近年、「DX(デジタルトランスフォーメーション)」という言葉が定着する一方、「DXを掲げたものの、社内は本質的には何も変わっていない」と悩む企業も少なくありません。特に、AI・デジタル人材をどう確保し、どう活躍させるか──その“内製化”の必要性が高まっています。
そうした状況に対して、ギックスとBeyondge株式会社(以下、Beyondge)が共同で提供を始めたサービスが「DIGITAL BOOST」です。本記事では、その全体像と提供価値を、ギックスの担当者にインタビューしました。
なぜ今、「内製化」なのか?
―多くの企業がDX推進を掲げるなか、なぜ“内製化”が重要視されるようになったのでしょうか?
近年、DXは単なる掛け声ではなく、企業の競争力に直結する経営課題となっています。なかでもAI・デジタル人材の確保と活用はその中核をなす一方で、特に大企業では、既存の人事制度や文化とのミスマッチにより、せっかく採用した人材が定着・活躍できない、という課題が顕在化しています。
さらに、その役割を外部パートナーに頼り続けることで、「スピード感に欠ける」「コストが積み上がる」「ノウハウが社内に蓄積されない」といった構造的問題にも直面しています。
こうした状況を打開し、持続的な競争力を高めていくには、自社で採用・育成・意思決定・実装・改善までを内製化できる、“自走するデジタル組織”になることが不可欠です。そのためには、人材戦略だけでなく、制度設計や、組織カルチャーの変革までもが求められるのです。
DIGITAL BOOSTが提供する“三位一体の変革”
―DIGITAL BOOSTは、具体的にどのような支援を行うのでしょうか?
私たちの支援は、人材採用や研修にとどまりません。DXの“内製化”に必要な要素──たとえば人材戦略の策定、組織カルチャーの改革、人事評価制度の設計、採用ブランディング、育成プログラムの構築までを、一気通貫でサポートしています。
これには、多くの企業でデータサイエンティストやAI人材の育成、制度設計・文化醸成を支援してきたギックスの「人と組織」に焦点を当てたアプローチが活かされています。
また、Beyondgeは事業立ち上げや採用戦略、組織設計、M&A支援などの領域で豊富な実績を有し、2023年よりギックスと業務提携しています。
両社の連携により、「人材育成・獲得」「制度設計」「カルチャー醸成」という“三位一体の変革”を、PMO体制で実行支援できる点が、DIGITAL BOOSTの大きな特長です。
―企業の方からは、どういった悩みが持ち込まれることが多いですか?
よく伺うのは、「せっかく採用してもすぐに辞めてしまう」「裁量ある仕事をうたっていながら、実態は組織の壁があり限定的」「年功序列の評価制度で優秀な人材ほど定着しない」といった声ですね。
これらの問題は、採用・制度・文化などがバラバラに設計されている“部分最適”状態に陥っていることが原因です。
たとえば、求人では「裁量ある仕事」と書いてあるにもかかわらず、実際にはトップダウンで自由度が低い、あるいは年功序列型の評価制度のままでは、優秀な人材ほど早期に離脱してしまいます。
私たちは「人材育成・獲得」「制度設計」「カルチャー醸成」が一体となってはじめて、人材の定着と活躍が実現できると考えています。ですから、採用支援に取り掛かる前に、“なぜ活躍できていないのか”という根本的な原因や構造を掘り下げることが重要になります。
DIGITAL BOOSTの進め方と成果事例
―DIGITAL BOOSTは、どういったステップで進んでいくのですか?
以下の5つのステップを通じて、AI・デジタル人材の内製化を支援します。
- Step1:内製化方針の策定とギャップ分析 …経営戦略と照らし合わせ、どんな人材がどれだけ必要かを定義し、現状と比較してギャップを認識
- Step2:組織設計とブランド再構築 … デジタル部門の組成や新会社立ち上げも視野に入れた組織デザイン支援
- Step3:人事制度・カルチャー設計 … AI・デジタル人材が活躍しやすい評価制度、報酬体系、職能定義の設計を支援
- Step4:採用ブランディングと運用支援 … ターゲット人材の明確化から選考体験設計まで一貫支援
- Step5:育成・リスキリング支援 … オンボーディングから中長期でのスキルアップまでを見据えた、人材育成と文化形成を支援
これらのステップを一貫して推進するため、フェーズ横断型のPMO体制を構築します。また、各分科会(構想/人事/採用/ブランディング)を連携し、課題と進捗を管理して進めることで、計画から実行への橋渡しをスムーズに進めます。
―このサービスを導入することで、どのような変化が起きるのでしょう?
私たちの支援により、2年間で100名以上のAI・デジタル人材を採用・定着させることに成功したクライアントもいらっしゃいます。
ポイントは、採用だけでなく、制度やカルチャーの整備、人材育成プログラムの設計までをセットで支援したことです。
その取り組みの結果、人事評価制度の刷新によるデジタル人材の定着率向上、社内のDXプロジェクト数の増加、既存社員との協働による新たな価値創出推進、といった成果が生まれました。
こうした“変革の連鎖”が生まれるのがDIGITAL BOOSTの最大の強みだと考えています。
本気の変革を目指す方へ
―最後に、このサービスに関心を持った企業に向けて、ひと言お願いします。
「採用すればなんとかなる」という時代は終わりました。「人材育成・獲得」「制度設計」「カルチャー醸成」を同時に変革する──その“本気度”こそが、内製化とDX成功の鍵なのです。
DIGITAL BOOSTは、そうした本気の変革に対して、構想策定から実行までを伴走するパートナーです。組織の中に“変化の種”を根づかせ、“自走するデジタル組織”を目指したい方は、ぜひ私たちにご相談ください。