ひさしぶりのギックスの本棚です。ゴールデンウィークは、周囲に勧められた本を読み漁るということに時間を使ってみましたので、そのうちの何冊かをご紹介できればと思います。(特にご紹介予定はない本としては、「プロジェクト・ヘイルメアリー」「三体」あたりも読みました。)
ちなみに、僕が更新をサボっている間に、弊社内で「ギックスの本棚」という名前の読書録公開ページが開設されていまして、なんだか向こうが本家っぽい感じになっていて、ぐぬぬと思っている次第です。そんなわけで、過去記事も良ければ閲覧いただければ幸いです。
さて、本日ご紹介するのは「寝た子は起こすな(NHK出版新書)」です。

本書は「日本の子どもは、世界的に見ても睡眠時間が短く、それは非常に良くないことである」ということを滔々と語る一冊です。めちゃめちゃざっくり言いますと・・・
- 睡眠中に、体の発達がすすむ
- 特に、脳においては、それが顕著
- 世界的には、小学生は10時間以上寝るべきで、9時間睡眠では足りていない
- 一般的に、幼少期は朝型だが、思春期は夜型になり、成人してから朝型に戻る
- ショートスリーパー、ロングスリーパーは、遺伝的なものであり、本人にはどうしようもない
- 若いうちは、徐波睡眠(熟睡時間)が多く、睡眠安定性が高い。それを無理矢理起こしても、まったく起きないし、起きても不機嫌になる
- 目覚まし時計を使わないといけない、という時点で、寝不足
- 朝は明るく、夜は暗くすることが睡眠リズムを作るのに効果的
- 夜は暗く、は、大人の感覚よりも、もっと暗い方が良い(30ルクス程度)
- 暗いところで本を読むと目が悪くなる、は俗説。目からの距離の方が重要(遠い方が良い)
- 子どもの眼の構造上、30ルクスで、大人の150ルクス相当になることもある。間接照明などを用いてしっかり暗くするのが良い
- 寝ている間の照明も完全に消す。怖がるようなら、寝てから消すか、タイマー設定で消すべし
といったことを主張しています。
その上で、「学校の始業時間を後ろ倒しにしてはどうか」などの政策案もでてきますが、このあたりは、実現性などを含めて異論のある方もいそうですが、いずれにしても、「睡眠というものを理解する」ことは、極めて大切だと再認識しました。
※このあたりは、以前、「ギックスの本棚/海馬」でも似たようなお話をしているので、是非、そちらもご参照いただければと思います。
さて、ここからが本題です。
本書は「子供の睡眠」の話だと読むのは勿体ない一冊です。大人こそ、本書を通じて、自らの睡眠と向き合うべきです。
引用します。
「早起きは三文の得」ということわざがあります。(中略)しかし夜型の人にとって、早起きは苦行以外の何物でもありません。むしろ遅く起きた方が体調がよく、仕事の効率も上がります。
「早起きは本当に得なのだろうか?」
この疑問を出発点に、私たちはプレゼンティーイズムという観点から調査を行いました。プレゼンティーイズムとは、欠勤せず出社はしているものの、健康上の問題が理由で生産性が低下している状態のことを指します。このプレゼンティーイズムによる経済的損失は、日本全体で年間約7.6兆円に達すると推計されており、いまや企業にとって看過できない深刻な経営課題となっています。
プレゼンティーイズム、初めて聞いた。ちなみに、アブセンティーイズムという言葉もあって、そちらは「欠勤している状態」だそうで。プレゼンス(存在)とアブセンス(不在)なんですね。その言葉自体には、ネガティブな意味は無いのだから、アブセンティーイズムが先にあって「欠勤していて仕事に支障が出る」を、「会社に居るのに、仕事に支障が出てる」を示すためにプレゼンティーイズムという言葉ができたってことなのでしょうか。とかって、いまなら生成AIさんに質問したら、きっと調べてくれるんでしょうけど、社会の計算リソースの無駄遣いみが凄いのでやめておきます。
それはそれとして、プレゼンティーイズムです。なんでも、1時間の遅寝 or 早起きで、0.2%前後の生産性低下が起きるんだそうで。しかも、朝型人間の1時間の遅寝は0.48%の低下、夜型人間の早起きは0.26%の低下だとか。睡眠リズムに合わせた生活をしないと、普通にパフォーマンスが落ちる、というお話です。
かくいう僕も、昔は、全く朝起きられなかったんですが、諸般の事情で早朝覚醒を患いまして、それ以来、朝型人間へと生まれ変わりました。まぁ、深夜2時まで飲んでても、4時過ぎに起きちゃうので、それはそれで明らかに不健康なんですけども。ただ、目覚まし時計いらずなのは、便利ではある。(日中眠いけど)
そんなわけで、とにもかくにも、「自分が朝型なのか、夜型なのか」および「ロングスリーパーなのか、ショートスリーパーなのか」を見極めておくことは、仕事上のパフォーマンスを維持するためにも極めて大切だと言えそうです。
また、睡眠時間の短さについては(このあたりは、既知の情報かもしれませんが)
- 7-8時間睡眠の人に比べて、5時間以下の睡眠の人は、糖尿病の発症リスクが2.51倍になる
- 睡眠時間が短い人ほどBMIが高い傾向にある。(8時間睡眠の人に比べて、5時間睡眠の人は、満腹感をもたらすホルモンであるレプチンの濃度が低く、食欲を増進させるホルモンであるグレリンの濃度が高い)
- (青少年期において)平均睡眠時間が1時間減少するごとに、絶望感・自殺念慮・自殺未遂・薬物使用の確率が高まる
などの研究結果も示されています。まぢ、寝た方が良い。(僕も)
子育て中の方にとっては、そのものズバリの一読すべき書籍ですが、大人になったみなさんも、自らの睡眠と向き合うために一読しておくと良いかと思います。(そのまま信じて行動する必要があるとまでは思いませんが、まずは知識としてインプットしておくべきかと思います。)






