ポイントは、「iBeacon対応アプリを入手した顧客」が対象ということろです。

ビーコンって?

と、なると次に気になるのは、「Beacon」ってなに?ってことですよね。今度はwikipediaから引用します。

ビーコン(英: Beacon)とは、原義は狼煙や篝火といった位置と情報を伴った伝達手段のことであるが、21世紀初頭に於いては主に「無線標識」を指す。
出所:wikipedia

さらに、このなかでも近年注目されているのは、コンピュータ領域です。続けて引用します。

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コンピュータ

無線LAN

無線LANのアクセスポイント(AP)からは「ビーコン」と呼ばれる信号(パケット)を送出しており、無線LANアダプタを備えたコンピュータ機器がそのビーコンを受信し、利用可能な無線LANによるネットワークを検出する手がかりとしている。

赤外線(IR)

赤外線ビーコン(IRビーコン)は赤外線を利用した無線標識技術の1つ。対象が変調された赤外線を発信することで容易かつ確実に特定することができる反面、発信器と受信機の間に赤外線を遮断する障害物がないことが不可欠である。敵味方識別装置(CID)などの軍事的使用だけでなく、ロボット工学などでも、さまざまな赤外線ビーコン技術が使われる。
日本では赤外線ビーコンは新交通管理システム(UTMS)のキーインフラでもある。指向性の高い赤外線通信技術に基づいており、赤外線ビーコンを搭載した走行する車両との双方向通信を行うことにより正確に車両を検出し、さまざまな交通情報を提供する能力を有する。

Bluetooth

無線LANより狭域でNFCより広域の無線標識としてはBluetoothを利用したものもある。基本的には、対象となる発信器からの信号を受信することにより距離や位置を測定する技術であるが、発信器からの識別情報も取得できること、Bluetooth LEによる省電力化と低コスト化が可能になった事から、近接通知機能としての用途が注目されている。

ウェブビーコン

インターネット上で、会員登録や認証(ログインなど)などを行わずともインターネットサービスの利用者をサービス提供側が識別するために、提供する情報内へ提供側が埋め込む識別情報および仕組みである。通常、利用者にビーコンが埋め込まれていることは知らされないため、プライバシー面で問題とされる。
出所:wikipedia

このうち、Bluetoothを活用したものの一つが、「iBeacon」ということですね。

 iBeaconでできること

では、iBeaconを使うと、果たして何ができるのでしょうか。前掲のatmarkITの記事から引用します。
まず、授受する情報は、下記となります。

店舗に設置されている発信器は、IDなどの情報を載せたBLEの電波(ビーコン)を定期的に発信する。iPhoneを携えた顧客が店舗に近づくと、iOSがビーコンを検出してIDを認識し、前述の対応アプリを起動する。アプリは取得したIDなどをインターネット経由で管理サーバーに問い合わせ、必要な情報を引き出してさまざまな処理を実現する。
アプリはIDの他に、受信した電波の強度や発信器との大まかな距離を取得できる。

  • Far(遠い): 数十m
  • Near(近い): 数m
  • Immediate(ごく近い): 数cm~数十cm

出所:atmarkIT

一言でいえば、店舗等の事業者側では、「どれくらいの距離に、誰がいるか」を把握することができるわけですね。(関連記事:ケンタッキー、ビーコンを全店設置
さらに、記事内では、下記の用途が挙げられます。

他の用途としては、例えば次のようなものが期待されている。

  • スマートフォンを活用した、紙より「面白い」スタンプラリー
  • 博物館や美術館で、展示品に近づくと自動的にその解説がスマートフォンに表示される
  • (上記と同様に)観光スポットに近づくと観光案内が表示される

出所:atmarkIT

顧客視点だけでなく、事業者視点で考える

消費者にとっての利便性は、非常に重要です。しかし、graffe.jpに訪れていただいた方は、おそらく「事業者・サービス提供者」の視点でiBeaconとはなにかを調べていらっしゃることと思います。
そこで、敢えて、事業者目線での利活用を考えてみましょう。
それこそ無限にありますが、例えば、上記、atmarkITの3つの用途を「事業者側」の目線で考えてみましょう。

  • スマートフォンを活用した、紙より「面白い」スタンプラリー →どの時間帯に、どのエリアに訪問したかが分かる
  • 博物館や美術館で、展示品に近づくと自動的にその解説がスマートフォンに表示される →どの順路で回遊したか、各展示物の前にどれくらい滞在したかがわかる
  • (上記と同様に)観光スポットに近づくと観光案内が表示される →観光案内にどれくらいの人数が反応したか、および、実際に誘客できた比率がわかる

というようなことになるでしょう。
つまり、「人の流れ=人流」と「マーケティング施策・プロモーション施策」との紐づけが可能となるのです。

人の流れが分かると、「中間指標」がとれる

リアルチャネルで営業するビジネスの場合、「結果」としてのPOSデータを分析するのが王道です。しかし、これは、あくまでも結果です。特に、商材によっては、実際に販売するまでに非常に時間がかかるものもあります。(家とか車とかを想像してください)
そうなると、どの打ち手が、どの売上に効いたのか、を判断することが難しくなります。
そこで、ひとつの有効な打ち手が「人の流れ=人流を分析する」という考え方です。従来ですと「売れなかった」ということしかわからず失敗と断じてしまうような打ち手でも、人の流れを把握することで、例えば「購買には至らなかったが、多くの人を沢山立ち止まらせることはできた!」ということを理解できます。これがわかれば、「立ち止まらせた後に、どうやったら購買につなげられるか」という視点に立ち、改善策を講じることができるでしょう。(シンプルに考えれば、10秒以上立ち止まった人には、声掛けをして商品説明をする、などの対応が考えられますよね)
このように「中間指標」として人流情報を用いることにより、リアルチャネルのビジネスが大きく変わってくる可能性があるわけです。今回ご紹介したiBeaconも、アップルという消費者サイドに近い企業が普及を推進しているという意味で、その重要な一翼を担っていると言えるでしょう。
【関連記事:iBeacon指南書】
第1回:iBeacon(アイ・ビーコン)データを経営に活用せよ!
第2回:人の流れのデータ取得の歴史とデバイスの進化
第3回:iBeaconを人流データ取得デバイスとして使う為に乗り越えるべき壁
第4回:iBeaconの最大の強み「安い」ことを活用する
第5回:大切なのは“精度検証”と“Beacon間の計測差”を整えること
第6回:一口に人流といっても大きく3種類。それぞれ目的に合わせて取得しよう
第7回:結局、大事なのは「人流分析して何をしたいのか?」という問い
第8回:するべきなのは「人流分析」なのか?
第9回:日米での人流解析の違いが面白い
第10回:gridならヒートマップもアナリティクスも提供!
データ分析用語:索引

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