セルフアンケートブーム到来の兆し:セルフアンケートASP 「Questant(クエスタント)」を使ってみた/ニュースななめ斬り by ギックス

AUTHOR :  網野 知博

安価で簡易なセルフアンケートASPの到来が「ちょっと聞いてみる」を可能に

今回は、宣伝会議インターネットフォーラム2014レポートで紹介されている、セルフアンケートASP「Questant(クエスタント)」について考察してみたいと思います。

セルフアンケートASPとは、ユーザー自身が質問項目を作成し、顧客へ様々な形で送信して、回答を自動集計できるASPのツールです。米国では既に相当普及しているサービスのようですが、日本でも最大手のマクロミル社が昨年の秋よりサービスの提供を開始しました。

弊社では顧客の理解においてはソーシャルメディアの分析(通称ソーシャルリスニング)だけに留まらず、消費者自身を巻き込んでリサーチを行う「ソーシャルリサーチ」なども様々な試行を繰り返していますが、顧客の理解において直接顧客に問いてしまうアンケートはリサーチにおいて未だに非常に有力な手段の一つと考えております。

「戦略的顧客調査」の分野で共同で取組みを検討しているマクロミルさんからの紹介もあり、このたびセルフアンケートASP 「Questant(クエスタント)」のプレミアム版を契約し、早速弊社のプロジェクトで利用してみました。

最初からガッツリ使ってみる

セルフアンケートは「専任担当者」を介さず、思い立った時にいつでも誰でもアンケートを作成でき、迅速に回答を集めることができます。そのため、まずは飲み会やイベントの出欠確認、社内イベントの満足度調査など社内で試しに活用してみる方が多いようです。手軽に行えると言う事で、軽いものから重いものまで非常に多くの利用用途がでてくると想定されます。

では、セルフアンケートの特徴は何でしょうか?手軽にアンケートを作成できることは前提として、アンケートを実施するためには回答者が必要になります。つまり、自社でリーチ(接触)できる回答者さえ確保できるのであれば、もの凄く手軽に顧客調査ができることになります。メールやDM、Twitter、Facebookなど顧客と直接コミュニケーションがとれる接点さえ持っていれば、聞きたい人に聞きたい事を聞く事ができることを意味します。もし、自社でリーチ可能な顧客基盤を持っているとしたらそれは使わない手はありません。

弊社ではあるクライアントの顧客データを基に、「本来ならばあるサービスを利用していても良いはずなのに、それを利用をしていない顧客に対して、なぜそのサービスを利用していないのか?」を投げかけるアンケートを実施してみました。

弊社でのマーケティングのアプローチは、狙いたい顧客であるターゲット顧客と言う考えではなく、自社の商品・サービスの売りであるUVP(Understandable Value Proposition=顧客の「肚(はら)に落ちる」提供価値)と言う観点から、「その商品・サービスを”使うべき顧客”」は誰なのか? と言う考え方をします。

今回の例で言えば、「UVPと言う点から見ると、本来なら使っていてしかるべきお客さんが、なぜゆえ使ってくれていないのか。」と言う点を明らかにしたいと言う事になります。

仮説では、「単純に認知していないだけ」と言う希望的観測もあります。もしそうなら認知度を上げる取組みをしていこうと言う事になります。もし、認知していて、それで使っていないのだとしたら、認知度を上げて行く取組みは一切功をもたらさないため、UVP、及び使うべき顧客の設定がこちらの思い違いであり、そこから再検討を行う必要があることになります。

「マイクロ・セグメンテーション」を行い適切な顧客に知りたいことをピンポイントで聞ける価値

今までの外部のパネルを活用したアンケートの場合、自社で接点を持っていない顧客に聞く時は有効ですが、自社の顧客に聞きたい場合はアンケートの回答項目を数問使ってドンピシャの回答を聞きたい顧客を選んでくる必要があります。その時点で正直回答精度が落ちていることは否めません。一方、自社の顧客情報を活用する場合はまず回答者を選ぶ事に対する精度の劣化は一切ありません。つまり、顧客の商品・サービスの利用履歴などから、自分達が聞きたいセグメントを的確に抽出し、そのセグメントに対して聞きたい事をピンポイントで聞いて行く事ができます。

今回行ったアンケートでは対象セグメントからそれぞれ2000サンプル近い回答を得る事ができ、通常のアンケートと比べても全く遜色のないサンプル数になりました。配信した母数は共有できませんが、アンケート回答者にちょっとした特典をつけることで、通常のメルマガよりも全く遜色のないCTRになりました。

Q1-1

自社で顧客基盤を抱えた企業は、顧客データ分析に基づき、「本来使うべき顧客なのに、使って頂けていない顧客」を的確に抽出し、それらのマイクロ・セグメントに対して、なぜ利用していないのかの仮説をぶつけて行く「マイクロ・セグメンテーションを軸にした仮説検証型顧客調査」がどんどん普及して行くのではないかと想定しています。

弊社でも当然自社のクライアントに対して、セルフアンケートを活用した「マイクロ・セグメンテーションを軸にした仮説検証型顧客調査」を積極的に展開して行く予定です。

近いうちに「Questant(クエスタント)」の使用感に関して紹介して行きたいと思います。

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